top of page


大塚みどり公園と松が谷戸
11月25日、巡回清掃で大塚・東中野方面を廻りました。東中野にある大塚みどり公園では、 花壇に植えられたホトトギスの花が見頃を迎えていました。植栽とはいえ珍しいものです。 「ホトトギス」の名称で植えられているもののほとんどは、タイワンホトトギスという別の 種類か、あるいは本家のホトトギスとタイワンホトトギスを交配して作られた園芸種です。 また、多摩丘陵の里山で見かけるものはヤマホトトギスが大半であり、本家のホトトギスは いうと、絶滅寸前の状態(※神奈川県では場所によっては普通に見られる)となっています。 大塚みどり公園に植えられた真のホトトギスは葉が細長く、花は段々に付いてそれぞれの 花序枝が短いことなども特徴です。花は赤みの無い紫色で斑点がびっしりと入っています。 この公園では、ほかにもウリハダカエデ(2枚目)、マンリョウ(3枚目)、キミノセンリョウ、 シロヤマブキなど様々な植物を見ることができます。小さいながらも穴場的スポットです! ところで先週、日野の自然を守る会との共催イベント「松が谷探検ウォーキング」が開催 されました。講師役を務めた公
14 分前


どんぐりの食卓と南大沢方面口の野生動物
11月24日、パークキッズレンジャーのFちゃん親子から、可愛らしいアイディアのお便り。 どんぐりの帽子をお皿に、葉っぱを食卓に見立てた、おままごと遊びですね!小さな小さな まるで小人の食卓なんですが、メニューも豊富でなんだか美味しそうです。素敵な遊び方を 教えてくれてありがとうございます。私も今度、ミニチュアの世界を楽しんでみようかな。 ところで、長池公園の南西側、南大沢方面口近くの側溝付近で哺乳類の糞や痕跡がたびたび 見つかることから、センサーカメラを仕掛けてみました。先日、ワクワクしながら回収して みたところ、写っていたのはホンドタヌキ(1・2枚目)とニホンアナグマ(3・4枚目)でした。 くわえて、ヒヨドリ(5枚目)やキジバト(6枚目)、ジョウビタキ、野良猫などが写っており、 夜間は野生動物、日中は地上採餌性の小鳥が頻繁に訪れる、ホットスポットになっている ことがわかりました。フェンス越しに隣接する南多摩総合ホールとミニストップさんとの 境界部分は定期的に草刈りを行っており、斜面下部のU字溝にはムクロジをはじめとする 木の実や木々の落ち葉が堆
3 日前


毎日が秋日和
11月23日、穏やかな秋晴れが続きます。澄み切った青空の下、先日に続き、長池公園では クラフトパーク(イベント)が開催中。この日、私は参加者として会場へ出かけてきました。 バスの待ち時間に少し道草。自宅の周りも秋一色となり、色付いた木々の葉が目立ちます。 赤い実と紅葉が一度に楽しめるガマズミ、真っ赤に色付く前に一時的に全体が黄色くなる シラキ、多摩丘陵では珍しい山地性の樹木、サワシバの黄葉などに目移りしてしまいます。 恐竜の足跡のようなトウカエデの落ち葉は、もう間もなく綺麗に掃除されることでしょう。 先日、長池公園では姿を消した野草として紹介したユウガギクも足もとに咲いていました。 6枚目はアメリカイヌホオズキという外来雑草。草刈りを免れ、元気に群生していました。バス待ちの短い時間でも、心を揺さぶられるシーンに出会える。本当に恵まれた環境です。 芝生広場は多くの来場者で賑わっていました。個性に富んだ職人さんたちの手による逸品の 数々が、公園の自然景観に心地よく溶け込んでいます。そして、それらに触れながら会話を 弾ませたり、笑顔を交わしあったりして
3 日前


築池のカモとイベントいろいろ
11月22日、望遠レンズを付けたカメラを持って築池の周りを散策する人の姿が増えました。 その多くはトモエガモやオシドリがお目当てでしょう。毎年来てくれる公園のマスコット。 今年も一目、その姿を拝もうとトモラー(トモエガモファン)やオシ推し(オシドリファン)が 築池詣に来て下さるのはありがたいことです。スタッフも彼らの動向を気にかけています。 「ちょっとちょっと!私だってこんなに美しいのよ!」とカルガモが羽ばたいてアピール? 渡りをしないカルガモですが、秋色の雑木林が水面に映り込み、季節感あるワンシーンに。 個人的にはカルガモが推しなのですが、あまりカメラを向けてもらえなくて寂しそうです。 トモエガモは飛来当初の8羽から減って、2~3羽が定着していますが、今後、また増えたり 減ったりするかもしれません。同様にオシドリやキンクロハジロも築池に定着しています。 さて、この日はイベントがてんこ盛りでした。22日、23日と週末の2日間、開催されている マルシェ『CRAFT PARK となりの職人 vol.8』において、長池公園とのコラボ企画として、...
4 日前


インタープリテーションday
11月21日、午前中は秋葉台小学校4年生を対象に野鳥観察の授業対応、午後は別所小学校を 訪問して植物観察の出前授業を行うなど、小学校対応に奔走する充実の一日となりました。 個人的には、保護者会や理事会などの予定も入っていたのでタイトなスケジュールでした。 野鳥観察の授業は年間4回のうち、今回が2回目。初回は6月に実施しており、しばらく間が 空いてしまいましたが、こちらの心配をよそに、子どもたちは率先して鳥探しに取り組んで くれました。前回のテーマは「野鳥の形態(見た目)」でしたが、今回はもう一歩踏み込んで 「野鳥の生態(暮らし)」に注目してみます。室内レクチャーでは、スズメとハトの暮らしを 見つめ直してみようということで、皆さんからも、知っていること、見聞きしたことがある 情報をどんどん発言してもらいながら、彼らの暮らしぶりを紐解いていくことにしました。 あまりに身近な鳥なので知っているつもりでも、意外と知らないことが多いものですよね! 園内での観察では、長池の奥で休んでいるオシドリをはじめ、エナガ率いる小鳥の混群や、 キジバトの採餌行動、マガモ
4 日前


リュウキュウサンショウクイの季節
11月20日、専門学校東京テクニカルカレッジの自然環境保全実習も、いよいよ後半戦です。 ネイチャーゲームや伐り出した竹を使った工作など、里山資源の活用について学びました。 1日を通して、園内のあちこちで鳴きながら飛び回るリュウキュウサンショウクイの小群を 見かけました。「チリリリ、チリリリ」という鈴のようによく響く鳴き声が特徴的です。 11~12月はなぜかエナガの群れと一緒にいることが多いため、エナガにつられてか枝の低い ところまで近寄ってくることもあります。木々の葉が落ちるとエナガの群れからは離脱し、 針葉樹の梢付近に仲間うちだけで集まることが多くなるので、観察はより難しくなります。 ポイントは①11~12月がおすすめ、②エナガの群れに注目、③背の低い木が観察しやすい。 これから冬の間は公園内で見かける機会も多いと思われますので、参考にしてみて下さい。 こちらはエナガです。エナガの群れに混ざって行動するリュウキュウサンショウクイは、 少し体型は似ているものの、体の大きさがだいぶ違います。そして群れから遅れがちです。 シマエナガがとても有名なのに
5 日前


初霜と秋の尾根歩き
11月19日、朝から冷え込んだこの日、日陰の空き地に葉を広げたヒメオドリコソウには霜が 降りていました。私にとっては今季初霜です。一転、日中は穏やかな陽気となりました。 この日は講師の仕事で近隣の都立長沼公園を歩いてきました。私が大好きな公園の一つで、 これまで数えきれないほど訪れていますが、その度に発見がある、自然度の高い場所です。 あちこちで色付き始めたイロハモミジのグラデーションに目を奪われ、シラキやガマズミ、 ネジキなどの紅葉、アオハダやヤブムラサキなどの黄葉もじっくり拝むことができました。 尾根歩きでは、雑木林を構成する様々な樹種が現れ、秋ならではの表情を見せてくれます。 見たことがあるようなないような?帽子(パンツ)付きのどんぐりから根が出ているなんて! 小さな発見も見逃さないよう、目線は樹上と足もとを行ったり来たり・・歩みもゆっくり。 先日に続き、ここでもアキノキリンソウやセンブリなど秋の草花に出会えたほか、林床には クロヤツシロランの果実(1枚目)やナガバノスミレサイシンの裂開した果実と種子(2枚目)、 キジョランの葉を食べるアサ
5 日前


ないものねだり
11月18日、長池公園では800種類を超える植物が確認されています。その中には近隣では 見ることが難しいミズユキノシタやオオニガナなどの希少な種類も含まれている一方で、 その逆もあります。近隣の里山ではしばしば見かけるのに、長池公園には自生していない 種類があるのです。20haという限りある敷地の中にたまたま分布していなかったものや、 以前はあったのに、いつしか姿を消してしまったユウガギクなどの現状不明種があります。 この日は、そうした長池公園に“ありそうでない”草花との出会いに恵まれた一日でした。 市内西部の緑地で花盛りのアキノキリンソウと出会いました。由木地区でも里山や雑木林の 林縁草地に自生するキク科植物です。長池公園にもありそうなものですが、これまで自生は 確認されていません。秋の野花を代表する種類だけに、長池公園にもあったらいいのに・・ 同じく、秋の野の花ではリンドウと並んで人気者のセンブリも、長池公園では未確認です。 近隣の堀之内、別所、下柚木、小山ヶ丘(町田市)などのススキ草地には自生しているので、 もしかすると、以前は長池公園にも
5 日前


トモエガモ帰還!
11月17日、昼下がりに常連の来園者から嬉しい速報が飛び込んできました。今年はどうかと 多くの方が待ち望んでいた冬の使者、トモエガモが8羽、築池に飛来したとの知らせです。 早速、築池を覗いてみると・・いました!先住のマガモよりも一回り小ぶりなカモたちが 泳ぎ回っていました。朝はまだいなかったというので、おそらく夜のうちに園内に飛来し、 午前中は長池奥など人目に付かない場所で過ごしていた子たちが移動してきたのでしょう。 長池では、ちょうど昼過ぎから里山サポーターによる外来種駆除活動が行われていたので、 侵入者に驚いて築池まで飛んできたのかもしれません。2020年末から翌年にかけて集団が 越冬して以降、毎年必ず姿を見せるようになり、現在では、冬の長池公園のマスコット的な 存在となっています。冬の間、そのユニークな姿が楽しめるようにそっと見守りましょう! トモエガモ発見の早道は、常連メンバーを覚えておくことです。単独で行動していることの 多いキンクロハジロ、年々渡来数が増加しているマガモ、常駐組のカルガモは基本ですね! 彼らのほかに、日替わりで数羽のオ
11月18日


オオシマザクラの紅葉
11月16日、ここ数日は毎晩ヒナコウモリがよく鳴いています。14日の夜には、京王堀之内駅 近くの「八王子別所」交差点で灯りの周りを「チッチッ」と鳴きつつ飛び回っていました。 これまで何度となく取り上げてきたヒナコウモリですが、ここでは初めて観察できました。 蓮生寺周辺が彼らの夜間の行動圏のようなので、昼間の居場所を突き止めたいものですね。 近所でオオシマザクラの葉が鮮やかに色付いてきました。コケの絨毯の上に散らばった赤や 黄色がとても美しく、毎年のことながらつい目を奪われてしまいます。モミジと比べると、 注目されることが少ない桜の紅葉。今年は特に鮮やかに色付いているので、おすすめです! ところで、先週12日に講師を務めた自然観察会の様子が、取材して下さったカメラマンの しみずことみさんのwebサイトで公開されました。 秋を探しに行こう──富士見台公園で出会った木と土の時間 | 長池公園園長 小林健人さん | 八王子市下柚木 - 気まぐれ史跡写真 当日の様子が詳しくレポートされており、素敵な写真と文章でまとめられています。まるで...
11月17日


今年も生きものフォト講座
11月15日、自然館前で今シーズン初めてのウソが鳴いていました。ウソではなく本当です。 ガイド中だったために双眼鏡で姿を見ることはできませんでしたが、間違いないでしょう。 ながいけの道、カタクリ観察路入口の手前にリンドウが咲いていました。園内の自生個体は いずれも園路から外れた雑木林の藪の中なので、こちらや長池左手奥の林床に定植してある ものをご覧いただければ幸いです。由木地区では風前の灯火となっているリンドウですが、 ニュータウンエリアを含む各所の雑木林に細々と自生しています。林の手入れが必須項目の 植物なので、自生地の開発だけでなく雑木林の管理放棄も大きな減少要因となっています。 さて、この日は毎年恒例となった「わぉ!わぉ!自然観察会 生きものフォト講座」が開催 されました。(公財)日本自然保護協会とソニーグループ㈱の共催企画で、メイン講師は昆虫 写真家の尾園暁さん、サブ講師を私が務めました。とはいっても、私はカメラや写真撮影の 知識がほとんど無いので、どちらかといえば、被写体となる自然や動植物との向き合い方に 関することを中心に、そのコツや
11月17日


みなみ野敬愛保育園の子どもたちと自然遊び
11月14日、公園スタッフが朝、尾根幹線道路でホンドタヌキを見かけたと話していました。 同日、鑓水方面でもタヌキの目撃情報。そして私もトイレを閉めに行った帰りの車中から、 フサフサの冬毛のタヌキを観察しました。時間は17時半頃、場所はトンボ池裏の園路です。 タヌキ自体は珍しい動物ではありませんが、この日はひょっとしてタヌキの集会?お祭り? 自然館中庭では、開花のもっとも遅い野菊の仲間、アワコガネギク(キクタニギク)が開花。 南関東で黄色い野菊は本種だけなので、見分けは簡単です。この辺りには自生しておらず、 本来は恩方方面や高尾方面まで行かなければ出会えません。葉っぱの形も変化に富んでいて 面白いので観察してみて下さい。雑種のシロバナアブラギクもマダケ林下に咲いています。 午前中、みなみ野敬愛保育園3歳児クラスの皆さんがはるばる遊びに来てくれました。園の ある七国周辺もみどりが豊かなので、日常の園外活動でも役立つような自然遊びを中心に、 ガイドを行いました。開始早々、館内の剥製に夢中になる子どもたち、保育士さんたち! 大人が楽しめば子どもたちはもっ
11月17日


別所小学校おおぞら学級と姿池清掃
11月13日、長池見附橋たもと(下流側)の植え込みで、シロヨメナが見頃を迎えていました。 「野菊の仲間は似たような花が多くて見分けられない!」という声をよく聴きます。本種は 幅の狭い純白の舌状花(花びら)と、深緑の細長い葉が特徴です。他の野菊と比べて、林縁の やや暗い環境を好み、生育環境からもある程度の種類に絞り込んで調べることができます。 木漏れ日に輝くシロヨメナは“可憐”という言葉がピッタリで、個人的に好きな野菊です。 シロヨメナの咲く長池見附橋の下、姿池では、別所小学校おおぞら学級の皆さんと一緒に 池清掃を開催しました。毎月、長池公園で自然学習に取り組んでいる子どもたちですが、 池の掃除は初めての試みです。専門学校東京テクニカルカレッジの学生や緑地管理チームの 面々も応援に駆け付け、賑やかに行われました。築池から越流してきた水生生物の観察も 行い、水の生きものに詳しい公園スタッフのKさんが、丁寧にレクチャーしてくれました。 池清掃と並行して、特定外来生物のオオクチバスとブルーギルの捕獲駆除も行いました。 水の引いた池に降りてきたハシボソガラ
11月16日


ヒメツチハンミョウとスッポンタケ
11月12日、午後から川口町での調査仕事中、思い入れのある昆虫とキノコに出会いました。 枯れ草にしがみついてじっとしていたのは、ヒメツチハンミョウの雌です。同行した市の 職員が見つけて下さりました。ヒメツチハンミョウは毎年どこかしらで出会っていますが、 幼虫を見たことがある方は少ないのではないでしょうか。彼らは単独生活を送るハナバチの 仲間の巣に寄生して成長する習性があります。巣に寄生する方法はとてもギャンブルです。 数千匹もの幼虫が草によじ登り、花を訪ねてくる昆虫を待ちます。いざ昆虫が飛んでくると 背中に飛び乗り、見事、その昆虫がハナバチの雌であった場合のみ、産卵の際に巣の中への 侵入を果たすことができるのです。ハナバチの登場を待つヒメツチハンミョウの幼虫集団は 滅多に見ることができません。怖いもの見たさで、いつかそのシーンに巡り合ってみたいと 思っていた矢先、2021年3月に幸運にも遭遇することができました。幼虫の集団は黒い塊と なってうごめき、全部で10塊くらいがヒガンバナやスイカズラの葉先に集まっていました。 このときは毎月定例の野外講座
11月14日


秋の彩りとクワエダシャク今季初認
11月11日、長池小学校つばさ学級の定例プログラムと秋葉台小学校5年生の米作り授業の 最終回「脱穀」が、どちらも長池公園で行われました。脱穀は長池里山クラブとサトシゴの 皆さんに託して、私たちスタッフは長池小学校つばさ学級の皆さんと「秋の色探し」です。 開始早々、自然館前のマンサクの落ち葉の美しさに目を奪われました。一つとして同じ色は ないのではないか、そんなことを思わせるほど、じつに色とりどりの葉が落ちていました。 先週のブログ記事で考案した言葉がピッタリの、とても“うばめがしい”光景なのでした。 ふと思い付いて、手に取った落ち葉を緑のフキの葉っぱのポケットに差し込んでみました。 今年は木々の紅葉が非常に美しく、伝統色を手がかりにした色探しも順調に進みました。 鮮やかに色付いたキブシ、下から上へとグラデーションを魅せるミツデカエデ、花だけで なく葉っぱもやまぶき色に色付くことを知ったヤマブキなどなど。そして、注目すべきは 樹木だけではありません。草紅葉(くさもみじ)と呼ばれる雑草の葉の芸術も天下一品です。 先日もいくつかご紹介しましたが、今日は
11月12日


アブと私
11月10日、市内西部の民有緑地を調査中に、花盛りのオヤマボクチを見つけました。裏山に オヤマボクチが自生しているなんて素敵なお宅です。いくつかの希少な草花を除き、周りは 綺麗に選択的な下草刈りがなされているので、居心地が良さそうでした。花に近付くと・・ 何匹ものホソヒラタアブがとっかえひっかえ、花を訪れていました。内部に潜り込むことは せず、筒状花の先端に止まって何をしているかといえば、蜜ではなく花粉を食べているよう です。それを証拠に、紫色の葯を目掛けて訪花しており、頭花の中央やピンクの柱頭が顔を 出している筒状花には見向きもしません。花粉を食べつつ、自らも花粉を運び、その媒介に 一役買っているのでした。ホソヒラタアブは幼虫がアブラムシを食べることから、もっとも 身近な益虫としても知られています。ハチみたいだし、アブなんて興味ないという方も多い でしょうけれど、草花を楽しみたい方にとっては、とっても重要な存在といえるでしょう。 ここでは、花を咲かせた株はわずか1個体だけでした。アブたちはいったいどうやってこの 森の中の1本のオヤマボクチに巡り
11月12日


ガビチョウのポートレート
11月9日、渡り途中の夏鳥や半年ぶりに再会する冬鳥、そして可愛らしいカラ類の群れと、 目移りしてしまうこの頃です。そんな中、マイペースに私の前にずんずん近付いてきて ポーズをとってくれたのは、おなじみのガビチョウです。私が初めてガビチョウに出会った のは今から30年も前のこと。関東ではまだ定着して間もない頃に高尾山麓で観察しました。 当時の図鑑にはもちろん載っていませんでしたし、名前を知っている人もいませんでした。 あれからどんどん分布も広がって、低山から里山、そして住宅街のちょっとしたみどりでも 見かける身近な存在に。今や、スズメやヒヨドリ並みに知られている“超有名人”ですね! あまり積極的にカメラを向けることが無かったことを反省し、アップで撮影してみました。 首から胸にかけての羽毛が“野ネズミっぽい”ことや、嘴の色にグラデーションがあること など、改めてよく見ると、新鮮な気付きがあります。そして特に面白いと思ったのはヒゲ。 地上採食性の鳥や、空中で昆虫などを捉える鳥には、嘴の周囲にヒゲのような細長い羽毛が 発達することが知られていますが、ガビ
11月11日


コシボソヤンマとシラタマタケ
11月8日、先週は出張で上川町方面の緑地へ、2度出かける機会がありました。多摩丘陵では ほとんど見られない低山地性の動植物が多く、訪れる度に良い出会いが待ち受けています。 薄暗い沢筋の高さ6mくらいのスギの枝先に、大型のトンボが止まりました。双眼鏡で見ても よくわからないくらいの距離です。崖をよじ登り、何とか全身を捉えることができました。 腹部第3節がキュッとくびれているのが特徴の、コシボソヤンマでした。この個体は雌で、 雄はこれよりもさらに細くくびれます。ここから数百mほど離れた谷戸でも足もとを低く 飛ぶコシボソヤンマを目撃したので、意外と、高い密度で生息しているのかもしれません。 少ないながら、長池公園や大栗川でも記録があり、河川の上流域から中流域までずいぶんと 広い範囲に分布するのには驚きです。晩秋とはいえ、まだまだトンボから目が離せません。 もう一つ、面白いものを紹介します。市の職員が数日前に森の中で見つけたというキノコ。 私が以前このブログで紹介したオニフスベに似ているけれど、小さいサイズのまま何日も 同じ状態・・ということで、ついでに
11月11日


センブリのお花畑
11月7日、梶川緑地の大イチョウ周辺と梶川公園の草刈りを行いました。作業中、1年くらい お会いしていなかったあるご夫婦とバッタリ。鹿島・松が谷方面をフィールドに野鳥観察を 楽しんでおられるお二人とは、以前は草刈りや巡回の度によく鳥談義に花を咲かせたもの です。今でも、変わらず穏やかな眼差しで野鳥に目を向けている姿を見て、癒されました。 「この木(アキニレ)にはカワラヒワがよく来ますよね!」と話していたら、そのそばから “ピリリリ、ビーン”と鳴きながらカワラヒワの群れが梢に飛んできました。あまりにも タイムリーで「元気そうな○○さん(私)とカワラヒワに会えて、今日はいい日だなぁ!」と グータッチを求めてくるご主人、素敵です。皆さんとのやりとりは本当に励みになります。 日中、堀之内東山そらみの森緑地で2023年に見つかって以来、保護してきたセンブリ群落を 見に行ってきました。ちょうど花盛りで、一面にお花畑が広がっていました。今年発芽した 実生個体、開花個体とも数は明らかに増えており、生育は良好の様子。雑草はぼうぼうでは なく程良く生えている感じなので
11月9日


なりすましサギ
11月6日、朝から姿池にダイサギがいたよと、自然館スタッフから情報提供がありました。 普段、姿池で見る大きな鳥はアオサギとハシボソガラスがほとんどなので、確かに珍しい。 午後の空き時間に行ってみると、さすがに姿池にはもう鳥影はありませんでした。しかし、 堤防を挟んだ向かいの築池の倒木上に、ダイサギが休んでいました。あ、移動したのかな? さすがの存在感で、立ち止まってスマホで写真撮影を試みる人も多数。まるで絵画のような 美しい情景に、しばらくうっとりと眺めてしまいました。そしてあることに気付きました。 こちらが朝、姿池を歩いていたというダイサギです。むむ・・築池の子と別人ではないか! 首を伸ばしているのでそもそも違う感じに見えますが、そこではありません。足にご注目。 少しわかりにくいですが、姿池にいた子は脛(すね)から跗蹠(ふしょ)の一部までの範囲が 黄白色をしているのに対して、先ほどの築池の子は足全体が黒いことが確認できたのです。 つまり、別の個体に入れ替わっていたわけです。写真に撮ってあったからこそ、気が付く ことができました。さらに、この違い
11月8日


秋咲きのマンサク
11月5日、春の第一弾に続く共同企画として上柚木公園で秋の自然観察会を開催しました。 指定管理者「スポーツ&グリーン上柚木」が管理運営を行う上柚木公園は、陸上競技場を はじめとするスポーツ施設の充実した運動公園ですが、大栗川のかつての流路に沿って、 雑木林の崖線が連なるほか、園内には自然草原などが残っており、自然の質も高いはず・・ 上柚木公園の“みどり”の魅力や価値を掘り起こし、楽しんでいただこうというわけです。 約2時間半の観察会は、はじめから終わりまで盛りだくさんの内容となりました。参加者の 熱心さにはこちらも驚くほどで、次々に発見や質問が飛び出します。集合場所で待ち時間の 間に見つけられたということで、エノキの実生に止まるアカボシゴマダラの幼虫の観察から 始まったのですが、コスモス畑もじっくり見ていきたい。なぜなら、コスモスの周りに群生 する外来雑草のコセンダングサと、おなじみのコスモスがじつはとてもよく似ていることを 紹介したかったからです。そんなわけで行ったり来たりしているうちに、開始20分が経過。 いつもどうり、順調です笑。色々観察し
11月7日


別所小学校1年生と秋の色集め
11月4日、別所小学校の元気な1年生の皆さんが、秋を探しに長池公園へやってきました。 前回、チュウゴクアミガサハゴロモ探しに夢中になった面々。今回は“色”がテーマです。 かつて、日本人は自然の中に様々な色を見出して、自由に名前を付けていました。そんな、 伝統色の中から選び抜いたオリジナルのカラーチャートを配布して、まずはお手並み拝見。 くちば色、なでしこ色、とうもろこし色・・おんなじ色の葉っぱや木の実は見つかるかな? 次は見つけたものの色を何かに例えて、今度は皆さんが色の名前を作る番です。素敵な色が たくさん生まれました。きらきら色やオーロラ色など、想像力を掻き立てる響きですよね! 綺麗な落ち葉やどんぐりを拾い集めたり、赤トンボが遊びに来たり、色探しのミッションは 里山の秋を思い思いに味わう時間でもあります。全員が最高の表情で楽しんでくれました! 授業のあとは、今月15日に開催されるフォト講座(日本自然保護協会・ソニー共催)の下見を 行いました。現在、展示室2で開催中のフォトコンテスト入賞作品展とのタイアップ企画と して毎年恒例となっているイベン
11月6日


アプリ片手に松が谷散策
11月3日、東京都と㈱バイオームの共同プロジェクト「東京生きもの調査団」の課外活動と して、バイオームアプリを使った自然観察会が松が谷周辺で開催され、講師を務めました。 「東京生きもの調査団」は、東京都の生物多様性を守るために、東京都・専門家・都民が 一体となり、デジタル版野生生物目録「東京いきもの台帳」 を作成するプロジェクト。「いきものコレクションアプリBiome」を使い、市民科学の力を活かして東京の野生生物の 情報を収集・蓄積していくものです。都民一人ひとりが調査員・・素敵な取り組みですね! 東京いきもの調査団 課外活動~多摩丘陵編~ in 松が谷エリア - 東京いきもの調査団 都内各地から集まった参加者とともに、松が谷遊歩道さんぽみちをゆっくり歩き始めます。 生きもの好きの子どもたちも参加していて、次々に動植物を見つけては教えてくれました。 私一人だったら、つい草木や鳥、昆虫ばかりに目がいってしまう散策も、クモやヤスデ、 ナメクジ、コケ、地衣類、キノコなどなど・・生きとし生けるもの全てに目を向けます。 私も負けじと、樹名板の裏のヤモリ&カ
11月4日


うばめがしい秋の一コマ
11月2日、メジャーリーグでの日本人選手の活躍に心を動かされた方も多いことでしょう。 私もその一人です。海の向こうの出来事に、幾多の人々が注目し、感動を分かち合う・・ スポーツの力は凄いですね!スケールこそ全く違いますが、自然体験も人々の心を動かす 素晴らしい力を持っていると思います。感動の連鎖が、少しずつ広がっていきますように。 さて、長池公園のお隣、道向かいの松木公園には長池公園には無いものが色々とあります。 その一つがウバメガシのどんぐりです。ウバメガシは南方系の樹木で、自生地は沿岸部など 潮風の当たるような環境ですが、内陸でも公園樹や生垣として植えられることがあります。 備長炭の原材料としても有名ですね。ウバメガシは花の咲いた翌年の秋に果実を付けます。 果実は確かに、帽子(※パンツとも表現される)付きの、いわゆるどんぐりそのものですが、 注目すべきはその色・かたち・大きさがバラバラで、じつに多様性に富んでいることです。 色や形の揃ったどんぐりのほうが使い勝手が良さそうではありますが、ウバメガシの場合は その不揃いさを逆手にとって、それぞれ
11月3日


誰のお尻?
11月1日、早いものでもう11月です。毎年のことなのですが、10~12月は対応が立て込み、 うっかりすると秋の自然の見どころを逃してしまうので、季節の変化を五感で味わうための アンテナは大切にしつつ過ごしていきたいと思います。意識次第で景色も変わるものです。 この日は休みでしたが、所用でちらっと長池公園へ出向くと、パーキッズの小学4年生で 野鳥観察にのめり込んでいるKくんが家族で散策に来ていました。私も彼と同じ歳の頃には まだ見ぬ野鳥を追い求めて各地に出かけていたので、自分と重ね合わせてしまうのでした。 それにしても、第二デッキの茂みに佇むキビタキを目ざとく見つけたり、小鳥の地鳴きを 一つ一つちゃんと聴き分けていたりと、短い期間で急成長を遂げたことが伺えて感心感心! つくいけの道を一緒に歩いていたら、頭上で大きな声がしました。見上げてみると、お尻! 正体はこの子、最近渡ってきたばかりで体験ゾーンを縄張りにしているジョウビタキです。 この子は、いつも落ち着きがなく気が立っているように感じます。渡来直後だからなのか、 性格的なものなのか、もう少し時間
11月2日


体験ゾーンの小鳥たち
10月31日、自然環境保全実習3日目は、先日のタマノカンアオイ調査の続きとマダケ林の 管理を行いました。少し時間に余裕があったので、体験ゾーンの田んぼ脇水路を利用する 小鳥たちの行動を観察しました。この場所は水浴びに訪れる小鳥の観察ポイントなのです。 水場へ降りる途中で小鳥が伝ってくる枝に、鮮やかに紅葉したエビヅルが絡んでいました。 ここに止まってくれたら秋らしくてとてもいいな・・と妄想していると、心を読まれたのか メジロがちょこんと立ち止まってくれました。背景の枝などがごちゃごちゃしているので、 写真としては今ひとつかもしれませんが、季節感のあるシーンを記録に残せて大満足です。 田んぼの周囲には、冬鳥のジョウビタキと夏鳥のキビタキ、留鳥のコゲラなどがいました。 先日のカイツブリはすでに姿が見えなくなっていて、築池には代わりにマガモがいました。 これらのほかに、漂鳥のアオジ、クロジ、シメ、ビンズイなども先日から確認しています。冬が近づき、鳥たちも存在感を増してきました。ぜひ双眼鏡を片手にお出かけ下さいね!
11月2日


癒しのエナガ
10月30日、自然環境保全実習2日目は雑木林トレイルの一角にあるタマノカンアオイ群落の 個体数調査や、センサーカメラの設置などを行いました。全部で162個体をマーキングし、 個体ごとに生育状況や展開している葉の枚数などを丁寧に調べて、モニタリングしました。 頭上ではエナガの群れが賑やかに飛び回っており、作業の疲れを吹き飛ばしてくれました。 なぜかシマエナガのほうが一般の認知度が高い昨今ですが、本州に生息するエナガだって 可愛さでは負けていません。シマエナガと違って目の上に太い黒のラインが入っています。 群れの中に一羽、こんな子が混ざっていました。エナガの特徴ともいえるあの長い尾羽が 見当たりません。尾羽が無いと真ん丸でまるで別の小鳥のようです。秋は換羽の季節なので おそらく尾羽が生え変わる途中の姿ではないでしょうか。マシュマロみたいで癒されます! ヤマガラやガビチョウも作業の様子を覗きに来てくれました。いや、むしろ私たちが彼らの 生息域に踏み込んでいたのでしょう。植物はヤクシソウ、ノコンギク、ノハラアザミです。 ナラ枯れ木を伐採した跡地を中心に、
11月2日


チュウゴクアミガサハゴロモの捕食者
10月29日、専門学校東京テクニカルカレッジ2年の自然環境保全実習がスタートしました。 初日は終日、自然館での座学です。話すのも聞くのも大変ですが、フィールドでの実習に 先駆けて、野外活動での心得や作業上のリスクマネジメントを学ぶことはとても重要です。 特に危険生物や野外での事故の項目では、自身のエピソードトークが役立ちます。説得力の ある注意喚起ができるからです。学生たちもきっと危機意識を持つことができたはずです。 ところで、先日の道草くらぶ活動のときに、ながいけの道で拾ったこちらの羽。落とし主の 正体はわかるでしょうか?羽軸を挟んだ片側がブルー、片側がブラックの二色の尾羽です。 正解はこちら。シジュウカラです。青い鳥を想像された方も多いと思いますが、意外にも、 白黒の小鳥の羽なのでした。写真で見ると、確かに翼や尾羽が青灰色味がかっていますね! そしてこの写真は授業の休憩時間に自然館中庭で撮影したものですが、よく見ると、アレを 咥えています。そう、昨今話題のチュウゴクアミガサハゴロモです。こんなにあちこちに 数多く生息しているのだから、小鳥が食
11月2日


みちくさもみじ
10月28日、園内の草花に名札を設置しつつ植物を学ぶ「道草くらぶ」の活動を行いました。 愉快で陽気な面々と、この日も珍道中が始まりました。植物の名前は必ず聞き間違えるし、 何回も同じ質問を繰り出す皆さん、期待を裏切りません笑。でも、楽しいのが一番ですね! 雑草にも目を向けてもらいたいという思いから、今回は地味でありふれた草花にも名札を 付けてみました。そんな中、ひっつき虫の王道の一つであるヒカゲイノコヅチに目を奪われ ました。見て下さい!この美しい草紅葉!これまでも、葉の色付く草花をたびたび紹介して きましたが、思いもよらない雑草が紅葉しているのを見つけたときの感動はまた格別です。 ながいけの道など、園内の各所に群生しているカラスノゴマも葉が赤く色付いていました。 真っ赤も良いですが、1枚の葉が緑から赤へとグラデーションになっているのも綺麗です。 この時期、ほとんど花の目立たないカタクリ観察路では、白いブラシのような姿が印象的な サラシナショウマの花が咲いていました。思わず触ってみたくなる可愛らしい花ですよね! 散策中に出会った植物と昆虫の一部で
11月1日


秋色彩々
10月27日、長池公園では草木の葉が色付き、一年でもっとも彩り豊かな季節の到来です。 駐車場から自然館まで、普段なら素通りしてしまう植栽されたガマズミも、ほらこの通り。 ドキッとするような美しさです。黄葉したアカシデの落ち葉に私も影で埋もれてみました。 この日、午前中は「いきものがかり植物班」の活動で自然館周辺の手入れが行われました。 メンバーのお一人、Tさんが引っ越しされるとのことで、これが最後の参加となりました。 Tさんには、長きにわたり、お世話になってきました。中庭や自然館周りの保護植物などを 手厚く見守り、丹念に育ててきて下さりました。そしてこのブログも読んで下さっていて、 動植物の生きざまについて、参考になる情報を惜しみなく教えて下さり、語り合いました。 最近は私が忙しくて、なかなかゆっくりお話できなかったことが悔やまれます。この日も、 樹木移植の現場立ち合いに出ていてお会いできませんでした。この場を借りてこれまでの 感謝の意をお伝えします。たくさんご尽力いただきありがとうございました。新生活でも Tさんらしく、自然観察を続けていかれる
11月1日


メリケントビハムシ
10月26日、先週の千葉市の調査では、巨大なオニフスベとの遭遇に気持ちを持っていかれて すっかり忘れるところでしたが、もう一つ個人的に嬉しい出会いがあったので紹介します。 それがこの美しい外来昆虫、メリケントビハムシです。2020年に国内では初めて茨城県で 発見され、その後関東地方のほぼ全域に定着していることが明らかとなり、2023年に和名と ともに発表されたばかりの甲虫です。近年、各地で話題になっていたので見ておきたかった 昆虫の一つでした。じつは近所でもすでに観察されているのですが、私はこれがお初です。 似たようなハムシがいるのですが、本種の食草であるイヌビユを美味しそうに食べている 様子を観察したこと、撮影後に指で触れようとするやいなや“ピュッ”とどこかへ跳んで 逃げたことから、確信が持てました。写真で見るよりもずっと青味が強く、前胸の赤色との コントラストがかなり目を引きました。これから、この辺りでも増えてくるでしょうか? アメリカ原産のメリケントビハムシよりも、一足先に市民権を得た(?)中国原産の彼らは、 今年はもうどこへ行っても必ずと
10月31日


あめでもともと
10月25日、朝から雨で観察会が一件中止になりました。午前中のパークキッズレンジャーの 活動と、午後から市内の緑地で出張講師を務めることになっていた「里山レンジャーズ」の 活動は、雨にも負けず、どちらも決行に。私は日頃から“雨だからこその愉しみ”を探求 しているので、荒天など危険が伴う場合を除き、悪天候のフィールドワークも大好きです。 そのことをよくわかっているパーキッズの子どもたち+親御さんが大集合してくれました! パーキッズの活動は園内に設置してあったセンサーカメラの回収と解析です。早速、霧雨の 園内へ繰り出します。築池の堤防では、チカラシバにたくさんの水滴が付いて、とっても 幻想的な光景が広がっていました。近付いてみると、ウスバキトンボが一休みしています! そうか、雨の日はこういう場所でじっと翅を休めていたのですね。そっと指を近付けて・・ 手乗りウスバキトンボです。乗るというより、ぶらさがっているほうが落ち着くようです。 子どもたちの指を伝ってリレーしていきます。こんなこと、雨の日じゃないとできません! もう1種類、翅を休めている昆虫がいま
10月31日


夏の名残りと冬の使者
10月24日、堀之内沖ノ谷戸公園の参道沿いの草刈りを実施しました。ずっと後回しにして しまっていた、展望台下のクチナシグサ群落も選択的草刈りを行いました。ススキは少し 塊で残して虫たちの退避場所を確保したので、生きものの拠り所になるかもしれません。 作業車両で堀之内東山はぐくみの森緑地を通りがかった際、車の目の前に小鳥が飛び出して きました。ロープ柵に止まった姿を確認するとジョウビタキでした。この辺りでは冬鳥の ジョウビタキですが、先週くらいから続々と渡来情報が届き、私自身も確認していました。 車を降りて証拠写真を撮っていると、今度は別の雌と雄3羽が次々に飛来し、小さな群れで 動いていることに気付きました。ジョウビタキは渡来して間もなく単独で縄張りを確保する 習性があるので、複数個体が一緒にいるのは珍しい光景です。おそらくまだ渡りの途中で、 これからさらに南下する個体群が立ち寄っていたのだと思われます。秋らしい光景でした。 地上に葉を広げているクチナシグサに注意を払いながら草を刈り進んでいる時に、ふと横の クヌギの木に目を向けると、なんとスズメバ
10月30日


イシミカワの彩りと長池自然学校!?
10月23日、自然館中庭では鮮やかな瑠璃色をしたイシミカワの果実が見頃を迎えています。 瑠璃色の部分は花被が実を包み込んだもので、はじめは淡いクリーム色をしていますが、 やがて桃色~赤紫色に色付き、そこから青味が増していきます。一つの果序に様々な段階の 果実が見られるのでとてもカラフルです。先日の千葉出張でもイシミカワに出会いました。 果実の美しさもさることながら、この植物は“かたち”も魅力的です。茎を抱き込むように 付いた真ん丸の葉っぱ(托葉)と、長い柄のある三角形の葉っぱ。そのどちらも、一つの茎に 見ることができます。たとえ果実が無くても、“丸”と“三角”の葉っぱが同居していれば イシミカワと判別できるでしょう。また、他の植物によじ登って伸長する習性があり、茎に 斜め下向きの鋭いトゲがたくさんあるのも特徴的です。観察の際にはトゲにご注意下さい! 群落の中に、果皮が失われて中の実が剥き出しになっている個体を見つけました。意外な ことに、中の実は光沢のあるブラックでした。このままでも十分目立ちそうなものなのに! さて、この日は長池公園に多くの子ど
10月29日


念願のオニフスベ
10月22日、企業案件で千葉県某所の都市開発予定地へ出張してきました。関係者の皆さんと 現場を歩いての調査観察はこれが3回目でしたが、この日もまた良い出会いがありました。 調査地に隣接する谷へ足を踏み入れた直後、遠くにバレーボールのような塊が見えました。 あれはもしかして!・・近付いてみるとやはりキノコでした。大きなものは直径30cmほど! ハラタケ科のオニフスベという種類で、日本特産にして最大級の“お化けキノコ”です。 今回見つかった個体の多くは、すでに白い外皮が消失して褐色の内皮が剥き出しになって いましたが、この内皮の内側にはぎっしりとほこり状の胞子塊が詰まっていました。触った 感触はパンのように柔らかく、ゴムボールのように軽くて転がすとコロコロ止まりません。 小さい頃に眺めていたキノコ図鑑に載っていて、そのビジュアルに衝撃を受けたのをよく 覚えています。ずっと見てみたいと思っていたのですが、なかなか縁がありませんでした。 そんなわけで、見つけた瞬間から子どものように興奮しっぱなし。林縁に点在して生える オニフスベをひとしきり観察したあとは
10月28日


モミジルコウと長池小学校4年生クズとり
10月21日、調査の仕事で通りがかった空き地に、鮮やかな朱色の花が群生していました。 ヒルガオ科のモミジルコウ(ハゴロモルコウソウ)という植物です。栽培品の逸出でしょう。 マルバルコウとルコウソウの交配種で、葉の切れ込みは両者の中間的。モミジのような形を していることからその名が付けられました。最近はどこでも見かけるマルバルコウと違い、 モミジルコウを目にする機会はあまり多くありません。ちょっと嬉しい出会いなのでした。 この日の調査は、熱心な市の職員お二人と一緒にいくつかの緑地を廻りました。思いがけず コシオガマやカエデドコロなどのやや希少な種類も記録できて、上々の成果を挙げました。 写真は順に、コシオガマ、シュロソウ、イヌショウマ、タチツボスミレ、ボタンクサギ、 ウシハコベ、ヤクシソウ、ヒメセンナリホオズキ、アメリカアサガオ、カエデドコロ、 ノブドウ、イヌアワです。※季節外れのタチツボスミレは水辺で返り咲きしていたもの。 一方、午前中は長池小学校4年生による体験プログラム第2回(第1回は姿池清掃)のクズとり ミッションが実施されました。小学校の
10月26日


マルバツユクサの繁栄と公開座談会
10月20日、午前中は港区青山の「地球環境パートナーシッププラザ」へ出張してきました。 関東EPOと環境再生保全機構が主催する、都市の環境保全活動に関する公開座談会に登壇 するためです。途中、電車が運休になるアクシデントに見舞われてどうなることかと・・ 朝一番、京王堀之内駅前の歩道沿いにマルバツユクサがたくさんあるのが目に入りました。 堀之内周辺では、主に大栗川よりも北側に広く見られる雑草で、造成土や畑の堆肥に種子が 混入して持ち込まれ、定着したとみられます。旺盛な繁殖力によってみるみるうちに分布を 広げてきました。もともとは南方系の雑草なので国内外来種とされていますが、国内だけで なく、東南アジア産のヤシ殻堆肥など、大陸から渡来した系統も多いことが予想されます。 地中に閉鎖花を付けて自家結実することもあって、分布の広がり方が尋常ではありません。 座談会を無事に終え、青山の街角で最初に出迎えてくれたのもこのマルバツユクサでした。 2つずつ並んだ花が愛らしく、足を止めてカメラを向けてみました。丸葉も可愛いですね! こちらが登壇した「都市部における“
10月25日


モズの高鳴きと長池イベントday
10月19日、各地でモズの高鳴きが聴こえてくるようになりました。秋の里山の風物詩です。 目立つ枝先などに止まって縄張りを主張し、獲物を狙う姿は猛禽類さながらの迫力ですが、 よく見ると可愛らしい顔をしています。この顔でネズミやトカゲを咥えていたりするので、 なかなかのギャップです。そして、縄張りに侵入した他のモズや大型の小鳥に対して果敢に 攻撃を仕掛ける姿もまた、負けん気の強さを感じさせます。観察していて飽きない鳥さん! さて、この週末は長池公園で3つのイベントが同日に開催され、とても賑わっていました。 南大沢図書館主催「パークライブラリー」、NPObirth主催「桑都の杜 森づくり勉強会」、 そして、長池公園主催「セイタカアワダチソウで草木染め」です。どのイベントも盛況で、 参加者の笑顔に溢れていました。パークライブラリーは雨天のため途中で中止を余儀なく されましたが、午前中だけで300人近い来場者があったそうです。「みんなの長池」最新号 でもインタビュー記事を掲載している大学院生のOさんが、長池見附橋や長池伝説を独自の 講談や一人芝居で表現して
10月24日


ハチオウジアザミの訪問者たち
10月18日、自然館の中庭テラスで保護栽培中のハチオウジアザミが、満開を迎えています。 連日、たくさんの昆虫が蜜を求めて飛び回っており、訪花昆虫の観察にはもってこいです。 昼行性の蛾の一種、ホシヒメホウジャクが、まるでハチドリのごとく飛び回っていました。 ここで見られるホウジャクの仲間では、もっとも数が少ない種類です。止まっているときは 枯れ葉そっくりなのですが、飛翔するときは翅を素早く動かしているので別人のようです。 よく見ると、ホウジャクの仲間ではあまり見られない蜜の吸い方をしています。ホバリング しつつ、前脚を花にわずかに引っかけて、体を安定させながら吸う行動が観察されました。 こちらは2番目に数が少ないヒメクロホウジャクです。以前も、ぬいぐるみのようで可愛い ホウジャクとして、表紙に取り上げたことがありましたね。 ホウジャク2種とオオスカシバ もっとも数多く見られるホウジャク類が、このホシホウジャクです。ブーンと羽音を立てて 花の周りを飛び回るハチのような蛾を見つけたら、たいていはこの子でしょう。蛾だという ことを知らなければ、一瞬、ビク
10月21日


珍しい雑草三題
10月17日、大塚方面のふきつけ公園と竜ヶ峰公園で、草刈りを実施しました。竜ヶ峰公園の 入口付近の路傍で8月に見つけたある雑草が気になっていたので、もう一度見てきました。 その雑草がこちら。アオイ科の外来種、中央アメリカ原産のホソバキンゴジカ(推定)です。 市内で確認している近縁のキンゴジカやアメリカキンゴジカよりも、葉が明らかに細長く、 全体の質感や出で立ちもなんとなく違っています。発見時はもっと小さくて葉も数枚しか 付けておらず、おまけに未開花だったので、そもそもキンゴジカの仲間で合っているのか 確かめるためにも、やはり花を見ておきたかったのです。草刈り作業の撤収を始めた午前 11時半頃、それまでしぼんでいた花がじわじわと開き始め、15分ほどの間に花開きました。 なぜかはわかりませんが、この仲間は開花時間が非常に短く、日中の限られたタイミングに しか花を咲かせている姿を見せてくれません。現場を引き上げなければならなかったので、 最後までは見届けられませんでしたが、しっかりキンゴジカ属特有の花を確認できました! 見つける→調べる→観察する→調べ
10月21日


秋深まる
10月16日、長池公園では早くもジョウビタキの雄が初認されました。近年は国内でも多数の ペアが繁殖しており、もしかすると国内を南下する途中で立ち寄った個体かもしれません。 夏鳥のキビタキもまだいますし、本格的に姿を見るようになるのはもう少し先でしょうか。 この日は、調査の仕事で市内3ヶ所の民有緑地を廻ってきました。最初に訪れた緑地は隣接 して栗畑が広がっており、なんとも秋らしい光景に出会えました。クリは、秋の味覚として 日本を代表する伝統果樹の一つですが、そのルーツは古く、縄文時代にはすでに利用されて いたことが知られています。植物としてのクリの起源は驚くほど太古までさかのぼります。 6000万年以上も昔、恐竜たちが闊歩した白亜紀後期にクリの祖先が生育していたのだとか。 クリが歩んできた途方もない歳月と、人々との関わりの歴史に思いを馳せてしまいますね。 栗畑の足もとにはハマハナヤスリ、コハナヤスリ、コヒロハハナヤスリなどハナヤスリ類が 一面に混生していました。適度な湿り気があり、程良く草刈りされる芝草地が彼らにとって 好条件のようです。雨の雫がキ
10月20日


秋川丘陵の自然さんぽ
10月15日、講師の仕事で、武蔵五日市から広徳寺(あきる野市)を目指して歩いてきました。 秋川丘陵はすっかり秋の風情に溢れており、あちこちからモズの高鳴きが聴こえてきます。 涼しく快適な散策日和となりました。道中で出会った動植物のうち、一部をご紹介します。 この日、私がもっとも印象に残ったのは広徳寺の林縁に群生していたキバナアキギリです。 長池公園のカタクリ観察路をはじめ、南多摩でもあちこちに分布しているので、珍しいもの ではありませんが、一面の群落、それも花がとても良い状態でした。キバナアキギリなど、 サルビアの仲間の花を見ると必ずやってしまう遊びがあります。細い枝を花にやってきた 昆虫に見立てて花の奥まで差し込むのです。枝の先が仮雄しべに接すると、すぐに上から 2本の雄しべがパタンと降りてきて差し込んだ枝をホールドします。つまり訪花した昆虫の 背中に、雄しべがペッタンペッタンと花粉のスタンプを押すように設計されているのです。 広徳寺周辺で観察した植物です。ナガバノヤノネグサ、ユウガギク、ヤマゼリ、カヤラン、 イワウメヅル、トキホコリ、ササクサ
10月19日


中庭テラスの植物と秋葉台小学校5年生の稲刈り
10月14日、各地で秋の野菊類が見頃を迎えています。自然館中庭テラスでは、薄紫色の花が 魅力的なカントウヨメナが咲いていました。ユウガギクやノコンギクとよく似ているので、 正確に判別するには、種子の綿毛の有無や長さ、葉の形態などを確認する必要があります。 見慣れてしまえば、遠目からでもある程度は検討が付くようになり、特に生育環境の違いで 「ススキの原っぱに見え隠れしているのはノコンギクだろうな~」、「湿っぽい草地に群生しているのはきっとユウガギクだ」などと言い当てられるのも、野菊の面白いところです。 カントウヨメナは主に田んぼの畔や湿地に生育します。水辺に咲く背が低めの紫色の野菊は 本種の可能性が高いといえます。当たりを付けてから細かい点を確認すると良いでしょう。 向かって右手の水鉢では、再びミズアオイが開花していたほか、希少なタウコギも開花中。 どちらも園内には自生せず、他所から移植したもの。3枚目は園内自生のコメナモミです。 さて、この日は秋葉台小学校の5年生が米作りの学習で長池公園へ来園しました。3クラスが 順番に、長池里山クラブ指導のもと
10月17日


この羽誰のもの?
10月13日、今朝も長池にはオシドリのペアが滞在していたそうです。メンバーは日替わり? ところで先日、公園スタッフのKさんが園内の雑木林で特徴的な鳥の羽を拾ってきました。 この羽を見て一目で落とし主がわかった方は、なかなかのセンスです。答えはイカルです。 イカルの初列風切羽なのですが、白い斑紋が片側しかないので、最も外側の一枚でしょう。 以前にも市内でイカルの羽を拾ったことがありますが、それとは模様が異なっていました。 自然館の窓口では、スタッフが拾ったモノを色々と展示しています。早速、仲間入りです! 一方、展示室1の休憩スペースにあるミニ本棚にも新刊本が少しずつ配架されています。 その中から一冊ご紹介。山と溪谷社から今月発売されたばかりの『野鳥の食事事典』です。 著者はバードリサーチのお二人で、私も植物イラスト監修を担当させていただきました。 野鳥が何を食べているか、なんとなくは知っていても、種ごとにきちんと調べた記録は 案外多くありません。この本のベースはバードリサーチが取りまとめている全国規模の 食性データベースの情報がもとになっています。
10月14日


東京都外来種対策リスト2025
10月12日、ご紹介が遅くなってしまいましたが、専門委員の一人として一昨年度から策定に 関わってきた東京都の「外来種対策リスト(ブルーリスト)」が先月より公開されています。 外来種対策リスト・外来種対策行動の手引き|希少な野生動植物の保全と外来種対策|東京都環境局...
10月13日


ツリフネソウのお花畑
10月10日、鹿島公園の草刈りを実施しました。この時期の緑地作業は一年でもっとも快適と いえるかもしれません。涼しい中での動力作業は、ちょっといい汗かいて、じつに健康的! ところで先日7日、近隣の都立公園から依頼をお受けして、閉鎖管理区域内の現地調査を...
10月13日


はみ出すシモバシラ
10月8日、自然館での打ち合わせが3件と緊急対応が1件と、少し慌ただしい一日でした。 そんな時こそ、スキマ時間は自然館周辺の花パト(開花植物の状況確認)に限りますね! 会議室1の窓辺から見える植栽地では、いつしかシモバシラの花が満開になっていました。 冬の朝に見られる珍妙な「氷柱」が作られることで有名なシソ科の植物です。花は純白が スタンダードですが、ほんのりピンクがかった品種のウスベニシモバシラも稀に見ます。 「氷柱」の人気ぶりに比べて、花のほうはあまり知られていません。開花期は10月頃です。 自然館前の植栽株は以前、雑草と一緒に誤って刈り取ってしまったことがあり、その反省で 最近は気を付けて手入れするようにしていたところ、今度はウッドデッキの園路上にかなり 豪快にはみ出して花を咲かせました。普通なら通行への支障を考慮してカットするところを あえてそのままにしています。希少な植物ゆえ、ちょっとくらい園路にはみ出して自己主張 してもいいじゃない!そう考えていますが、これが通用するのは長池公園だからでしょう。 中庭テラスでは、イシミカワの果実が鮮や
10月11日


アオイトトンボ再発見
10月7日、長池小学校の4年生総勢65名が来園し、皆さんと一緒に姿池の清掃を行いました。 小学校の授業の一環で姿池清掃を行うのは、今回が初の試みです。幸いにも、池掃除日和の 天候となり、無事に3、4段目の清掃を完遂することができました。清掃後に驚きの発見が!...
10月11日


大塚みどり公園と松が谷戸
11月25日、巡回清掃で大塚・東中野方面を廻りました。東中野にある大塚みどり公園では、 花壇に植えられたホトトギスの花が見頃を迎えていました。植栽とはいえ珍しいものです。 「ホトトギス」の名称で植えられているもののほとんどは、タイワンホトトギスという別の 種類か、あるいは本家のホトトギスとタイワンホトトギスを交配して作られた園芸種です。 また、多摩丘陵の里山で見かけるものはヤマホトトギスが大半であり、本家のホトトギスは いうと、絶滅寸前の状態(※神奈川県では場所によっては普通に見られる)となっています。 大塚みどり公園に植えられた真のホトトギスは葉が細長く、花は段々に付いてそれぞれの 花序枝が短いことなども特徴です。花は赤みの無い紫色で斑点がびっしりと入っています。 この公園では、ほかにもウリハダカエデ(2枚目)、マンリョウ(3枚目)、キミノセンリョウ、 シロヤマブキなど様々な植物を見ることができます。小さいながらも穴場的スポットです! ところで先週、日野の自然を守る会との共催イベント「松が谷探検ウォーキング」が開催 されました。講師役を務めた公


どんぐりの食卓と南大沢方面口の野生動物
11月24日、パークキッズレンジャーのFちゃん親子から、可愛らしいアイディアのお便り。 どんぐりの帽子をお皿に、葉っぱを食卓に見立てた、おままごと遊びですね!小さな小さな まるで小人の食卓なんですが、メニューも豊富でなんだか美味しそうです。素敵な遊び方を 教えてくれてありがとうございます。私も今度、ミニチュアの世界を楽しんでみようかな。 ところで、長池公園の南西側、南大沢方面口近くの側溝付近で哺乳類の糞や痕跡がたびたび 見つかることから、センサーカメラを仕掛けてみました。先日、ワクワクしながら回収して みたところ、写っていたのはホンドタヌキ(1・2枚目)とニホンアナグマ(3・4枚目)でした。 くわえて、ヒヨドリ(5枚目)やキジバト(6枚目)、ジョウビタキ、野良猫などが写っており、 夜間は野生動物、日中は地上採餌性の小鳥が頻繁に訪れる、ホットスポットになっている ことがわかりました。フェンス越しに隣接する南多摩総合ホールとミニストップさんとの 境界部分は定期的に草刈りを行っており、斜面下部のU字溝にはムクロジをはじめとする 木の実や木々の落ち葉が堆


毎日が秋日和
11月23日、穏やかな秋晴れが続きます。澄み切った青空の下、先日に続き、長池公園では クラフトパーク(イベント)が開催中。この日、私は参加者として会場へ出かけてきました。 バスの待ち時間に少し道草。自宅の周りも秋一色となり、色付いた木々の葉が目立ちます。 赤い実と紅葉が一度に楽しめるガマズミ、真っ赤に色付く前に一時的に全体が黄色くなる シラキ、多摩丘陵では珍しい山地性の樹木、サワシバの黄葉などに目移りしてしまいます。 恐竜の足跡のようなトウカエデの落ち葉は、もう間もなく綺麗に掃除されることでしょう。 先日、長池公園では姿を消した野草として紹介したユウガギクも足もとに咲いていました。 6枚目はアメリカイヌホオズキという外来雑草。草刈りを免れ、元気に群生していました。バス待ちの短い時間でも、心を揺さぶられるシーンに出会える。本当に恵まれた環境です。 芝生広場は多くの来場者で賑わっていました。個性に富んだ職人さんたちの手による逸品の 数々が、公園の自然景観に心地よく溶け込んでいます。そして、それらに触れながら会話を 弾ませたり、笑顔を交わしあったりして


築池のカモとイベントいろいろ
11月22日、望遠レンズを付けたカメラを持って築池の周りを散策する人の姿が増えました。 その多くはトモエガモやオシドリがお目当てでしょう。毎年来てくれる公園のマスコット。 今年も一目、その姿を拝もうとトモラー(トモエガモファン)やオシ推し(オシドリファン)が 築池詣に来て下さるのはありがたいことです。スタッフも彼らの動向を気にかけています。 「ちょっとちょっと!私だってこんなに美しいのよ!」とカルガモが羽ばたいてアピール? 渡りをしないカルガモですが、秋色の雑木林が水面に映り込み、季節感あるワンシーンに。 個人的にはカルガモが推しなのですが、あまりカメラを向けてもらえなくて寂しそうです。 トモエガモは飛来当初の8羽から減って、2~3羽が定着していますが、今後、また増えたり 減ったりするかもしれません。同様にオシドリやキンクロハジロも築池に定着しています。 さて、この日はイベントがてんこ盛りでした。22日、23日と週末の2日間、開催されている マルシェ『CRAFT PARK となりの職人 vol.8』において、長池公園とのコラボ企画として、...


インタープリテーションday
11月21日、午前中は秋葉台小学校4年生を対象に野鳥観察の授業対応、午後は別所小学校を 訪問して植物観察の出前授業を行うなど、小学校対応に奔走する充実の一日となりました。 個人的には、保護者会や理事会などの予定も入っていたのでタイトなスケジュールでした。 野鳥観察の授業は年間4回のうち、今回が2回目。初回は6月に実施しており、しばらく間が 空いてしまいましたが、こちらの心配をよそに、子どもたちは率先して鳥探しに取り組んで くれました。前回のテーマは「野鳥の形態(見た目)」でしたが、今回はもう一歩踏み込んで 「野鳥の生態(暮らし)」に注目してみます。室内レクチャーでは、スズメとハトの暮らしを 見つめ直してみようということで、皆さんからも、知っていること、見聞きしたことがある 情報をどんどん発言してもらいながら、彼らの暮らしぶりを紐解いていくことにしました。 あまりに身近な鳥なので知っているつもりでも、意外と知らないことが多いものですよね! 園内での観察では、長池の奥で休んでいるオシドリをはじめ、エナガ率いる小鳥の混群や、 キジバトの採餌行動、マガモ


リュウキュウサンショウクイの季節
11月20日、専門学校東京テクニカルカレッジの自然環境保全実習も、いよいよ後半戦です。 ネイチャーゲームや伐り出した竹を使った工作など、里山資源の活用について学びました。 1日を通して、園内のあちこちで鳴きながら飛び回るリュウキュウサンショウクイの小群を 見かけました。「チリリリ、チリリリ」という鈴のようによく響く鳴き声が特徴的です。 11~12月はなぜかエナガの群れと一緒にいることが多いため、エナガにつられてか枝の低い ところまで近寄ってくることもあります。木々の葉が落ちるとエナガの群れからは離脱し、 針葉樹の梢付近に仲間うちだけで集まることが多くなるので、観察はより難しくなります。 ポイントは①11~12月がおすすめ、②エナガの群れに注目、③背の低い木が観察しやすい。 これから冬の間は公園内で見かける機会も多いと思われますので、参考にしてみて下さい。 こちらはエナガです。エナガの群れに混ざって行動するリュウキュウサンショウクイは、 少し体型は似ているものの、体の大きさがだいぶ違います。そして群れから遅れがちです。 シマエナガがとても有名なのに


初霜と秋の尾根歩き
11月19日、朝から冷え込んだこの日、日陰の空き地に葉を広げたヒメオドリコソウには霜が 降りていました。私にとっては今季初霜です。一転、日中は穏やかな陽気となりました。 この日は講師の仕事で近隣の都立長沼公園を歩いてきました。私が大好きな公園の一つで、 これまで数えきれないほど訪れていますが、その度に発見がある、自然度の高い場所です。 あちこちで色付き始めたイロハモミジのグラデーションに目を奪われ、シラキやガマズミ、 ネジキなどの紅葉、アオハダやヤブムラサキなどの黄葉もじっくり拝むことができました。 尾根歩きでは、雑木林を構成する様々な樹種が現れ、秋ならではの表情を見せてくれます。 見たことがあるようなないような?帽子(パンツ)付きのどんぐりから根が出ているなんて! 小さな発見も見逃さないよう、目線は樹上と足もとを行ったり来たり・・歩みもゆっくり。 先日に続き、ここでもアキノキリンソウやセンブリなど秋の草花に出会えたほか、林床には クロヤツシロランの果実(1枚目)やナガバノスミレサイシンの裂開した果実と種子(2枚目)、 キジョランの葉を食べるアサ


ないものねだり
11月18日、長池公園では800種類を超える植物が確認されています。その中には近隣では 見ることが難しいミズユキノシタやオオニガナなどの希少な種類も含まれている一方で、 その逆もあります。近隣の里山ではしばしば見かけるのに、長池公園には自生していない 種類があるのです。20haという限りある敷地の中にたまたま分布していなかったものや、 以前はあったのに、いつしか姿を消してしまったユウガギクなどの現状不明種があります。 この日は、そうした長池公園に“ありそうでない”草花との出会いに恵まれた一日でした。 市内西部の緑地で花盛りのアキノキリンソウと出会いました。由木地区でも里山や雑木林の 林縁草地に自生するキク科植物です。長池公園にもありそうなものですが、これまで自生は 確認されていません。秋の野花を代表する種類だけに、長池公園にもあったらいいのに・・ 同じく、秋の野の花ではリンドウと並んで人気者のセンブリも、長池公園では未確認です。 近隣の堀之内、別所、下柚木、小山ヶ丘(町田市)などのススキ草地には自生しているので、 もしかすると、以前は長池公園にも


トモエガモ帰還!
11月17日、昼下がりに常連の来園者から嬉しい速報が飛び込んできました。今年はどうかと 多くの方が待ち望んでいた冬の使者、トモエガモが8羽、築池に飛来したとの知らせです。 早速、築池を覗いてみると・・いました!先住のマガモよりも一回り小ぶりなカモたちが 泳ぎ回っていました。朝はまだいなかったというので、おそらく夜のうちに園内に飛来し、 午前中は長池奥など人目に付かない場所で過ごしていた子たちが移動してきたのでしょう。 長池では、ちょうど昼過ぎから里山サポーターによる外来種駆除活動が行われていたので、 侵入者に驚いて築池まで飛んできたのかもしれません。2020年末から翌年にかけて集団が 越冬して以降、毎年必ず姿を見せるようになり、現在では、冬の長池公園のマスコット的な 存在となっています。冬の間、そのユニークな姿が楽しめるようにそっと見守りましょう! トモエガモ発見の早道は、常連メンバーを覚えておくことです。単独で行動していることの 多いキンクロハジロ、年々渡来数が増加しているマガモ、常駐組のカルガモは基本ですね! 彼らのほかに、日替わりで数羽のオ


オオシマザクラの紅葉
11月16日、ここ数日は毎晩ヒナコウモリがよく鳴いています。14日の夜には、京王堀之内駅 近くの「八王子別所」交差点で灯りの周りを「チッチッ」と鳴きつつ飛び回っていました。 これまで何度となく取り上げてきたヒナコウモリですが、ここでは初めて観察できました。 蓮生寺周辺が彼らの夜間の行動圏のようなので、昼間の居場所を突き止めたいものですね。 近所でオオシマザクラの葉が鮮やかに色付いてきました。コケの絨毯の上に散らばった赤や 黄色がとても美しく、毎年のことながらつい目を奪われてしまいます。モミジと比べると、 注目されることが少ない桜の紅葉。今年は特に鮮やかに色付いているので、おすすめです! ところで、先週12日に講師を務めた自然観察会の様子が、取材して下さったカメラマンの しみずことみさんのwebサイトで公開されました。 秋を探しに行こう──富士見台公園で出会った木と土の時間 | 長池公園園長 小林健人さん | 八王子市下柚木 - 気まぐれ史跡写真 当日の様子が詳しくレポートされており、素敵な写真と文章でまとめられています。まるで...


今年も生きものフォト講座
11月15日、自然館前で今シーズン初めてのウソが鳴いていました。ウソではなく本当です。 ガイド中だったために双眼鏡で姿を見ることはできませんでしたが、間違いないでしょう。 ながいけの道、カタクリ観察路入口の手前にリンドウが咲いていました。園内の自生個体は いずれも園路から外れた雑木林の藪の中なので、こちらや長池左手奥の林床に定植してある ものをご覧いただければ幸いです。由木地区では風前の灯火となっているリンドウですが、 ニュータウンエリアを含む各所の雑木林に細々と自生しています。林の手入れが必須項目の 植物なので、自生地の開発だけでなく雑木林の管理放棄も大きな減少要因となっています。 さて、この日は毎年恒例となった「わぉ!わぉ!自然観察会 生きものフォト講座」が開催 されました。(公財)日本自然保護協会とソニーグループ㈱の共催企画で、メイン講師は昆虫 写真家の尾園暁さん、サブ講師を私が務めました。とはいっても、私はカメラや写真撮影の 知識がほとんど無いので、どちらかといえば、被写体となる自然や動植物との向き合い方に 関することを中心に、そのコツや


みなみ野敬愛保育園の子どもたちと自然遊び
11月14日、公園スタッフが朝、尾根幹線道路でホンドタヌキを見かけたと話していました。 同日、鑓水方面でもタヌキの目撃情報。そして私もトイレを閉めに行った帰りの車中から、 フサフサの冬毛のタヌキを観察しました。時間は17時半頃、場所はトンボ池裏の園路です。 タヌキ自体は珍しい動物ではありませんが、この日はひょっとしてタヌキの集会?お祭り? 自然館中庭では、開花のもっとも遅い野菊の仲間、アワコガネギク(キクタニギク)が開花。 南関東で黄色い野菊は本種だけなので、見分けは簡単です。この辺りには自生しておらず、 本来は恩方方面や高尾方面まで行かなければ出会えません。葉っぱの形も変化に富んでいて 面白いので観察してみて下さい。雑種のシロバナアブラギクもマダケ林下に咲いています。 午前中、みなみ野敬愛保育園3歳児クラスの皆さんがはるばる遊びに来てくれました。園の ある七国周辺もみどりが豊かなので、日常の園外活動でも役立つような自然遊びを中心に、 ガイドを行いました。開始早々、館内の剥製に夢中になる子どもたち、保育士さんたち! 大人が楽しめば子どもたちはもっ


別所小学校おおぞら学級と姿池清掃
11月13日、長池見附橋たもと(下流側)の植え込みで、シロヨメナが見頃を迎えていました。 「野菊の仲間は似たような花が多くて見分けられない!」という声をよく聴きます。本種は 幅の狭い純白の舌状花(花びら)と、深緑の細長い葉が特徴です。他の野菊と比べて、林縁の やや暗い環境を好み、生育環境からもある程度の種類に絞り込んで調べることができます。 木漏れ日に輝くシロヨメナは“可憐”という言葉がピッタリで、個人的に好きな野菊です。 シロヨメナの咲く長池見附橋の下、姿池では、別所小学校おおぞら学級の皆さんと一緒に 池清掃を開催しました。毎月、長池公園で自然学習に取り組んでいる子どもたちですが、 池の掃除は初めての試みです。専門学校東京テクニカルカレッジの学生や緑地管理チームの 面々も応援に駆け付け、賑やかに行われました。築池から越流してきた水生生物の観察も 行い、水の生きものに詳しい公園スタッフのKさんが、丁寧にレクチャーしてくれました。 池清掃と並行して、特定外来生物のオオクチバスとブルーギルの捕獲駆除も行いました。 水の引いた池に降りてきたハシボソガラ


ヒメツチハンミョウとスッポンタケ
11月12日、午後から川口町での調査仕事中、思い入れのある昆虫とキノコに出会いました。 枯れ草にしがみついてじっとしていたのは、ヒメツチハンミョウの雌です。同行した市の 職員が見つけて下さりました。ヒメツチハンミョウは毎年どこかしらで出会っていますが、 幼虫を見たことがある方は少ないのではないでしょうか。彼らは単独生活を送るハナバチの 仲間の巣に寄生して成長する習性があります。巣に寄生する方法はとてもギャンブルです。 数千匹もの幼虫が草によじ登り、花を訪ねてくる昆虫を待ちます。いざ昆虫が飛んでくると 背中に飛び乗り、見事、その昆虫がハナバチの雌であった場合のみ、産卵の際に巣の中への 侵入を果たすことができるのです。ハナバチの登場を待つヒメツチハンミョウの幼虫集団は 滅多に見ることができません。怖いもの見たさで、いつかそのシーンに巡り合ってみたいと 思っていた矢先、2021年3月に幸運にも遭遇することができました。幼虫の集団は黒い塊と なってうごめき、全部で10塊くらいがヒガンバナやスイカズラの葉先に集まっていました。 このときは毎月定例の野外講座
bottom of page




