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昆虫二題とジュウニキランソウ

4月20日、八王子市環境保全課主催の緑地保全講習会(第1回)が長池公園で開催されました。

今年度も講師を務めることになり、個性あふれる新しい受講者の皆さんを迎え入れました。

初回は午前中が座学、午後は園内を歩きながら里山の概要と手入れについて解説しました。

冬に特別支援学級の子どもたちが落ち葉を掻いてくれた林床は、ジュウニヒトエが一面に。

しばし観察タイムとなりました。じっと見ていると、花には様々な昆虫がやってきます。

なが~い触角がトレードマークの可愛いこの子は、ニッポンヒゲナガハナバチの雄です。

自分が可愛いということなど知る由もありませんが、このビジュアルは愛されて当然。

恐い、危険、がどうしても先行してしまいがちなハチのイメージを少し覆せたでしょうか?

なお、シロスジヒゲナガハナバチというそっくりな種類もいて、翅の模様で見分けます。

そういえば、「みんなの長池」最新号の表紙がシロスジヒゲナガハナバチでしたね!

もう一種、触角に特徴のある昆虫が集まっていました。ヒゲブトハナムグリの雄です。

季節外れですが、触角がまるでトナカイのよう。胸部の緑と腹部の紫も美麗ですね!

つい先日も全く別の場所で見かけたばかりなので、よく見られる時期なのかもしれません。

南多摩エリアでは珍しい印象はありませんが、東京都全体では減少している種だそうです。

ところでこれらの写真は、ジュウニキランソウという植物です。互いに近縁で一緒に生える

こともある、キランソウとジュウニヒトエの自然雑種といわれています。雑種なので、

花の色はキランソウ寄りのものからジュウニヒトエ寄りのものまで様々、立ち上がり方や

花の付き方、葉の付き方などは、両者の中間といえるような見た目をしています。

また、多年草のため、一度発生すると毎年同じところで見られることが多いようです。

雑種といいつつあちこちで普通に見つかるものですが、雑種形成を促しているのはじつは

先ほど登場した送粉者のニッポンヒゲナガハナバチやヒゲブトハナムグリだったりして!?

参考までに、両親種の写真も載せておきます。左がキランソウで右がジュウニヒトエです。

もはや講習会の話はどこかへすっ飛んでしまいましたが、このまま続けたいと思います笑。

夕方、手すりの昆虫を観察しながら里山トイレの鍵を閉めに行くと、色々見つけました。

園内各所のヤマグワでは、枝や葉を何匹ものハラグロオオテントウが歩き回っていました。

その他の昆虫は、順に、シラケトラカミキリ、カシワクチブトゾウムシ、アオメアブ、

アカスジキンカメムシ、コメツキムシの一種です。手すりが一段と面白くなってきました!


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