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氷川渓谷の動植物

5月21日、講師の仕事で氷川渓谷(奥多摩駅周辺)を歩いてきました。一昨年の同じ時期には

同講座で鳩ノ巣渓谷を歩いており、色々と比較してみたら面白そう・・という目論見です。

駅からすぐの神社でまず出迎えてくれたのは、キセキレイのペアでした。雄は夏羽に衣替え

して喉が黒くなっています。近くにヒナがいる様子で、モンカゲロウなどを捕まえてきては

茂みに入り込む行動を繰り返していました。おそらくヒナはもう巣立っているのでしょう。

しばし観察していると、受講生の一人が何やらいい虫を見つけたようで手招きしています。

「こっちこっち!早く!」の声に駆けつけると、キラキラと輝くハチ、ムツバセイボウが

飛び回っていました。ムツバセイボウの特徴が写るようにと真横からカメラを構えた途端、

視界から消えてしまい、どこかへ飛び去ってしまいました。悔しいので、以前に撮影した

ムツバセイボウの写真を3枚目に貼っておきます。これは長池公園内で撮影したものです。

遊歩道に入ると、樹木やシダの葉上で昆虫たちが出迎えてくれました。一部を紹介します。

順にカクムネベニボタル、ルイスアシナガオトシブミ、リンゴコフキハムシ(粉無し)です。

一方、植物も。渓谷ではおなじみのコアジサイ、ガクウツギをはじめ、たこさんウィンナー

ことハンショウヅルなどがよく咲いていました。コアジサイの花って本当に素敵ですね!

珍しいものでは、コウモリカズラが群生していました。長池公園にも植栽されているので

それほどありがたみが無いのですが、都内では分布の局限される大変貴重な種類です。

しかし、この渓谷の主役は何といってもシダ植物でしょう。中でも、希少種のエビラシダが

愛宕山周辺に広く生育しているのには驚きました。そうどこでもあるものではありません。

こちらは左から、ヤシャゼンマイ、オオバヤシャゼンマイ(オクタマゼンマイ)、ゼンマイ。

ヤシャゼンマイはゼンマイ起源の渓流沿い植物、オオバヤシャゼンマイは両者の雑種です。

栄養葉を並べてみると、小羽片の形の違いがよくわかりますね。ヤシャゼンマイの葉は、

渓流の水しぶきを受けてもダメージを受けにくい細い楕円形であることがポイントです。

ハコネシダ、フクロシダ、コウヤコケシノブなど、多様なシダがひしめき合っていました。

岩肌がかなりウェットなので、生育するシダやコケの仲間はより生き生きと輝いています。

ここでは、コケの見分け方が全くわからない私は、なんともやるせない気持ちになります。

綺麗に整備された遊歩道はとても歩きやすく、自然を味わいつつ快適な散策ができました。

また訪れる機会があれば、もう少し時間をかけて岩壁を調べてみたいとも思ったのでした。

おまけ。神社に棲むムササビは、沢を渡った対岸の森でカシの葉を食べているようです。

それを証拠に糞がいくつも落ちていました。2枚目はアカメガシワの葉のスタンプです。


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