top of page

林床植物の明と暗

9月7日、すきま時間を使って近隣の絶滅危惧植物の生育状況をいくつか見廻ってきました。

管轄外であり、自生地保護の観点から詳しい場所は書きませんが、少しだけご紹介します。

目的の場所へ向かう途中で大きな倒木が道を塞いでいたため、その先へのアクセスは困難を

極めました。ただし良い変化もありました。以前からこの付近に蔓延っていたホドイモが、

一面に咲いていたのです。大木が倒れたことにより、林床まで光が届くようになりました。

そのことで一気に開花が促進されたようです。長年、花を付けることなく地表付近に葉を

広げるばかりだったホドイモに、“倒木”という出来事が開花の機会を与えたわけですね。

数年前まで確認できていたナガバノヤノネグサの群生地を久しぶりに訪ねてみると、林床は

アズマネザサの藪に完全に覆われてしまい、景色が一変していました。まだ市内には点々と

分布しているものの、多摩丘陵上部ではごく貴重な自生地だったので、肩を落としました。

きっと林床の手入れを再開すれば復活するはずですが、一度、管理の手を止めてしまうと、

環境が再生するまでには想像以上の時間と労力がかかります。一方、ナガバノヤノネグサと

一緒に生育していたヤブムグラも気がかりでしたが、こちらはまだ健在でほっとしました。

ヤブムグラは、日本固有種かつ関東地方の1都4県にしか分布しないとても希少な植物です。

茎葉が無毛でつるっとしており、果実にも毛が全く見られない点が見分けのポイントです。

植物好きの方でも、ヤブムグラを知っていて見分けられる方はほとんどいないでしょう。

こうした地味な植物が人知れず減少の一途を辿り、それらの多くが危機的状況にあること。

少しでも多くの方に興味を持っていただき、どうしたら守れるか一緒に考えたいものです。

おまけ。白い花が咲く●●●●ソウ。正解はカノツメソウ、ミズタマソウ、センニンソウ。

 
 
bottom of page