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うつくしくさいはな

9月6日、八王子市主催の緑地保全講習会「里山レンジャーズ養成講座」の第4回が、市内の

民有緑地で開催され、講師を担当しました。3年目となるこの講座。今年度も3回目までは

長池公園をフィールドとして里山管理や生物多様性保全の基礎について学びを深めてきましたが、今回からは実際に現場での活動となります。一昨年度は当講座、昨年度は近隣にある

大学からボランティアを募って手入れを行った林床には、美しい光景が広がっていました。

一面に咲き広がっていたのは、シュロソウ(おそらく変種のホソバシュロソウ)の花です。

2年前、この場所は背丈を超えるアズマネザサの笹藪に覆われており、全身で藪を漕いで、

やっとの思いで前へ進めるという状況でした。もちろん、シュロソウの花は一つも咲いて

おらず、足もとに根生する葉っぱだけが細々と生き残っていたのでした。継続的にササを

刈り取って、シュロソウやイヌショウマなどの再生を促してきた成果が実った瞬間です!

受講者とともにこの小豆色の花の美を楽しんでいると、何やら腐敗臭が漂ってきました。

どこかに野生動物の死骸があるのでは・・と不安に駆られたのも束の間、なんとその臭いの

正体はほかでもない、シュロソウの花が発しているのでした。花には蜜を求めてハエ類が

集まってきています。目立たない色彩の代わりに、悪臭を発してハエを呼んでいたのです。

今回の活動では、希少植物に巻き付いたつるの除去や林床に落ちた枝の整理、管理用通路の

整備、林縁部の草刈り、外来植物(アメリカオニアザミ・キウイ)の駆除などを行いました。

手入れを進める中で、秋の里山ならではの植物も次々に見つかりました。コバギボウシ、

ノダケ、ヤマホトトギス、カラスノゴマ、スズメウリ、ヤマノイモと充実のラインナップ。

薄暗く湿った樹林地は、何もしなければあっという間に笹藪と化してしまいます。しかし、

植生のポテンシャルは高く、ちゃんと継続的に手を入れればお花畑にも成り得るのです。

いつも同じことを書いていますが、植物の豊かなみどりにはたくさんの生きものが集まって

くるものです。様々な昆虫との出会いが、そのことを実感させてくれたに違いありません。

写真はミヤマアカネ、ヤマトシリアゲ(夏型)、ウスグモスズ。すっかり、秋の顔ぶれです。

次回は10月開催です。その頃には、緑地ももまた違った表情を見せてくれることでしょう。


 
 
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