top of page

巣立ちを狙う者

5月15日、自然館中庭に架けたモニター付き巣箱ですくすくと育っていたシジュウカラの

ヒナたちが、ついに巣立ちの時を迎えました。午前中から1羽、2羽とヒナが巣箱を飛び出し

外の世界へと一歩を踏み出していきました。昼には、6羽のうち4羽が巣箱を旅立ちました。

居合わせた別所小学校おおぞら学級の子どもたちや来館者とともに、彼らの巣立ちの様子を

モニター越しに固唾を呑んで見守っていると、巣箱の外で盛んにヒナを呼んで鳴いていた

親鳥の声がピタッと静かになりました。いったいどこへ消えてしまったのだろうと思って

周囲を探してみると、坪庭の上の雨樋に止まっていました。どうも様子がおかしく、尾羽を

ピンと上げて緊張の面持ちで下を見つめています。その視線の先に、答えがありました。

サッシの下から顔を出したのは、大きなシマヘビです。巣立ち直後のヒナを狙っていたのか

偶然なのかはわかりませんが、親鳥はシマヘビの接近にいち早く気が付き、巣立ちを控えた

ヒナたちが転がり落ちて襲われるのを警戒して、その動向を静かに見張っていたのでした。

しばらくフリーズしていた親鳥ですが、途中でペアと交代をして見張りを続けていました。

やがて私たちの見えるところからは姿を消したシマヘビですが、その後もずいぶん長いこと

親鳥は監視を続け、なかなか警戒を解きません。結局、この日は2羽のヒナが巣箱の中に

取り残される形となりました。翌朝、モニターの電源を入れるとすでにヒナの姿はなく、

未孵化の卵だけが綺麗に残っていたので、日没までには全員が無事に巣立ったのでしょう。

緊迫の瞬間を目の当たりにすることができた皆さんは幸運でした。小鳥の巣立ちと彼らを

狙う捕食者の攻防、必死に守ろうとする親鳥。まさに本物の命のドラマを観察したのです。

この日の授業のテーマは、じつは野鳥ではなく植物でした。思いがけずシジュウカラたちの

観察に時間を費やすことになったので、残りの15分で自然館周りを一周しつつ、草木の花を

観察しました。特に注目したのはガマズミとテイカカズラです。どちらもちょうど花盛りで

辺りに香りを漂わせています。ガマズミは一つの塊に200個近い花を付けているので、蜜や

花粉もかなり豊富のようです。丹念に見ていくと、アシナガコガネやヒメアシナガコガネが

あちこちで顔を花に突っ込むようにして止まっているのが見つかりました。可愛いですね!

その他で目に付いた植物。順番にアーモンド、カキツバタ、ミゾコウジュ、ハコネウツギ、

エゴノキ、ホオノキです。今年はアーモンドが、今までで一番たくさん実っていますよ!

季節とともにどんどん移り変わっていく植物たち。おおぞら学級の皆さんも少しずつ植物に

興味を持ってきてくれた様子。今後も観察を続けて、植物とさらに仲良くなってほしいな!


bottom of page