天空のオアシス(番外編)
- ひとまちみどり由木 指定管理者
- 9月29日
- 読了時間: 3分
9月26日、調査の仕事で臨海部へ出張してきました。とある企業のオフィスビル最上階に
ある屋上緑地が舞台です。緑地といっても、現在は樹木ひとつ無い芝生であり、周囲には
タワマンやオフィスビルがそびえ立ち、レインボーブリッジや東京スカイツリーも見える、
そんな殺伐とした環境に果たして生きものなど棲んでいるのでしょうか?・・しかしながら
その心配はすぐに払拭されました。都市ならではの動植物の世界が広がっていたからです。
水場はありませんが、地上40mほどの空間にアジアイトトンボがいることには驚きました。
ビル風に乗って飛ばされてきたのでしょうか?もし池があれば繁殖もするのでしょうか?
こちらも驚きの発見でした。チョウセンカマキリの卵鞘です。いったいどうやってここへ?
チョウセンカマキリは、臨海部の草地や荒地でもっともよく目にするカマキリの一種です。
石の隙間や芝地では、ハエトリグモの仲間が複数見つかりました。それもかなりの個体数。
写真は左から、シラホシコゲチャハエトリの雄、同種の雌、アダンソンハエトリの雄です。
トンボ、カマキリ、クモはいずれも肉食性。彼らの食生活を支える昆虫や小動物の豊かさが
不可欠です。つまり、彼らの存在からも生態系の広がりと深みを伺い知ることができます。
実際に、雑食や植物食の小さな昆虫も数多く見つかりました。中でもシバスズは個体数が
多く、1枚目の雄、2枚目の雌ともにたくさんいました。大きなエンマコオロギ(3枚目)も
いました。4枚目以降はホシササキリ、ミナミトゲヘリカメムシ、ツヤアオカメムシです。
芝生には湿った環境を好むカヤツリグサ科の草本が数多く見られました。ヒンジガヤツリ、
アイダクグ、ヒメクグ、テンツキのほか、カヤツリグサやコチャガヤツリなども出穂中。
5枚目以降は、ウリクサ、カタバミ、ニワサキタネツケバナ、タイワンハチジョウナです。
ニワサキタネツケバナは調査に同行した皆さんにもかじってもらいました。「美味しい!」
6枚目はナンキンハゼの実生なのですが、果実を小鳥がよく食べるので、付近の街路樹から
小鳥が運んできて糞中より発芽したものでしょう。屋上空間には樹木が無いので、ゆっくり
羽を休めていくことはなくても、小鳥が立ち寄っているのは確かなようです。・・なぜか?
そのヒントが排水溝に残されていました。写真のスズメの初列風切羽をはじめ、小鳥の羽が
いくつも落ちていたのです。バードバス。水浴びの場所として利用されていたわけですね!
また、場所が場所だけに時折、トビ、カワウ、ウミネコ、コサギなど水鳥が近くを飛翔して
いました。人目の無い時間帯であれば、大型の鳥が降り立っている可能性もあるでしょう。
正直いって、都心のビルの屋上と聞いて最初は全く期待していませんでしたが、想像以上に
生物多様性に溢れていることが実感できました。どんな場所でも、調べてみるものですね!
おまけ。地上に降り立ってから、周辺の環境調査も兼ねて、お台場を一巡りしてみました。
外来種を中心に、臨海部ならではの植物を見ることができました。その一部を紹介します。
ダキバアレチハナガサ、ヒメクマツヅラ、ホウキギク、ノラニンジン、ハイニシキソウ、
ユメノシマガヤツリ、ハマサオトメカズラ(ヘクソカズラの一型)、ホルトノキ(植栽)です。



































































