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ヨツキボシカミキリとヒメスギカミキリ

5月14日、調査の仕事で八王子市西部の民有緑地を歩いてきました。斜面の中腹は樹木が

伐採されて草原状になっていました。尾根まで上がって林縁に沿って植物を調べていると

小さなカミキリムシが複数飛び回っているのを発見。葉に止まったところを観察すると・・

背中にお洒落な模様の入ったヨツキボシカミキリです。前に長池公園の炭焼き小屋の辺りで

見て以来、久しぶりの出会いでした。成虫はヌルデの葉を食べたり、衰弱した木や枯れ木に

産卵しに集まるそうです。確かにこの林縁にはヌルデの枯れ木が多く立ち並んでいました。

そのすぐそばには倒れたスギの大枝があり、枝上をまた違う種類のカミキリムシが何匹も

歩いていました。ヒメスギカミキリです。春先に針葉樹で見かける種類ですが、動き回って

なかなかうまく撮らせてくれません。試しに手でそっとつまみ上げて近くの葉の上に置いて

みたら、そのままじっとしていてくれました。背中の色のグラデーションが渋いですね~!

背中全体が赤い雌もいたのですが、うまく撮影できず・・こちらは次回に持ち越しです。

カミキリムシの多くは雄と雌とで触角の長さが異なりますが、体の色まで違う種類はあまり

多くありません。なぜヒメスギカミキリだけが性的二型を示すのか、気になるところです。

葉上にはキベリクビボソハムシ、クズノチビタマムシ、アオハムシダマシなどがいました。

一度目に入ると、小さな昆虫たちが次々に見つかります。雑木林の林縁はホットスポット!

メインの植物調査ですが、やはり山寄りの地域だけあって種の多様性が非常に豊かです。

丘陵部では珍しいジャニンジンをはじめ、エビネ、ミミナグサなどが生育していました。

ミミナグサの花序に可愛らしい綿毛が見えますが、これは別のキク科植物の種子でしょう。

この仕事では、これまですでに市内30ヶ所以上の民有緑地を訪れてきましたが、どの場所も

想像以上に高水準の生物多様性が維持されています。その保全は一筋縄ではいきませんが、

長い月日をかけて大切に守り育てられてきた自然を調べて価値を掘り起こし、将来に繋いで

いくべく、データを積み上げていきたいと思います。この豊かな自然が守られますように!



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