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ヒメシロコブゾウムシ

7月13日、最近は夜中にコチドリやイソシギがよく鳴いています。この仲間は飛びながら、

口笛のような澄んだ声を発します。姿は見えなくても、想像に耽るのは楽しい時間です。

先日、長池公園の畑の奥に生えたウドでヒメシロコブゾウムシを見つけました。里山では

おなじみの甲虫です。食草であるウドやタラノキ、カクレミノといったウコギ科の植物や、

セリ科のシシウドの葉を注意深く見ていけば、簡単に出会うことができます。姿のよく似た

シロコブゾウムシはマメ科の植物を食べるので、何に止まっていたかちゃんと見ておけば

その区別は難しくありません。さて、不思議な恰好をしたヒメシロコブゾウムシですが、

虫が苦手な人に対して、ちょびっと勇気を出して触れ合ってもらうのには最適な昆虫です。

よく見ると可愛い顔をしていますし、動きはゆったり。翅が退化しているので飛びません。

おまけに、手に取ってみるとコロンと横に転がって、死んだフリを決め込みます。そっと

手を出してもらい、この子を乗せてあげると、「これなら意外と大丈夫かも・・」なんて

言いながら苦手克服への一歩を踏み出せることもあるのです。ヒメシロコブゾウムシは、

きっと普段は鳥の糞に擬態をしているのだと思います。見つかってしまったら、自ら地面に

転がり落ちて、今度はそのまま死んだフリに徹し、草むらに溶け込んでやり過ごします。

さらには、捕食者的にはいかにも食べにくそうなゴツゴツしたボディも身を守る秘訣と

いえるかもしれません。動きはゆったりだけれども、ちゃんと生き延びる術を心得ている。

そんな健気な生き方を知ると、いっそう愛着が湧いてきたりもしてファンが増えそうです!

擬態つながりで、自然館近くに積まれたソダに止まっていた地味なカミキリムシもご紹介。

ヒメヒゲナガカミキリ、トゲバカミキリ、アトジロサビカミキリです。決して派手ではない

彼らですが、まるで隠し絵のようにひっそりと息を潜める姿が、私には魅力的に映ります。


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