ニイニイゼミとフシグロ
- ひとまちみどり由木 指定管理者
- 7月17日
- 読了時間: 3分
7月14日、台風が関東地方をかすめて北上していきました。不安定な天気が続く中、時折、
雲の隙間から薄日が差してくると、たちまちニイニイゼミたちの大合唱が始まるのでした。
結構低い位置に止まって鳴いている個体もいますが、樹皮に溶け込んでいて目立ちません。
自然館前のコブシの横枝に、じっと止まっている子がいたのでカメラを向けてみました。
“ちょっと蛾みたいだなぁ・・”と思って、あまりちゃんと向き合ったことがなかったの
ですが、つぶらな瞳が思いのほか愛らしくて印象が変わりました。あらま、可愛いじゃん!
セミが苦手(かくいう私も)という方は、ぜひ、ニイニイゼミと目を合わせてみて下さいね。
ところで先日、朗報がありました。私はライフワークとして由木地区の植物を長年調べて
きましたが、2022年に刊行した目録で「生育環境の減少、悪化が要因で姿を消した植物」と
して取り上げ、「再発見の可能性は極めて低い」とまで書いたフシグロというナデシコ科の
植物が、近隣で見つかったというのです。希少種が故に詳しい生育場所は公表しませんが、
居ても立ってもいられず、発見者の方から場所を伺って早速訪れてみました。南大沢界隈の
某集合住宅の敷地内とその周辺の草地に、クズや雑草に埋もれるようにして群生しており、
ちょうど花も咲いていました。大きいものは大人の背丈くらいありますが、茎葉は細くて
ほとんど横に広がらず、花もとても地味なので目立ちません。フシグロ自体は、高地では
珍しいものではなく、私も山梨、福島、福岡など各地で見ていますが、丘陵地ではもはや
見ることが困難なほど激減、東京都南多摩エリアでも絶滅危惧ⅠA類に指定されています。
日野市の多摩川河川敷にもわずかに現存するそうですが、由木地区内ではじつに23年ぶりの
再発見となりました。きっと、かつてここが原っぱだった頃の生き残りなのでしょうね。
ちなみに23年前の記録というのが、じつは長池公園なのです。炭焼き小屋裏手の雑木林の
小径沿いに生育しており、その時の写真も残っています。撮影者は現在でも地元の自然を
観察し続けておられるTさんです。https://insect.but.jp/plants/2002/024920fv.html
もう再び長池公園内で見られることは無いと思うので、絶滅した植物を取り上げる際には
この写真を提供してもらえないか・・そんな話をつい最近させていただいたばかりでした。
今回、再発見して下さったUさんと、開園当初の生育記録を残しておられたTさんに感謝!
肝心の名前の由来を書き忘れていました。写真をご覧下さい。茎の節々が赤黒く色付いて
いるのがわかりますでしょうか?この地味な特徴こそが「フシグロ(節黒)」たる所以です。

























