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ショウブとシラン

5月16日、長沼町にある民有緑地を調査中、谷底の湿地にショウブが群生していました。

ショウブというと花菖蒲を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、端午の節句で菖蒲湯に

使うショウブはアヤメ科の花菖蒲ではなく、ショウブ科のショウブです。花はとても地味。

小さな花が集まった肉穂花序(にくすいかじょ)と呼ばれるユニークな見た目をしています。

自生のショウブは東京都の準絶滅危惧種(NT)に指定されており、由木地区周辺での生育地も

数えるほどしかありません。この場所は一般には自由に出入りできないため、私も初めて

気付いたのですが、クサヨシとともに青々と葉を展開し、湿地を覆い尽くしていました。

最初はそれがショウブだと確信が持てず、花が咲いているのを見つけて納得したのでした。

隣り合って群生していたクサヨシの花、そしてこちらもやや珍しいキクバドコロの葉です。

タチツボスミレの葉に空けられた穴あけパンチ状の痕は、ハキリバチ類の裁断痕でしょう。

自生品ではありませんが、近隣の少し湿った斜面草地にはシランが咲き乱れていました。

栽培もよくされるので、日本のランの中ではもっとも一般的な種類ではないでしょうか。

長池公園でも、長池公園西のバス停裏手の法面に毎年たくさんのシランが咲いています。

ところで、シランの花には虫たちがやってきますが、じつは蜜がありません。内部に入って

いったあと、がっかりして帰っていくわけですが、その際に花粉塊という花粉の塊がハチの

背中にくっつけられます。花粉塊を背負わされたハチがまたシランに訪花すれば、他の花と

受粉が行われるというわけです。(写真は以前、別の場所で撮影したヤヨイヒメハナバチ。)

花粉塊を背負って飛び回るハチを見かけたら、その近くでシランが微笑んでいるかも!?

おまけ。この日は午前中、鹿島公園の草刈りを行いました。作業メンバーのお一人が休憩

時間にスマホで花の写真を撮り、「これ、シャリンバイだって!」と他のメンバーに教えて

いました。作業現場ではのんびりお花を愛でる時間は貴重です。心温まる光景なのでした。


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