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ケヤブハギ

9月21日、巡回清掃で別所地区の公園を廻りました。九兵衛坂公園では渡り鳥との出会いに

期待をしたものの、空振り。その代わりに旬の里山植物がいくつか見頃を迎えていました。

真理学園幼稚園裏手の雑木林林縁では、ひっそりとケヤブハギが開花・結実していました。

一見すると、おなじみのヌスビトハギに似ていますが、葉が茎の下方にまとまって付いて

いることや、頂小葉が特に大きくて、触ると毛が生えていることなどから見分けられます。

他種よりも薄暗い林床や林縁を好む傾向が強く、どこでもあるというわけではありません。

東京都内で見られるヌスビトハギ類はヌスビトハギ、マルバヌスビトハギ、ケヤブハギで、

互いに亜種の関係にあります。亜種とは、同一祖先の種類が分布を広げたのち、地理的に

隔離されてそれぞれの地域で分化を遂げたものであり、例えば、エナガとシマエナガ、

カケスとミヤマカケスなどが有名です。生息域が綺麗に分かれていて、色彩など外観的な

特徴に差が見られるのが普通です。先に挙げた3つは種レベルでの学名は同一なのですが、

亜種レベルでそれぞれに別の亜種名が付けられており、さらにヌスビトハギにはそれよりも

下位の分類である変種レベルでの違いが認められるヤブハギというものも存在しています。

面白いのは、亜種関係であるにもかかわらず、同じ地域に混在して生育していることです。

果実がいわゆる“ひっつき虫”タイプなので、各地に移動・散布されやすいのでしょうね。

分布の中心や生育環境の好みはそれぞれで異なっているものの、同一地域で3つの亜種を

比較観察できるのはお得感満載です。マルバヌスビトハギの都内での産量は少なめですが、

今回紹介したケヤブハギはヌスビトハギに次いでよく見られるので、探してみましょう!

ちなみに、全体を撮ろうとすると、どうしてもかなり見えづらい写真になってしまいます。

花や果実が疎らで、葉が下のほうにまとまって付く雰囲気。果たして伝わるでしょうか?

他には、ツルボ(広場)、ヒガンバナ(林縁)、ヤマハギ(雑木林)などが出迎えてくれました。

最近は吹付緑化や植栽に由来するニシキハギ、ミヤギノハギ、交雑種のハギ類などがかなり

増えてきており、純粋な日本在来のヤマハギを見つけるとなんだかほっとしてしまいます。

ところで、この日は野川公園で活動するボランティアグループ(野草班)の皆さんが、視察に

お見えになりました。日頃から植物と接しておられるだけあって、皆さんとても熱心です!

普段の活動に活かせるような話題を・・と私もつい草花遊びに熱が入ってしまいました笑。

野川公園は今年で開園45周年を迎えるそうです。長池公園はまだ25周年。大先輩ですね!

今度は私たち職員が、皆さんの活躍しておられる野川公園へ学びに伺いたいと思います。


 
 
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