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アブと私

11月10日、市内西部の民有緑地を調査中に、花盛りのオヤマボクチを見つけました。裏山に

オヤマボクチが自生しているなんて素敵なお宅です。いくつかの希少な草花を除き、周りは

綺麗に選択的な下草刈りがなされているので、居心地が良さそうでした。花に近付くと・・

何匹ものホソヒラタアブがとっかえひっかえ、花を訪れていました。内部に潜り込むことは

せず、筒状花の先端に止まって何をしているかといえば、蜜ではなく花粉を食べているよう

です。それを証拠に、紫色の葯を目掛けて訪花しており、頭花の中央やピンクの柱頭が顔を

出している筒状花には見向きもしません。花粉を食べつつ、自らも花粉を運び、その媒介に

一役買っているのでした。ホソヒラタアブは幼虫がアブラムシを食べることから、もっとも

身近な益虫としても知られています。ハチみたいだし、アブなんて興味ないという方も多い

でしょうけれど、草花を楽しみたい方にとっては、とっても重要な存在といえるでしょう。

ここでは、花を咲かせた株はわずか1個体だけでした。アブたちはいったいどうやってこの

森の中の1本のオヤマボクチに巡り合ったのでしょう?最近、ホソヒラタアブは色に対する

高い学習識別能力を持ち、特に緑色以外の色を視覚的に見分けていることが、研究によって

明らかになっています。彼らも私と同じで、イイ花がないかキョロキョロしながら森の中を

彷徨っていたわけです。花を見たければアブか私に着いてきて!・・なんて言ってみる笑。

オヤマボクチのすぐそばの林縁に見慣れない樹木がありました。もしかして・・と葉っぱを

ひっくり返してみると、予想通り、裏側が真っ白。バラ科の落葉樹、ウラジロノキでした。

高尾山周辺では稀に見ますが、市街地に近接する緑地内に生育していることには驚きです。

その他の植物も写真にて。ダンコウバイ、カゴノキ、コウモリカズラ、サルトリイバラ、

シロヨメナ、コウヤボウキ、キチジョウソウ。中でも、コウモリカズラの群落は希少です。

公共の緑地のみならず、民有地の片隅で、人知れず多くの里山植物が輝きを放っています。

それらをどうすれば守り繋いでいけるのか、調査しながらいつも考え続けているのでした。

おまけ。午後から、里山保全隊の活動が行われました。築池水没林付近のササを切り拓き、

見通しを改善しました。活動後、咲き始めたばかりのリンドウを皆さんと見に行きました!


 
 
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