top of page

ガビチョウのポートレート

11月9日、渡り途中の夏鳥や半年ぶりに再会する冬鳥、そして可愛らしいカラ類の群れと、

目移りしてしまうこの頃です。そんな中、マイペースに私の前にずんずん近付いてきて

ポーズをとってくれたのは、おなじみのガビチョウです。私が初めてガビチョウに出会った

のは今から30年も前のこと。関東ではまだ定着して間もない頃に高尾山麓で観察しました。

当時の図鑑にはもちろん載っていませんでしたし、名前を知っている人もいませんでした。

あれからどんどん分布も広がって、低山から里山、そして住宅街のちょっとしたみどりでも

見かける身近な存在に。今や、スズメやヒヨドリ並みに知られている“超有名人”ですね!

あまり積極的にカメラを向けることが無かったことを反省し、アップで撮影してみました。

首から胸にかけての羽毛が“野ネズミっぽい”ことや、嘴の色にグラデーションがあること

など、改めてよく見ると、新鮮な気付きがあります。そして特に面白いと思ったのはヒゲ。

地上採食性の鳥や、空中で昆虫などを捉える鳥には、嘴の周囲にヒゲのような細長い羽毛が

発達することが知られていますが、ガビチョウは上嘴の付け根に黒いヒゲ、下嘴の付け根に

白いヒゲが生えているように見えます。餌を探す時のセンサー的な役割を果たしていると

同時に、おそらく藪の中を素早く移動する際に、眉毛のように目を保護する役目もあるの

ではないでしょうか。いつかこれらのヒゲが活用されているところを見てみたいものです。

夕方になると、畑や園路に出てきて剥き出しの土の上で採食しています。ミミズやヤスデを

引っ張り出しているのをよく見ますが、ドングリを咥えたまま行動しているのも見ました。

ドングリ以外の果実を食べているのは見たことがありませんので、肉食性が強いようです。

市内にもう一種、ガビチョウの仲間の外来種が生息しています。カオグロガビチョウです。

湯殿川沿いの農耕地には集団が定着しており、私は以前、小比企町で何度か観察しました。

ガビチョウよりもさらに大きく、顔が黒いヒヨドリのような印象です。行動はガビチョウと

よく似ていて、写真のように地上で盛んにムカデを食べていました。ただし、休む時には

樹上の枝に止まる姿もよく見かけました。ちなみに、声は「ウポポイ」と聞こえました笑。

近年は、由木地区でも越野・堀之内周辺の緑地で何度か観察されており、動向に注目です。

ガビチョウとカオグロガビチョウ、そして写真のソウシチョウはいずれもチメドリ科に所属

しています。国内にはもともとチメドリ科の野鳥はいないので、全てが外来種となります。

これらの中で、ソウシチョウは季節移動、つまり国内で渡りを行うことが知られています。

長池公園をはじめ、由木地区周辺でも冬に姿を見ることができますが、富士山や丹沢方面で

繁殖した個体群が、越冬のために丘陵地へ降りてきているものと思われます。日本の鳥には

無い派手やかなカラーリングが人気で、外来種なのに、出会えると嬉しい小鳥の一つです。

そうはいっても、日本の里山生態系への影響はまだまだ未知数な彼ら。特定外来生物にも

指定されているチメドリ科の小鳥たちが今後、どのように推移していくか、影響を及ぼして

いくか、しっかり注視していくことも、身近な自然を守るためには必要といえるでしょう。

おまけ。公園スタッフのFさんがコカマキリの緑色型を見つけてきました。珍しいですね!

 
 
bottom of page