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アカアシオオアオカミキリと橙色の花2題

8月7日、先週5日に市の職員と市内の民有緑地をいくつか廻ってきました。目的は、今年

開催を予定している学校連携事業やボランティア養成講座の現地下見と打ち合わせです。

同行したお二人の職員は、以前から動植物に大きな関心を寄せて下さっており、私もただ

歩くだけでなく、見つけた生き物について解説したり、緑地の特色や生物多様性の側面から

その保全的価値について見解をお伝えしたりします。熱心に耳を傾けて下さるからです。

ここ数年、ナラ枯れの影響で増加、身近な存在となりつつあるアカアシオオアオカミキリが

いました。環境の変化は、生息する生き物の構成種の変化や個体数の増減にも影響します。

ごく最近まで希少種であったアカアシオオアオカミキリも、ナラ枯れ後の雑木林を指標する

昆虫として、今後の動向に注目していきたい生き物の一つといえるのではないでしょうか。

平坦な樹林地にはクヌギが多く、樹液が染み出しているところには甲虫やチョウが集まって

いました。写真は、ノコギリクワガタ(原歯型)、クロカナブン、クヌギカメムシ(未成熟)。

一方、別の緑地の谷底部には、キツネノカミソリが見事に群生していました。この一帯は

数年前まで深いササに覆われ、だいぶ荒れ果てていました。2023年度~2024年度にかけて、

市主催のボランティアや地元の大学生などとともに林床整備を進めた結果、多くの植物が

再生したものです。周囲にはイワヘゴ、シュロソウ、イヌショウマなども生育しています。

キツネノカミソリは薄暗い林床に群生していましたが、これとは対照的に、日当たり良好な

法面草地にも橙色の花が群生していました。ノカンゾウです。移動中の車から見つけてすぐ

車を停めて見に戻ると、今まさに花盛りでした。キツネノカミソリにしろ、ノカンゾウに

しろ、かつての里山ではごく普通に見られた植物です。そういうものたちがいつしか姿を

見せなくなり、絶滅危惧種のリスト入りを果たしてしまっていることは残念でなりません。

当たり前の光景こそ、ちゃんと記録をして、どうにか未来に残していきたいものですね!

 
 
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