top of page

ないものねだり

11月18日、長池公園では800種類を超える植物が確認されています。その中には近隣では

見ることが難しいミズユキノシタやオオニガナなどの希少な種類も含まれている一方で、

その逆もあります。近隣の里山ではしばしば見かけるのに、長池公園には自生していない

種類があるのです。20haという限りある敷地の中にたまたま分布していなかったものや、

以前はあったのに、いつしか姿を消してしまったユウガギクなどの現状不明種があります。

この日は、そうした長池公園に“ありそうでない”草花との出会いに恵まれた一日でした。

市内西部の緑地で花盛りのアキノキリンソウと出会いました。由木地区でも里山や雑木林の

林縁草地に自生するキク科植物です。長池公園にもありそうなものですが、これまで自生は

確認されていません。秋の野花を代表する種類だけに、長池公園にもあったらいいのに・・

同じく、秋の野の花ではリンドウと並んで人気者のセンブリも、長池公園では未確認です。

近隣の堀之内、別所、下柚木、小山ヶ丘(町田市)などのススキ草地には自生しているので、

もしかすると、以前は長池公園にも自生していたかもしれません。「野の鳥は野に」という

言葉があるように、「野の花は野に」咲いているのが一番なので、域外保全を必要としない

センブリは、採ってきて植えることはせずに、生育地へ出かけて自然な姿を愛でましょう。

開花シーズンではありませんが、ナガバノコウヤボウキも長池公園には自生していません。

左の紅葉しているものが1年枝で、右の葉が輪生状に付いているほうが2年枝です。2年枝の

葉の付け根に花(または果実)を段々に付けるのが特徴で、1年枝の先端にのみ花を咲かせる

コウヤボウキと見分けるポイントです。コウヤボウキよりも見る機会の少ない植物ですね。

先日、来館者から「キッコウハグマの花はありますか?」という質問を受けました。園内に

キッコウハグマは自生しているものの、1枚目のような白い開放花は見つかっていません。

園内で見られるキッコウハグマは閉鎖花のみを付けて自家結実による栄養繁殖(クローン)を

行っているようです。2枚目と3枚目の写真はキッコウハグマの閉鎖花が実を結んだ姿です。

どなたか、園内で開放花を付けたキッコウハグマを見つけられた方はぜひご一報願います!

・・ということで、“近隣に分布するけれど、長池公園では見られない”シリーズでした!


 
 
bottom of page