top of page

金ヶ嶽の生物(番外編)

5月8日、3日間に渡る専門学校の校外実習、植物編に続き、次は生きものを取り上げます。

調査としては鳥類が対象でしたが、行く先々で低山地性の昆虫と出会ったので、ついつい

カメラを向けて夢中で観察してしまいました。昆虫の多様性は豊かさの象徴でもあります。

研修施設敷地内のキャンプ場には、薪にするための丸太が積まれており、様々な昆虫が

産卵や捕食のために集まっていました。中でも嬉しかったのはこちらのカミキリムシです。

一見するとハチのように見えてドキッとしますね!それもそのはず、小鳥から身を守るべく

ハチに擬態をするトラカミキリの仲間なのです。クリストフコトラカミキリという珍しい

種類で、全国でもその分布は限られています。埼玉県内での確認記録は貴重だそうです。

材木置き場周辺で見られた昆虫たちです。セミスジニセリンゴカミキリ、ホタルカミキリ、

ナカジロサビカミキリ、オオヒラタエンマムシ(ダニが付着)、カオジロヒゲナガゾウムシ、

ホソナガニジゴミムシダマシ、ルリオオキノコ、ハネビロアカコメツキ、クヌギカメムシ。

こうしたホットスポットでは、網を振らなくても昆虫を簡単に目視することができます。

自然に優しいだけでなく、周囲の森で培われてきた生態系を想像する楽しさも味わえます。

深緑の中にも、まるで隠し絵のように昆虫たちの世界が広がっていました。私の大好きな

トビサルハムシとアカガネサルハムシは猫背なハムシのコンビです。ETのような長い首が

印象的なヒゲナガオトシブミの雄。周囲には雌の姿もあり、アブラチャンの葉を器用に

巻いた揺籃があちこちに作られていました。春から姿を見せる昼行性のガの仲間が2種類。

カノコマルハキバガとホソオビヒゲナガです。大きな蛾が苦手な私ですが、この仲間は

可愛くて親しみが湧きます。時間があったらもっともっと葉めくりしていたかったなぁ・・

流れのそばでは、無数のモンカゲロウをはじめ、カミムラカワゲラにアサヒナカワトンボ。

水環境を指標する水生生物については、また別の機会にじっくりと調べてみたいものです。

ところで肝心の鳥類ですが、オオルリ、キビタキ、センダイムシクイなどの夏鳥や渡去前の

クロジ、留鳥のチョウゲンボウやヒガラなど26種類が記録できました。残念ながら遠くて

うまく撮れなかったので、おなじみの顔ぶれを紹介します。彼らの名前、わかりますか?

植物の多様性に呼応するように、昆虫や野鳥も数多く生息することがわかり、秩父山地の

自然の豊かさ、奥深さを改めて実感したのでした。「木を見て森を見ず」という言葉がある

ように、ある地域の自然を理解するには、全ての生命にアンテナを張ることが大切ですね。





bottom of page