3月30日、先日の記事でタマノホシザクラの開花について取り上げました。
タマノホシザクラは2004年に発表されたこの地域固有のサクラであり、ぜひ多くの方に
知っていただきたい植物です。よく似た早咲きの桜2種との見分け方をまとめてみます。
上から順に、タマノホシザクラ(雑種起源)、ヤブザクラ(雑種起源)、マメザクラです。
前2者はどちらもマメザクラとエドヒガンの雑種起源の種類で、分布が限られています。
●タマノホシザクラ
・3月下旬から4月上旬に開花、芽吹きは開花よりもだいぶ遅れる
・花は中型、うっすらとピンクが入り、半開き(受け咲き)で開花する
・萼片は赤く、萼裂片が綺麗な二等辺三角形となり星形に見える、縁のギザギザはほぼ無し
・萼筒(花托筒)はやや膨らみ、花柄は短め
・花柱の毛は10本以上ある
●ヤブザクラ
・3月中旬から3月下旬に開花、芽吹きは開花よりもだいぶ遅れる
・花は大型、ほぼ真っ白で、全開で開花する
・萼片は緑や赤で変化があり、萼裂片は卵形で基部がくびれる、縁に鋭いギザギザがある
・萼筒(花托筒)は著しく膨らみ、花柄は短め
・花柱の毛は1~10本以内で少ない
●マメザクラ
・3月中旬から3月下旬に開花、開花後間もなく芽吹いて葉桜となる
・花は小型、ほぼ真っ白で、全開で開花する
・萼片は緑や赤で変化があり、萼裂片は卵状楕円形、ギザギザは無いかあまり目立たない
・萼筒(花托筒)は膨らまず、花柄は細長い
・花柱には毛が無い
花を失敬して並べてみました。左からヤブザクラ、タマノホシザクラ、マメザクラです。
萼片の形と大きさ、萼筒(花托筒)の形、花柄の長さなどに注目すると違いが見えてきます。
区別に迷う時は、ぜひ上記の特徴を一つ一つ確認してみることをおすすめします。
慣れれば遠くからでも見分けられるようになるので、桜博士を目指して頑張りましょう!
コヒガンなどの栽培品種も含めて、より詳しく知りたい方は下記をご参照下さい。
ところで、タマノホシザクラは多摩丘陵のごく限られた範囲の雑木林に自然分布していたと
推測されますが、開発が進んだ今、自生状態で見られるのは全個体の2割に過ぎません。
残りの8割は多摩ニュータウン区域内に隔離分布しています。そのいずれの生育地も
東京都が施工した公園緑地であり、UR施工の公園緑地では植栽品以外は全く見られません。
これは東京都が開発時に付近の雑木林から“ヤマザクラ”との認識で本種の幼苗や稚樹を
山採りしてきて緑化を行い、それらが図らずも生き残ってきたためだといわれています。
南大沢からとんで松が谷・鹿島に多く分布が見られることも、なるほど頷けますね!
※現在では施工主とは関係なく、生育する公園緑地を所轄する指定管理者はばらばらです。
最後にこの日のヤマガラ巣箱の様子です。順調に3卵目が産み落とされていました!