ヒロズハヤバチとミドリササキリモドキ
- ひとまちみどり由木 指定管理者
- 8月30日
- 読了時間: 2分
8月28日、職員の皆さんを対象とする上級救命講習が自然館で行われ、私も受講しました。
これまで受けたことのあった普通救命講習よりもさらに踏み込んだ実践的な内容となって
おり、朝から始まって夕方までの長丁場です。救命措置だけでなく三角巾の多様な使い方も
習得できたことは大きく、今後、公園管理の現場でも迅速な対応ができるよう、職員一同、
この学びを反復して不測の事態に備えていきたいと思います。皆さん、お疲れさまでした。
講習は丸一日、室内で行われました。昼休憩で外の空気を吸いに自然館を出ると、何やら
不思議な光景に出会いました。まるでレスリングのように捕らえた獲物をホールドしたまま
せっせと運んでいたのは、初めて見る美しい狩りバチです。これまでに見てきた狩りバチは
脚が長くスマートな体型の持ち主がほとんどだったので、狩りバチらしからぬ見た目です。
この体型で、自分の体長の2倍ほどもある獲物を器用に持ち運んでいるのだから驚きます!
そして何といっても、翡翠色に縁取られた複眼がじつに美しく、一瞬で心を奪われました。
図鑑で調べてみると「ヒロズハヤバチ」という狩りバチの一種であることが判明しました。
ところで、獲物の正体は何でしょう?はじめは、よく見るバッタやキリギリスの仲間だと
思ってあまり気にしていなかったのですが、“あれ?こっちの昆虫も初めて見る!”ことに
気が付きました。図鑑の記述によれば、ヒロズハヤバチは主にササキリモドキの仲間を狩る
そうです。ササキリモドキ科の多くは樹上性であり、滅多に見かけない分類群といえます。
ヒロズハヤバチの幼虫の餌となる運命にあるこの昆虫の正体は「ミドリササキリモドキ」。
細長い体型と、翅の側面に黒い斑点が散らばっていることが決め手となりました。本当に
図鑑の記載どおり、ササキリモドキというマニアックな昆虫を捕まえていたことに感動し、
“初めて見る虫が、初めて見る虫を運んでいる”という衝撃の光景に興奮したのでした。
2017年7月、別所お月見公園の砂場にキアシハナダカバチモドキという珍しい狩りバチが
集団営巣してしまった珍事を思い出しました。掘り出すと、ショウリョウバッタモドキが
巣穴から大量に出てきて驚いたものです。狩りバチの幼虫は、やっぱりグルメなのかも。
・・さて、昼休みの素敵な出会いのおかげで、講習の後半戦も難なく頑張れたのでした笑。