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雑草の見分け方②

4月30日、夕方まで降ったり止んだりのお天気でしたが、日没後の19時頃、あちこちから

クビキリギスの「ジーッ」という大合唱が聴こえてきました。あれだけたくさん鳴いて

いると、この街にはいったいどれくらいの数がいるのか、調べてみたくなりますね。


さて、だいぶ前の記事で雑草の見分け方(タネツケバナ)を紹介したところ、好評でした。

今回は晩春から初夏にかけて道端を彩る黄色い花、ヘビイチゴの仲間に注目してみます。

誰もが一度は目にしたことがあると思いますが、じつは似たような種類がいくつかあり、

それを知らない人からしたら“全部ヘビイチゴ”、知っている人からしたら“見分けが

面倒だからパス”、どちらにしても、華麗に受け流されてしまっている分類群なのです。

今回もまた、できる限りシンプルに、2ステップで全ての種類を見分けてしまいましょう!


ヘビイチゴの仲間を見つけたら、まず見るべきポイントは花の数です。

一本の茎に一つの花をポンと咲かせていたらヘビイチゴかヤブヘビイチゴ、

一本の茎が枝を分けていくつも花を咲かせていたら、それ以外の種類だと判別できます。

写真の上がヘビイチゴで下がヤブヘビイチゴです。花1個と三つ葉の組み合わせに加えて、

花の後にイチゴ状の果実ができることがこの2種の共通点となります。

両者を区別するポイントは、花の大きさや葉の形などいくつもありますが、ここでは

思い切って一つに絞ってみましょう。花の裏側に2重構造になった緑色の台座があります。

三角形の萼片と、葉っぱ状の副萼片です。それぞれ2枚目の写真を比べるとわかるように、

ヤブヘビイチゴの副萼片は巨大で、花びらや萼片から飛び出して見えます。

なんとなく、エリマキトカゲやライオンを彷彿とさせる特徴的な姿ですね。

ただし、花を真上から見た時には、副萼片が反り返って隠れている場合もありますので、

できれば花をくるっとひっくり返して裏側から見るようにしてみて下さい。


※もしもこのポイントだけでどちらの種類なのか解決できない場合には、その他の特徴も

確認しましょう。それでもよくわからない場合は両者の雑種(アイノコヘビイチゴ)である

可能性も。雑種はイチゴ状の果実が実らないので、花が終われば正体がはっきりします。

続いてもう一つの選択肢、一本の茎が枝を分けていくつも花を咲かせるタイプは主に3種。

写真の上から順に、ミツバツチグリ、オヘビイチゴ、キジムシロです。

それぞれ1枚目は花、2枚目は群落の様子ですが、見れば見るほどそっくりですね。

この3種を一発で見分ける決定打は葉っぱです。3枚目の各写真をご覧下さい。

ミツバツチグリはヘビイチゴなどと同じ三つ葉、オヘビイチゴは5枚1セットの掌状複葉、

キジムシロは複数の小さな葉が規則正しく並んで付いた羽状複葉になっています。

面倒くさがらずにちゃんと葉っぱを見てみれば、その違いは一目瞭然ですよね?

こちらをご覧下さい。ヘビイチゴの仲間が2種類写っています。わかりますでしょうか?

正解はミツバツチグリ(左)とキジムシロ(右)です。両者は同じような環境で見られるので、

このように一緒に生えていることもあります。雑木林の木々を伐採したり下草を整理したり

して急に明るくなったような場所に生えてくるので、里山の手入れと密接に結び付いた

指標植物といえるでしょう。逆に手入れをしなくなると、他の草木に光を阻まれて衰退して

しまいます。また、オヘビイチゴはより湿った環境を好む種類ですが、丹念に草刈りされた

田んぼの畦道などに群落を作ることから、こちらも里山の手入れが不可欠な指標植物です。

つまり、この仲間を見分けられるようになると、生育している種類による環境嗜好の違いや

その場所の手入れがなされているかどうかまで、手に取るようにわかってしまうのです。

もちろん植物を見分けることそれ自体も楽しいのですが、植物観察を通して自然の見え方が

変わる、そんな面白さも、植物好きの皆さんにはぜひ味わっていただきたいと思います。

由木周辺においては、今回取り上げた5種類さえ見分けられればまず問題ありませんが、

低山に登ったり、河川敷を歩いたりすると、また違ったヘビイチゴ類が出迎えてくれます。

写真はその一例。左からヒメヘビイチゴ、オキジムシロ、カワラサイコです。

基本は同じなので、まず「花の数」を見て、次に「葉っぱの形」を見る、これだけでOK。

“全部ヘビイチゴ”でも“面倒だからパス”でもない、楽しい出会いとなりますように!

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