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湧水湿地のヤチスズ

10月11日、先日の記事の続きです。都立公園の現地調査、後半に訪れた薄暗い谷戸の湿地に

小さなコオロギのような昆虫がたくさんいることに気が付きました。正体はヤチスズです。

芝生にいるシバスズとそっくりですが、“谷地”の名前のとおり湿地に生息する種類です。

ヤチスズが所属するヒバリモドキ科には、クサヒバリやカヤヒバリに代表される草木の上で

生活しているヒバリモドキ亜科と、地上生活中心のヤチスズ亜科の2つのグループがあり、

特にヤチスズ亜科の種類は様々な環境に適応して棲み分けています。名前だけ見てみても、

ヤチスズ、シバスズ、カワラスズ、ハマスズ、イソスズ、マングローブスズといった具合で

生息環境の幅広さと種の多様化を実感することができるでしょう。ヤチスズ亜科を代表する

ヤチスズですが、湿地ならどこにでもいるというわけでも無いようです。これまでちゃんと

認識していなかったので、長池公園やその他の谷戸湿地でも気にかけてみようと思います。

ヤチスズのいた湿地には、ハッカ、シラゲヒメジソ、サヤヌカグサ、トウゴクヘラオモダカ

(※写真なし)、ミズニラ、イヌスギナ、イワガラミなどが見られました。都の絶滅危惧種に

指定されている植物のオンパレードです。多摩丘陵の湧水湿地のポテンシャルの高さには、

改めて驚かされます。こうした何気ない環境も、良質な状態を維持するのは難しいもの。

継続的な攪乱によって埋土種子の発芽を促したり、スゲ、ミゾソバ、ドクダミなどの雑草や

外来植物が優占しすぎないようコントロールしたりと、湿地の状況の変化に合わせて作業を

行わなければなりません。普段は人が立ち入らない場所だからこその課題がありそうです。

おまけ。同行の一人が羽毛を拾い上げました。里山のシンボル、フクロウの落とし物です!


 
 
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