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堀之内東山の花暦

4月30日、緑地管理作業はいよいよ草刈りシーズンの幕開けです。午後から大塚東公園の

広場の草刈りを行いました。冬場は林床管理や剪定作業が中心なので、ナイロンコードの

刈払機を使った作業は久しぶりです。私は無心になれるこの作業が好きだったりします。

ところで、午前中は巡回清掃の当番で堀之内東山方面の公園緑地を廻ってきました。

ついでに希少種の開花モニタリングも行いました。堀之内沖ノ谷戸公園の保護エリア内では

ギンラン、キンラン、エビネが咲き揃っていました。この区画の植物は、19住区の開発に

よって失われることになった、もともとの自生地から移植され、守られてきたものです。

区画内の林床は公園アドプト団体によって綺麗に手入れされ、植物も生き生きしています。

広場のクチナシグサはまだ咲き残っており、樹林下では、すでに花が枯れてしまった

ウラシマソウに代わり、カントウマムシグサが顔を出していました。マルバウツギも満開!

堀之内東山そらみの森緑地(東山自治会館の南側)にある林縁湿地の様子も覗いてきました。

この湿地には希少な湿生植物がまとまって生育しています。中でも1枚目のヤガミスゲは

東京都の絶滅危惧種にも指定されている珍しいものです。2枚目のアゼナルコや3枚目の

エナシヒゴクサとともに、群落を作っています。芝生の広場に隣接しているので、いずれは

保護柵を設置して、機械による草刈りの影響を避けられるようにしたいと考えています。

ヤガミスゲが結実する頃、ミコシガヤやミゾコウジュも発生してさらに賑やかになります。

芝生では、先日の記事に登場したばかりのノニガナが点々と咲いていました。自然館屋上と

この場所でしか確認していない珍しい植物です。どこかで見かけましたら、ぜひご一報を!

もりみの公園側の道ばたでは、菜の花のミニチュア版のような黄色い花が目立ちます。

ハルザキヤマガラシという植物です。観察中、ヒメウラナミジャノメが飛んできました。

一方、堀之内沖ノ谷戸公園の芝生には、そっくりさんのキバナクレスが咲いていました。

どちらも初夏に咲くアブラナ科の外来雑草です。上の3枚がハルザキヤマガラシで下の3枚が

キバナクレス。キバナクレスは全体に緑色が淡く、果実もすくっと上に立ち上がります。

一番の見分けポイントは茎の上部に付く葉の形です。右側の2枚を見比べてみて下さいね!

クローバーなどに寄生する外来植物、ヤセウツボがあちこちからニョキニョキと発生中。

初めて見た時にはそのビジュアルに衝撃を受けましたが、今となっては見慣れた光景です。

最後に紹介するのは、近年じわじわと勢力を拡大しているシラホシムグラという植物です。

堀之内東山はぐくみの森緑地の法面(ふれあい東緑道入口の道路向かい)に群生しています。

在来種のヤエムグラとよく似ていて見過ごしそうですが、ずっと大きくなり、屈強です。

本種を見分けるポイントは二つ。一つ目は花が純白であること、2つ目は、茎下部の

葉が輪生状に付いている部分、根元付近に、白い毛のかたまりが見られることです。

こうしたマニアックな植物を見分けるためには、まず身近な雑草を一つ一つよく見て

顔なじみになる必要があります。その過程で、草花ともっと親しくなれるはずですよ!


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