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ヒメツチハンミョウとスッポンタケ

11月12日、午後から川口町での調査仕事中、思い入れのある昆虫とキノコに出会いました。

枯れ草にしがみついてじっとしていたのは、ヒメツチハンミョウの雌です。同行した市の

職員が見つけて下さりました。ヒメツチハンミョウは毎年どこかしらで出会っていますが、

幼虫を見たことがある方は少ないのではないでしょうか。彼らは単独生活を送るハナバチの

仲間の巣に寄生して成長する習性があります。巣に寄生する方法はとてもギャンブルです。

数千匹もの幼虫が草によじ登り、花を訪ねてくる昆虫を待ちます。いざ昆虫が飛んでくると

背中に飛び乗り、見事、その昆虫がハナバチの雌であった場合のみ、産卵の際に巣の中への

侵入を果たすことができるのです。ハナバチの登場を待つヒメツチハンミョウの幼虫集団は

滅多に見ることができません。怖いもの見たさで、いつかそのシーンに巡り合ってみたいと

思っていた矢先、2021年3月に幸運にも遭遇することができました。幼虫の集団は黒い塊と

なってうごめき、全部で10塊くらいがヒガンバナやスイカズラの葉先に集まっていました。

このときは毎月定例の野外講座の最中だったのですが、自分が講師であることなんて忘れて

無我夢中で観察に没頭したのをよく覚えています。私の興奮ぶりにただならぬ何かを察した

皆さんが一緒に喜んでくれたのは、良い思い出です。さて、これから土に潜って冬越しを

行う準備段階にある雌のヒメツチハンミョウは、ほとんど動かずにじっとしていました。

無事に冬を越せれば、春には4000個もの卵を産み、新たな賭けがまた始まることでしょう。

もう一つの出会いはこちらのキノコです。初めて見た時は、そのビジュアルに驚きました。

スッポンタケという名前で、私が初めて出会ったのは高校生の頃です。現在は住宅開発で

様変わりしてしまいましたが、当時、稲城市内の里山にはこのキノコがたくさん発生して

いました。当時よく一緒に歩いていた友人がキノコ好きで、幼菌が食べられるというので

一緒に食べてみたこともありました。傘のドロドロの部分はグレバといって悪臭を放って

ハエやハチを誘っています。彼らは重要な胞子の運び屋なのです。群馬県の里山で出会った

スッポンタケには、おびただしい数のハエとスズメバチが集まっていてびっくりしました。

鼻に突くグレバの悪臭を手がかりに、スッポンタケがありそうなササ藪を歩き回っていて、

先の友人と「おっ近くにありそうだぞ!」などと言いながら、臭いのするほうへ突き進み、

とんでもないモノを見つけてしまったことがあります。ご想像にお任せすることにします。

それ以降、スッポンタケ探しがトラウマになり、立ち直るのにだいぶ時間がかかりました。

長年、毎日のようにフィールドワークを続けていると、本当に色々なことがあるものです。

2つの出会いが、忘れかけていたこれまでの様々なシーンを思い出させてくれたのでした。

午前中は、近隣の公園で観察会の講師を務めてきました。長くなったので、観察会の様子は

機会を改めて紹介しますね。※写真は川口町のヤマタツナミソウ、コメナモミ、シロダモ。


 
 
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