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ヌカスゲとコゴメスゲ

  • 2 days ago
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3月20日、八王子市東部地域に生育する植物をまとめた「由木地区植物目録2022」の刊行から4年が経ちました。

2022年以降も細々と植物調査(フロラ調査)は継続しており、新たな発見が相次いでいます。刊行後に50種近くもの

新産種が追加され、分類上の変更や修正事項も増えてきたため、そろそろ新訂版を作り直す必要性が出てきました。

その矢先、由木では現状不明になっていた種と、過去に記録の無い新産種、いずれもスゲ属の植物を発見しました。

一つめはヌカスゲです。カヤツリグサ科のスゲ属に属する植物は種類が多い上、どれも姿が非常によく似ています。

そのため、一般向けの植物図鑑では、ほとんど取り上げられることがありません。このヌカスゲも、いわゆる図鑑に

載っていない雑草の一つです。見分けが難しいというだけで、実際にはこの仲間(スゲ属ヌカスゲ節のアオスゲ類)は

身近にありふれています。例えば4月に開花するメアオスゲやノゲヌカスゲは、道ばたにもごく普通に生えています。

種によって環境の好みの違いや地域性がみられ、いくら気にしていても見つからないスゲというのも当然あるわけで

ヌカスゲもそうでした。過去に近隣での記録はあるものの、私には再発見できなかったのです。それが思いがけず、

巡回清掃中に大塚八幡山公園の林縁で見つけてしまいました。開花が他種よりも早いこと、雄小穂が線形で突出し、

雌小穂の果胞が無芒で細身なこと、基部の鞘が広く褐色になることなどのポイントを改めて確認し、確信しました。

2010年代に市史編さん事業の一環で植物調査を行っていた頃、自身の勉強用にこんなシートを作成していました。

様々な資料を広げて読み比べながら同定のポイントを整理したものです。スゲ類を観察できるシーズンは限られて

いるので、見られる可能性のある種類はシーズン前にまとめて予習していました。自分なりに対策しておいたことが

今になって役に立っています。試験勉強みたいですが、“宝探しのヒント集づくり”ほど楽しいことはありません。

くわえて、ヌカスゲはたまたま自然館の周囲に参考植栽として植えられたものが勝手に増えてきてしまい、日常的に

それらを目にしていました。発生初期、開花期、結実期とみるみる外見が変化していくスゲの仲間は、やはり実物に

見慣れておくのが一番です。それはそれで、初めて自生のものを見つけた瞬間の感動はちょっと薄まるのですが笑。

ヌカスゲとの出会いから2日後の19日、今度は小山内裏公園の外周緑地で沿海地性種のコゴメスゲを発見しました。

こちらは由木地区新産です。東京都内で見られるスゲの9割は春から初夏にかけて開花・結実します。秋咲きのスゲは

ナキリスゲほぼ一択といって良いのですが、ナキリスゲにも近縁の種類が複数あって、コゴメスゲはその一つです。

コゴメスゲはナキリスゲと比べ、全体に黄緑色で、小穂がより多くて細長く、果胞も小型などの違いが見られます。

通常は海から近い環境に生えることが多いといいます。最近、23区内にも点々と生育することがわかってきており、

これまで素通りしてきたナキリスゲを、改めて意識して観察するようになったことで、今回の発見に繋がりました。

・・ということで、今日はマニアックすぎる記事(備忘録?)となり、失礼致しました。地味な植物こそ奥深いのです!

おまけ。今年も松木中学校で開催された浄瑠璃祭りに参加しました。雨で大変だったようですが、午後は大賑わい!


 
 
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