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金ヶ嶽の夜更け(番外編)

5月9日、3日間に渡る専門学校の校外実習、植物と生物に続く最終回は夜の観察記録です。

初日に、学生の一人が畑でフクロウの風切羽を拾いました。姿を見ることは難しくても、

この羽一枚が生息を裏付ける重要な証拠品となります。夜は野ネズミを狩りに畑のほうまで

出てくるのかもしれません。そんな期待もあって、初日の夜、研修施設の周りを一人で散策

してみました。予想通りフクロウが鳴いていただけでなく、渓谷からはカジカガエルたちの

大合唱が聴こえて賑やかでした。真っ暗闇で、日中とはまた違った“音”の世界を味わう

ことができたので、学生にも“長瀞の音の記憶”を持って帰ってもらいたいと思い立ち、

2日目の夜は任意参加でミニナイトハイクを企画しました。ほぼ全員参加してくれました!

大きな「ジーーー」という鳴き声の主を探ると、早速クビキリギスを発見。成虫で冬越し

するので、他のキリギリス類よりもずっと早い時期から鳴き始める鳴く虫の定番種です。

大きな樹木が林立する弁財天に行ってみました。携帯のライトで幹を照らしてみると・・

様々な昆虫が活動していました!2枚目はサトユミアシゴミムシダマシといって、前脚が

弓なりに弧を描くのがユニークな甲虫です。3枚目は学生が見つけたナガチャコガネです。

夜に活動する昆虫は思いのほか多く、それらを狙ってニホンヤモリも幹に姿を現しました。

夜は夜で、日中とは異なる種類の生きものたちが織り成す生態系が育まれているのです。

夜にしか開かない植物といえばカラスウリの花が有名ですが、コマツヨイグサもその一つ。

辺りが真っ暗になってから、それまでしょぼくれていた花がにわかに開き始め、闇に浮かび

上がってきます。夜行性のスズメガ類などに蜜をもたらして、花粉を運んでもらうのです。

このほか、夜間は葉を折りたたんで休眠するカタバミやカラムシなども観察できました。

施設の閉まるまでのわずか一時間程度のミニナイトハイクでしたが、“長瀞の音の記憶”を

持ち帰ることに留まらず、夜ならではの生きものの営みを垣間見ることができました。その

感動をみんなで分かち合った時間はかけがえのないもの。思い出に残る夜になりましたね!


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