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ミドリミツバウツギ

4月26日、自然館中庭の巣箱ではシジュウカラが8個(1個消失)の卵を大切に温めています。

ヒナたちの誕生が待ち遠しいこの頃ですが、巣箱のすぐ下にある植物が見頃を迎えました。

聞き慣れない名前だと思いますが、ミドリミツバウツギという低木です。図鑑などには、

これまで一度も写真が掲載されたことはなく、そもそもこの名前が登場する本も数えるほど

しかない大変マイナーな植物です。1962年に八王子市の小仏峠付近で故・畔上能力氏が発見

したミツバウツギの一品種で、通常は白いはずの萼片、花弁、花茎が緑色になるものです。

この時採取された標本に基づき、故・林弥栄氏によって正式に品種として発表されました。

それから長い間、誰にも気が付かれることはなく、所在不明となっていましたが、57年後の

2019年4月に、御霊谷林道(元八王子町)で私が再発見しました。発見者の畔上先生は私が

生前とてもお世話になり、影響を受けた方でもあり、見つけた時の喜びは忘れられません。

その後、系統保存のために前任の園長が元八王子町産の個体の一部を採取し、自然館周辺で

挿し木による保護を行ってきました。数年経って、毎年開花が見られるようになり、現在も

こうしてこの珍妙な緑色の花を楽しむことができます。花の一部が葉化してこのような姿に

なっているのだと思いますが、毎年同じ形質の花を付けるので、品種として区別する見解が

妥当であることも経過観察から明らかになりました。畔上先生も、ミドリミツバウツギの

開花を天国できっと喜んで下さっているに違いありません。自然館周辺にも数本植栽されて

いますが、よく咲いているのは中庭の株です。見学を希望の方は自然館へお声がけ下さい。

参考までに、こちらが通常花のミツバウツギです。花は真っ白で、時折ピンクが入ります。

ながいけの道にはミツバウツギがたくさん自生しているので、比べてみると良いでしょう。

自然館中庭と周辺では他にもシロバナカザグルマ、エビネ、ミツデカエデなどが見頃です。

新緑の散策で汗をかいたら、自然館で一休みがてら、これらの植物も覗いてみて下さいね。

ただし長居すると抱卵中のシジュウカラにストレスを与えてしまうので、どうか手短かに!




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