2月21日、講座の下見で、裏高尾方面の高尾駒木野庭園と小仏川遊歩道を歩いてきました。
3月にはキバナノアマナ、ヒメニラ、キクザキイチゲ、ヤマエンゴサクなどの春植物たちが
競うように咲くこのコースも、今はまだ冬景色です。咲いているのはオオイヌノフグリと
ホトケノザくらいでしょうか。そこで少し視点を変えて小さな枝沢に入り込んでみました。
ヒノキの樹皮がめくれ上がっている隙間に、珍しいヒメカマキリの卵鞘が付いていました。
日本固有種(学名にも“日本”が入っている)のとても小さなカマキリで、樹林地に生息する
ため、他のカマキリよりも見かける機会が少ない種類です。昨年も、近隣の八王子城跡で
卵鞘を見つけており、高尾山界隈には広く生息しているようです。個人的に、成虫はもう
何年も出会っていないので、今年こそ市内で遭遇したいところ。ここは要チェックです!
他にも、樹皮下で冬越しする定番種のムナビロオオキスイ(2枚目)やカメムシの仲間などが
見つかりましたが、面白いのは3枚目です。隙間から顔を出したこの物体は何でしょう?
答えはヒマワリの種子です。どこからか、小鳥(おそらくヤマガラ)が運んできて貯食した
痕跡と思われます。今から30年近く前に、バードフィーダーを設置してヒマワリの種子を
入れて小鳥を観察していたことがあるのですが、補充する時に一番乗りで近くまでやって
きたのはヤマガラでした。かくいう私も、ヒマワリの種子は結構美味しいと思っています。
冬の沢は常緑性のシダを観察するのに最適な環境です。葉脈に沿って特徴的な模様が入った
こちらのシダは、オオバノアマクサシダの赤ちゃん。ここ数年の間に産地が増えつつある
暖地性シダの一つで、大食漢のシカが好まないこともあって今後も発見例が増えそうです。
遊歩道沿いの紅梅は見頃となり、高尾駒木野庭園の池ではヤマアカガエルの産卵を確認。
山麓にも着実に春が近付いていました。(※2枚目はメジロの羽毛、3枚目はイラガの空繭。)