オオタチイヌノフグリ!?
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3月31日、早いもので、2026年度が幕を閉じようとしています。新年度も自然観察と発信を楽しんでまいります。
年度末なので、先日29日に見つけたとっておきの植物をご紹介します。※明日だと“ウソ”になってしまうので・・
出張からの帰り道、あるイベントの視察見学も兼ねて、八王子市内某所のショッピングセンターに立ち寄りました。
駐車場の周りには雑草がたくさん生えていたので、遅めの昼食を食べつつ一人で観察。“もう、タチイヌノフグリも
咲き始めたか~”と、ぼやきながら虫の目観察を続けていると、タチイヌノフグリの一群から少し離れたところに、
明らかにそれとは異なる風貌のイヌノフグリ類(Veronica)が1個体、目に飛び込んできました。花が大きいのです。
タチイヌノフグリの花の直径は3mmが標準ですが、この花は約5mmありました。ミリ単位の違いとはいえ、実際に
見るとだいぶ大きく見えます。花冠裂片(花びら状の部分)が萼裂片よりも長いため、余計に大きく感じられました。
5円玉の穴の直径が5mmなので、イヌノフグリの仲間を見つけるたびに、硬貨を当てがって比較してみるのですが、
残念ながら財布の中身は50円玉のみ。50円玉の穴の直径は4mmですが、穴よりもわずかに大きいサイズ感でした。
それだけではありません。タチイヌノフグリでは無柄であるはずの花に、短いながらもはっきりと柄があるのです。
こうしたいくつかの違いが見た目の違和感を生み出し、思わず二度見してしまうほどの強い印象を受けたのでした。
ちなみに、茎の毛や葉の形(二形性)など、その他の特徴はタチイヌノフグリとほぼ同じでした。この時点で頭の中に
浮かんできたのは「オオタチイヌノフグリ」という仮の名前で呼ばれているオオイヌノフグリとタチイヌノフグリの
種間雑種です。花だけを見れば、アレチイヌノフグリなど別の種類という可能性もありましたが、先に挙げたような
特徴は、どれも両者の中間的といえるものです。特に花が大きくて花柄が明瞭である点はオオイヌノフグリの形質が
表れていると考えるのが自然でしょう。オオタチイヌノフグリ(仮)は、どうやら確認事例がとても少ないようです。
ある観察記録によると、この組み合わせは雑種不稔、つまり一世代目のみが生じて、それ以降は繁殖ができない性質
である可能性が高いとのこと。それにくわえて両者はもっぱら自動自家受粉による繁殖をメインに行っており、特に
タチイヌノフグリにおいては、滅多に昆虫が来ないために、ほとんどが自殖によって実を結んでいるのだそうです。
つまりは、昆虫によって両者間で送粉が行われる機会の少なさと、交雑後は世代交代を行うことなくワンシーズンで
命を終えていくという2つの要素により、ありふれた草花どうしなのに雑種を見る機会が限りなく少なかったのです。
長々と書きましたが、いつか見てみたかった幻の花に出会えたのですから、難しいことは抜きにして感動しました。
一世代限りなのがもったいないくらい、本当に美しくて魅力的な花だと思います。皆さんもぜひ探してみて下さい!
おまけ。多摩ニュータウンエリアを中心に、由木地区周辺で2020年代から急増しているキヌイトツメクサですが、
中心市街地(明神町)でも道ばたにたくさん咲いているのを見つけました。南多摩では普通種になりつつありますね。



























