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チョウゲンボウと江戸川植物さんぽ

4月10日、講座の下見や調査を兼ねて、都内(江戸川区や小金井市など)を廻ってきました。

普段の行動圏がもっぱら多摩川流域に限られているので、江戸川周辺の散策は新鮮です。

広大な江戸川の河川敷に降り立つと、堤防草地の低空でホバリングしている猛禽類が目に

入りました。チョウゲンボウの雄です。空中から獲物の小鳥や野ネズミを探しています。

空中での静止時間は1分ほど続き、その間に、正面へ回り込んで近付くことができました。

ハンティングは見れませんでしたが、風をうまく利用して宙を浮かぶ姿に感動しました!

河川敷の一角に広がる菖蒲田では、絶滅危惧種を含む様々な雑草を見ることができました。

多摩丘陵では馴染みの薄い平野部の植物を中心に、いくつか紹介してみたいと思います。

まずはコイヌガラシ(区部RDB・情報不足)です。田起こし前の田んぼや畑地に生える雑草で

環境省のレッドリストでも準絶滅危惧種に指定されています。人為的に攪乱される環境を

好み、生育も不安定なことが多いのですが、菖蒲田とは、良い場所を見つけたものです。

菖蒲田の畔には、ノニガナ(区部RDB・準絶滅危惧)が数多く見られました。ニガナのような

細長い葉とオニタビラコに似た花の組み合わせが特徴的ですが、見逃しやすい一種です。

南多摩でも、土とともに運ばれたと思われるノニガナを時々見ます。江戸川流域のものは

古くからの自生と思われます。「本場」を見ておくことは保全を進める上で大切ですね。

コイヌガラシと同様、環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定される水田雑草の一つ、

アズマツメクサ(区部RDB・絶滅危惧ⅠA類)やオグルマ(区部RDB・絶滅危惧ⅠA類)が菖蒲田の

一角に発芽していました。傍らでは、南多摩でもお馴染みのコオニタビラコも花盛りです。

菖蒲田は攪乱依存種のまさしくオアシスですね。花菖蒲とともに守られていきますように!

せっかく遠くまで来たので、外来雑草もざっくりとチェックしてきました。場所は同一では

ありません。順に、ハマワスレナグサ、ノミノハゴロモグサ、ネバリコメツブウマゴヤシ、

キヌイトツメクサ、シラホシムグラ、シロイヌナズナ、シロバナヒメオドリコソウ(品種)、

オオムギ、カラスムギです。キヌイトツメクサやシラホシムグラは南多摩ではどんどん

勢力を増しつつありますが、区部でも同じことがいえそうで、各所に生育が見られました。

所変わって、午後は小金井公園へ。ジロボウエンゴサク、セントウソウ、ムサシアブミなど

里山植物が出迎えてくれました。植物チェックも早々に、本来の目的を果たすとすっかり

日も傾いていい時間になっていました。久しぶりに一日で長距離を移動して、同じ東京でも

東と西で植物相(フロラ)がずいぶん違っていることを実感した“植物三昧”の一日でした。


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