チョウゲンボウと江戸川植物さんぽ
- ひとまちみどり由木 指定管理者
- 4月13日
- 読了時間: 3分
4月10日、講座の下見や調査を兼ねて、都内(江戸川区や小金井市など)を廻ってきました。
普段の行動圏がもっぱら多摩川流域に限られているので、江戸川周辺の散策は新鮮です。
広大な江戸川の河川敷に降り立つと、堤防草地の低空でホバリングしている猛禽類が目に
入りました。チョウゲンボウの雄です。空中から獲物の小鳥や野ネズミを探しています。
空中での静止時間は1分ほど続き、その間に、正面へ回り込んで近付くことができました。
ハンティングは見れませんでしたが、風をうまく利用して宙を浮かぶ姿に感動しました!
河川敷の一角に広がる菖蒲田では、絶滅危惧種を含む様々な雑草を見ることができました。
多摩丘陵では馴染みの薄い平野部の植物を中心に、いくつか紹介してみたいと思います。
まずはコイヌガラシ(区部RDB・情報不足)です。田起こし前の田んぼや畑地に生える雑草で
環境省のレッドリストでも準絶滅危惧種に指定されています。人為的に攪乱される環境を
好み、生育も不安定なことが多いのですが、菖蒲田とは、良い場所を見つけたものです。
菖蒲田の畔には、ノニガナ(区部RDB・準絶滅危惧)が数多く見られました。ニガナのような
細長い葉とオニタビラコに似た花の組み合わせが特徴的ですが、見逃しやすい一種です。
南多摩でも、土とともに運ばれたと思われるノニガナを時々見ます。江戸川流域のものは
古くからの自生と思われます。「本場」を見ておくことは保全を進める上で大切ですね。
コイヌガラシと同様、環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定される水田雑草の一つ、
アズマツメクサ(区部RDB・絶滅危惧ⅠA類)やオグルマ(区部RDB・絶滅危惧ⅠA類)が菖蒲田の
一角に発芽していました。傍らでは、南多摩でもお馴染みのコオニタビラコも花盛りです。
菖蒲田は攪乱依存種のまさしくオアシスですね。花菖蒲とともに守られていきますように!
せっかく遠くまで来たので、外来雑草もざっくりとチェックしてきました。場所は同一では
ありません。順に、ハマワスレナグサ、ノミノハゴロモグサ、ネバリコメツブウマゴヤシ、
キヌイトツメクサ、シラホシムグラ、シロイヌナズナ、シロバナヒメオドリコソウ(品種)、
オオムギ、カラスムギです。キヌイトツメクサやシラホシムグラは南多摩ではどんどん
勢力を増しつつありますが、区部でも同じことがいえそうで、各所に生育が見られました。
所変わって、午後は小金井公園へ。ジロボウエンゴサク、セントウソウ、ムサシアブミなど
里山植物が出迎えてくれました。植物チェックも早々に、本来の目的を果たすとすっかり
日も傾いていい時間になっていました。久しぶりに一日で長距離を移動して、同じ東京でも
東と西で植物相(フロラ)がずいぶん違っていることを実感した“植物三昧”の一日でした。