10月29日、駐車場から自然館へと続く園路沿いにメナモミとコメナモミが群生しています。
これらについては以前、オオオナモミと合わせて「ひっつき虫3題」として紹介しました。
その際、これだけたくさん混生していたら両者の雑種、ウスゲメナモミが見つかるかも
しれないと、伏線的なことを書いてしまったので、通る度に気にしていたのですが・・
ついにそれらしき個体を2株発見しました!両者の中間的な形質がいくつか見られます。
“薄毛”というだけあって、メナモミの特徴である白い開出毛は疎らで長さも短めです。
花柄には腺毛が疎らにあり、メナモミほど顕著ではありません。
茎下部ではコメナモミの特徴である伏毛だけが見られますが、茎はより太くてがっしり。
葉の大きさや毛量は両者の中間的で、どっちつかずな感じは雑種っぽさ満載です。
おそらく一世代雑種なので、種子ができるかどうかなど、生態的な観点からもちゃんと
継続観察していきたいと考えています。有言実行、ということでまずはご報告でした。
なお、ウスゲメナモミについてはwebで検索してもほとんど知見を得ることができません。
学名は、「Sigesbeckia glabrescens (Makino) Makino x S. pubescens (Makino) Makino」
牧野富太郎氏の名前が4回も登場する学名なんて、他に無いのではないでしょうか?笑
本雑種の原記載は愛知みどりの会発刊の「シデコブシ第3巻」に掲載されているのですが、
私は第2巻までしか持っておらず、どなたかお持ちでしたら貸していただきたいです<(_ _)>
あまりにマニアックな植物の話題で読者が減ってしまいそうなので、母種のメナモミ(上)と
コメナモミ(下)の写真を貼ります。太くて毛深いのが前者、細くてつるつるが後者です。
園内のあちこちで見頃となっているので、ぜひ実物を触って見比べてみて下さい!
ところで、メナモミ、コメナモミともに、長池公園に自生している種類なのですが、じつは
これほどあちこちで見られるようになったのは、種子を採って各所に蒔いてきたためです。
長池公園では、自生の里山植物による景観形成と希少種保全を積極的に進めてきました。
メナモミ類の繁栄はその成果の一つであり、減少傾向にあったメナモミ類が再び身近に
観察を楽しめるまでになったのです。雑種の出現は、里山園芸が生んだ偶然の産物ですね!
Comments