都鳥の東京観光
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8月27日、日が暮れるとアオマツムシの「リーリー・・」という甲高い声が響く季節になりました。耳を澄ませば、
クズの茂みからはそれよりもずっと低い波長で「ルルル・・」と絶え間なく鳴く、カンタンの声も聴こえてきます。
この日は朝から珍客の情報が入ってきました。築池にユリカモメが飛来していたというのです。ユリカモメは冬鳥で
国内では秋から冬にかけて観察されるカモメの仲間です。早速、お昼頃に築池を覗いてきましたが、すでにその姿は
ありませんでした。情報を寄せて下さった常連のNさんから、素晴らしい写真を提供いただいたのでお借りしました。
そもそも長池公園ではカモメの仲間が飛来することは滅多になく、ユリカモメも園内では初めての記録となります。
カモメ類は雑食で、魚のいる池沼であれば生息していても不思議ではありませんが、なぜ長池公園には姿を見せない
のでしょうか。これはおそらく、集団ねぐらを形成する習性が関係していると思われます。ユリカモメは、カラスや
カワウ、ツバメなどと同様に、夜になると集団でねぐらを形成し、分散していた個体が一斉に集まって眠るのです。
カラスは府中カントリークラブや野猿峠付近の樹林、多摩中央公園などに集団ねぐらがあり、カワウとツバメでは、
多摩川沿いの調整池や中州、送電線などに集団ねぐらが作られています。長池公園まで遠征してきても、日没の前に
出発すれば、ねぐらへ合流するには十分に時間的余裕のある距離です。一方で、ユリカモメはどうでしょう。都内の
多くの個体が、夜になると東京湾岸まで移動して集団ねぐらを形成しているようです。多摩川中流の新二子橋付近や
河口の中州でもねぐらが確認されていますが、それでもかなりの距離がありますね。環境的にはそれほど違いが無い
ように思える区部の池沼(不忍池など)では日中、普通に見かける一方で、長池公園には姿を見せないのも納得です。
そんなユリカモメが真夏の築池に一瞬だけ飛来した理由は、北国から渡ってくる途中で、通り過ぎざまにたまたま、
休憩場所に良さそうな池を見つけて舞い降りた、そう考えるのが自然でしょう。観察できた方はとても幸運ですね!
ところで、ユリカモメは東京都の鳥に指定されています。八王子市の鳥、オオルリが夏しか見られないのに対して、
東京都の鳥、ユリカモメは冬しか見られない・・というのがちょっと面白くもありますが、シンボルバードとしては
どちらもなかなか良いチョイスだと思いませんか?ユリカモメが都の鳥に指定されたのは、今から61年も前のこと。
当時、ノミネートされた10種類の鳥の中から、都民によるハガキ投書で決戦投票が行われたそうです。一千万人もの
人口を抱えながら、応募総数はわずか3242票だったとか。栄えある1位を獲得したのがユリカモメというわけです。
ちなみに2位はメジロ、3位はヒバリでした。伊勢物語に隅田川の都鳥が登場したことも大きく影響していそうです。
伊勢物語に出てくる都鳥は、ユリカモメ説とミヤコドリ説が存在しましたが、1944年発行の「都鳥新考」の中で、
著者の熊谷三郎氏が“都鳥はユリカモメである”と断定したことにより、一応の決着を見ています。やはり、彼らが
下町を飛び回る光景こそ、冬の東京を象徴する風物詩ですよね。さて、通りすがりに築池へ舞い降りたユリカモメ。
「へ~!ここも東京なの?魚もそこそこいるし、静かでいいところだけれど、ちょっとねぐらが遠いんだよなぁ~」
ぶらり東京観光していたのかどうかは本人にしかわかりませんが、また長池公園へ立ち寄ってくれたら良いですね!
おまけ。インターンシップ後半戦3日目は、ヤマザキ動物看護大学より1名、東京都立大学より3名が参戦しました。
自然館駐車場の外来種、オオブタクサとアレチヌスビトハギの抜き取り、見附橋バス停付近に飛び出したクズつるの
除去、缶バッジ製作、長池ぽんぽこ祭りに向けた打ち合わせなど、盛りだくさんのメニューを笑顔でこなしました!



