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春は足もとから

3月10日、ぽかぽか陽気の日が増え、足もとの雑草もだいぶ賑やかになってきました。

ピンクや紫の絨毯に潜り込んでみれば、一つ一つの花にも表情があって可愛いですね。

みんな大好きホトケノザ。ハートの花びらはヤハズエンドウ。そして大根の花そっくりで

もっと濃い紫色が派手やかなオオアラセイトウ。オオアラセイトウは聞き慣れない名前かも

しれませんが、ショカッサイ、ムラサキハナナ、ハナダイコンなどとも呼ばれています。

他の花に埋もれて素通りしてしまいそうな、こちらの小さな花はアメリカフウロです。

花のつくりをちゃんと見たことが無かったので、真上からアップで覗くと驚きました。

星形の萼片、5枚の花びら、そして5つに分かれた雌しべの柱頭、これら3つが重なって、

まるで花の中に花が咲いているかのように見えるのです。雄しべが伸びてくると

雌しべが目立たなくなり、印象は変わると思うので、咲き始め限定の姿かもしれません。

春の雑草の主役はなんといってもタンポポ。左の写真はカントウタンポポと思われます。

頭花を支える緑色の部分、総苞片が反り返らず密着していることが在来種の特徴です。

ただし、この見分け方も最近は通用しなくなってきました。外来種のタンポポでも、

総苞片が全く反り返らない系統が見つかっているからです。ニセカントウタンポポ、

カントウモドキなどと呼ばれるものは、黒々した総苞片が反り返らずに密着します。

さらには、総苞片が反り返っているものはセイヨウタンポポ、という昔の常識も、

現在では正確ではないことが分かっています。在来系統と外来系統の雑種に由来するもの、

つまり雑種タンポポがそれらの9割近くを占めているといいます。純血を保ったままの

セイヨウタンポポはもはや珍しい存在になりつつあるのです。外見での区別は困難ですが、

頭花を手で擦るように触り、指にほとんど花粉が付かなければ雑種の可能性が高いです。

一方で、カントウタンポポをはじめとする在来種のタンポポはむしろ増加傾向にあります。

少し自然度の高い芝生や草地では、在来タンポポが元気に花を咲かせているはずですよ!

ちなみに2枚目はノゲシ(ハルノノゲシ)です。茎の途中にも葉が付き、背が高くなります。

また、花も枝分かれして複数咲き、総苞片が下膨れ型の特徴的な形をしています。

植物を見始めた頃、図鑑の写真を見て、タンポポとノゲシの花はよく似ているなぁと思って

いたのですが、こうして全体を見られるようになってからは、別人にしか見えませんね。

雑草を一つ一つ、いや、一人一人観察しながらの散歩はとっても楽しいのでおすすめです!

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