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早春の自然環境調査

3月21日、昨年、八王子市環境保全課主催の緑地保全講習会(全6回)で講師を務めましたが、

後半の3回は、市内の民有緑地を舞台として実際に作業を行いました。その後の状況が

気になっていた矢先、調査のお仕事で再びこの場所を訪れることができました。

ササを刈り進めた林床は良い状態が維持されていて、ホソバシュロソウやイヌショウマの

新しい芽生えがいくつも顔を出していました。そして、キツネノカミソリの葉が一面に!

保全作業の効果が現れているといって良さそうです。いずれも開花に期待がかかります。

水源近くでは、いくつか希少なシダが見つかっています。写真は常緑性のイワヘゴです。

もう春なのに、開花している草花は思いのほか少なく、あちこちで咲いているシュンランが

目の保養になりました。この場所もそうですが、人の出入りがほとんど無い民有地では

まだたくさん生き残っていて、足の踏み場も無いくらい生えている場所があったりします。

谷底部にエナガの巣が落ちていました。巣材を掻き分けると、トラツグミの羽が何枚も

使われていました。おそらく、オオタカなどの食べ痕から調達してきたものでしょう。

この発見から、①エナガが繁殖していること、②トラツグミが越冬していること、

③猛禽類が採食のために利用していることなど、生態系を考える上で重要な様々な情報を

得ることができます。植物メインの調査ではありますが、これは嬉しい発見でした。

林縁に沿って歩いていると、近くの棒杭にルリビタキ(雌または若い雄)が止まりました。

もう間もなく渡ってしまうので、もしかするとこの出会いが見納めになるかもしれません。

シンボリックな杉の大木を見てふと思い立ち、何枚か樹皮をめくってみると・・いました!

写真はアオモンツノカメムシ、エサキモンキツノカメムシ、トビモンオオヒラタカメムシ。

カメムシ以外にも、ムツボシテントウ、アカマダラカゲロウ、クロウリハムシなどが

冬越ししていました。あたたかくなってきたので、彼らもそろそろ活動再開でしょうか。

カメムシ繋がりでもう一枚。足元のブロックを歩いていたムラサキシラホシカメムシです。

樹皮下で見かけたことは無く、地上付近の隙間などで冬越ししているのかもしれません。

ということで、今日は民有緑地の調査の様子をご紹介しました。雰囲気伝わりましたか?

雪害で倒れた樹木や落ちた枝の処理、実生木の間引きなど、まだまだこの場所で取り組む

べき課題は山のようにあるので、保全活動がうまく継続していくことを願っています。

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