4月17日、観察会講師の仕事で長沼公園を散策しました。たくさんの出会いがありました。
高校時代から散々通ってきたフィールドなのですが、まだまだ新しい発見があります。
同時に、周囲の田んぼが耕作転換(畑地化)や宅地化によって軒並み失われてしまったり、
土砂崩れやナラ枯れの影響で園内の環境に大きな変化があったりと、同じ場所を見続けて
きたからこそわかることも多いので、皆さんへのレクチャーにもつい熱が入ります。
この日、特に印象深かったのは、ニホンアナグマにばったり遭遇したことと、渡り途中の
コマドリがよく囀っていたことですが、それらは残念ながら写真に撮れませんでした。
定番コースの霧降の道では、面白い形のオオバウマノスズクサが咲き始め、斜面に群生する
ホタルカズラが見事でした。流れのそばでは、ネコノメソウの花も点々と咲いていました。
各所で見られるハンショウヅルはいずれも蕾でしたが、この姿こそが私の一押しです。
まるで色鉛筆で描いたリンゴのようで、緑から赤紫へのグラデーションが美しいのです。
身近な種類からマニアックなものまで、新緑の季節ならではの植物たちを堪能しました。
順に、ヤマミゾイチゴツナギ、クロヒメカンスゲ、カワラスゲ、タマノカンアオイ、
ミツバツチグリ、チゴユリ、セイタカシケシダ、コバノガマズミ、ミツバウツギ、
ヤマツツジ、コクサギ、ウワミズザクラ、ハナイカダ、サルトリイバラ、エンコウカエデ。
長沼公園は両生爬虫類が多いのも魅力です。この日はニホンアマガエル、アオダイショウ、
ヒガシニホントカゲなどに出会いました。カエルさん、素手で掴んでしまいごめんなさい。
皆さんに案内をしながらの観察なので、野鳥はじっくり探せませんでしたが、渡り途中の
センダイムシクイがよく囀っていて、捕らえた昆虫を振り回すシーンも観察できました。
最近はどこでも見られる、留鳥のリュウキュウサンショウクイかと思って素通りしそうに
なったのですが、渡りの季節ということもあり、念のために双眼鏡で確認してみると、
胸からお腹にかけて真っ白。渡りの途中に立ち寄っていく夏鳥のサンショウクイでした。
3枚目は冬鳥のツグミ。色合いがくっきりしてきて、シベリアへの旅立ちの日も近いかな?
そして、なんといってもこの時期は昆虫ですね。一つ一つ紹介したいのをぐっと我慢して。
順に、アカボシゴマダラ(春型)、ヒメクロオトシブミ、イクビチョッキリの仲間の揺籃、
シバカワコガシラアブ、トビイロオオヒラタカメムシ、オオツマキヘリカメムシ、
イノコヅチカメノコハムシ、イチモンジカメノコハムシ、ヨツボシハムシ、ツチイナゴ、
ヒメオビオオキノコ、オナガグモです。中でも私のお気に入りはシバカワコガシラアブ。
小顔とおすもうさんのような体型がすっかり気に入ってしまいました。また会いたいな~!
最近では、生物多様性保全を目的とした大規模な環境整備や工事が各所で進められており、
それらの効果に注目しています。これからも長沼公園には足繁く通うことになるでしょう。