3月2日、梶川緑地の下草刈り作業中に、野生動物の立派な巣穴を見つけました。
この辺りの中型哺乳類の中で自ら穴を掘るのはアナグマだけなので、アナグマの巣穴と
言いたいところですが、実際にはその穴をタヌキが使っていることも多いのでどちらが
使っているのかは不明です。(※センサーカメラを設置して調べるしかありません。)
野生動物の巣穴(正確には巨大な巣の出入口)はこの辺りでは珍しいものではなく、
私たちが管理している全81箇所の公園緑地でも、すでに13箇所で確認されています。
巣穴が見つかるのは、傾斜のある樹林地で、周囲に下草が繁っているような場所。
今回の場所も、斜面の藪を伐り開いていて姿を現しました。
作業後、道路を挟んで向かいの傘平緑地へ足を伸ばすと、ここにも巣穴がありました。
これらの写真を見てわかるように、穴の手前にはトンネルを掘る時に掻き出された土が
こんもりと塚を作り、その上を動物が何度も往来することで踏み固められています。
こうした痕跡は“アクセストレンチ”と呼ばれていて、穴が野生動物の仕業で
あるか否かを判断するのに重要な手がかりとなります。
傘平緑地の巣穴のアクセストレンチに腰を下ろして、辺りを見渡してみました。
巣穴から出かけていく時の、野生動物の気分が想像できて楽しいのです。
そうして5分ほどじっと座っていたら、頭上にトラツグミやアオゲラが飛んできました。
ふと斜面の下のほうに目をやると、白っぽい鳥の羽が散乱しているのが見えました。
オオタカが、捕らえたキジバトの羽をむしり取って散らかしていった痕跡です。
そこへ、賑やかな小鳥が2羽舞い降りました。このブログでもおなじみのエナガです。
2羽とも、羽毛を嘴で咥えて飛び去っていきました。
しばらくすると、もう一度やってきて同じ行動を行いました。
先日26日の記事で紹介したエナガの巣作り、まさにその真っ只中のエナガたちが、
巣の内装に使う羽毛を調達しにやってきていたわけですね!
天敵でもある猛禽類とエナガの不思議な関係性を、目の当たりにしたのでした。
モノレールの駅から徒歩3分、ニュータウンのど真ん中にある小さな緑地。
近くを通るバスの車窓から見えるこの場所で、今日も生き物たちはどっこい生きています。
「都市の生物多様性を守るにはどうしたらいいのでしょう?」とよく聞かれますが、
全ては、こうした生き物たちの営みに“気が付くこと”から始まるのではないでしょうか。
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