7月31日、長池公園内、現在閉鎖中の雑木林トレイル沿いの草刈りを実施しました。
伐採作業などによってギャップが形成され、ムラサキニガナやコヤブタバコなどが
発生していました。樹林地の環境が変わると、林床の植生もいち早く変化します。
刈払い作業を終え、汗だくになって園路に戻ると、二人組のご婦人が声をかけてきて、
チョウの名前を尋ねられました。「アカボシゴマダラですよ!夏型は赤いんです。」と、
とっさにお答えすると、「こんなに綺麗なチョウに出会えて、名前まで教えてもらって、
嬉しくて涙が出そうだわ!」と感激され、作業の疲れはどこかへすっ飛んでしまいました。
普通種か珍種か、外来種か在来種かなど、生き物のことを知れば知るほど、そんな分別が
染み付いてしまって、いつしかフィルターを通して生き物と接してしまっていることを
恥ずかしく思います。生き物が見せてくれる美しさを真っすぐに受け止め、言葉に
できるっていいですね。優しい心で自然と向き合うお二人の姿勢に感動したのでした。
さて、7/31現在、長池公園の主に草地で見頃の草花をいくつかご紹介したいと思います。
まずはぜひ皆さんにも見ていただきたいこちらの花、シロバナコマツナギです。
コマツナギは草地や林縁などに生えるマメ科の植物で、通常はピンク色の花を咲かせます。
数年前から、長池公園西バス停付近一帯にコマツナギの白花が見られるようになりました。
他の場所では見たことがなく、大変珍しいもの(品種)です。ここでは花がピンク色の
通常個体と混生しているので、紅白の対比を楽しむことができます。
続いてはこちら。長池前の広場で咲き始めていたマキエハギです。
花柄がとてもか細く、この様子を蒔絵の優雅な筆の運びに例えて名付けられたそうです。
多摩丘陵では激減した里山植物の一つですが、現在は復活傾向にあるようで、各地で
新たな生育地が見つかっています。長池公園では駐車場周辺や自然館前などにもあります。
長池前の手すりに移植された園内自生由来のコイケマに、大きな果実が実っていました。
2枚目、3枚目は花の様子です。これらが同じ植物だと、誰が想像できますでしょうか?
そのそばでは、ガンクビソウやオトギリソウの黄色い花も目に付きました。
かがんで観察中に「ガサッ」と背後で物音。クサキリが久しぶりに顔を見せてくれました。
冷房の効いた自然館に戻ると、ガラス向こうに植栽されたカクレミノの幹に甲虫を発見!
正体は、ウコギ科の樹皮や枝を食べるセンノカミキリ(センノキカミキリ)でした。
ハリギリに止まっているのを見ることが多い本種ですが、カクレミノも食べるようです。
しばらくすると、同じ場所に止まっていたのは昆虫ハンターのヤブキリ。
センノカミキリたちは、ヤブキリに襲われるのを恐れてそそくさと退散したのかな?
四方を壁とガラスに囲まれた自然館の坪庭(吹き抜け)でも、人知れず、生き物たちの
ドラマが繰り広げられています。何よりも、涼しい館内から観察できるのが魅力ですよ!