6月26日、ヒメハルゼミとニイニイゼミの合唱が本格化し、いよいよ夏本番です。
ところで先日25日の夕方、ちょっと珍しい甲虫と3年ぶりに再会することができました。
自然館前のシラカシの葉にちょこんと止まっていたこの甲虫の正体は、ナガヒラタムシ。
長い触角に平らな胴体、妙に短い脚。掴むと脚をすっぽり収納して死んだふりをします。
なんとこの虫、2億5000万年前、ペルム紀の地層から見つかった最古の甲虫にとてもよく
似た、極めて原始的な甲虫なのだそうです。つまり、恐竜が生きた中生代よりもさらに
昔から地球上に生き延びてきた奇跡の虫なのです。甲虫図鑑でも1ページ目に登場します。
2億5000万年という途方もない歳月を、ほとんど見た目は変えずに、ひたすら命を繋いで
きたのかと思うと、信じられません。ある意味、この見た目、この生き方が“究極”とも
いえるはずですが、じつはその生態についてはまだあまりよく調べられていないのだとか。
でも研究によって一つ面白い生態が判明しています。それは、胸部や脚の付け根に赤外線
受容器官を備えているというもの。このセンサーは赤外線放射からわずか1000分の1秒で
反応するということも実験により明らかとなっています。そしてこの機能が果たす役割は、
山火事の発生を遠くからでもいち早く感知するということです。山火事の最中に交尾を
行い、火災で焼けてしまった木の樹皮下に産卵することで、孵化した幼虫は樹液などに
流される恐れもなく、木の栄養分を独占して成長できるのだそうです。この感覚器官の
仕組みが解明されれば、火災報知器などの技術に生かされる日も来るかもしれませんね。
(参考:S. Schmitz, et al., Insect antenna as a smoke detector. Nature, 398)
さて、今日は2件お知らせがあります。一つ目は、ウェブマガジンへの掲載について。
現在、6羽のヒナがすくすく育っている自然館巣箱モニター展示ですが、先日まで、
もう1つの巣箱でもシジュウカラが子育てを行い、7羽のヒナが巣立っていきました。
この時の様子が、小学館のライフスタイル誌『サライ』のweb版『サライ.jp』に
取り上げられました。記者の方が美しい写真とともに経緯などをまとめて下さりました。
右のリンクよりからご覧いただけます。ぜひご一読を!https://serai.jp/hobby/1189856
2つ目のお知らせはイベントの告知です。恒例となった「長池公園 季節の自然観察会」を
7月25日(木)に開催します。酷暑や荒天の場合は翌日に延期、または短縮開催となります。
お申し込みは長池公園自然館(042-678-4616)まで、直接お問い合わせ下さいね!