top of page

雑種のスミレ

4月20日、今シーズンは低山のスミレの花を見に行く時間がとれませんでした。野草好きな

方々は、「今年は●種類のスミレを見ました!」なんて会話が挨拶のようになっています。

気持ちを切り替えて、私は地元に咲く“顔なじみ”のスミレの観察を楽しんでいました。

例年、アリアケスミレの見事なお花畑が広がる東京都立大学構内の芝生(※通称:猿山)を

訪れてみると、今年も真っ白な絨毯が出迎えてくれました。よく見ると別種のノジスミレも

ところどころに咲いています。こちらは全体に毛があり、花は紫色で良い香りがあります。

そんな2種のスミレが混生する中に、両者の種間雑種であるアリアケノジスミレとみられる

ものが点々と開花していました。花はどっち付かずの色合いで香りはありません。葉は少し

立ち上がり気味で、茎葉の毛はあまり目立ちませんでした。様々な部分で、2種の中間的な

形質が確認できたことから雑種と推定。雑種強勢なのか、花のサイズもやや大きめですね。

1枚目がアリアケスミレ、2枚目がノジスミレです。比べてみると、距にも違いがあることが

分かりました。雑種が見つかると、両親種の特徴を改めて観察する絶好の機会になります!

今月はもう一つ雑種のスミレに出会いました。タチツボスミレとニオイタチツボスミレの

種間雑種、マルバタチツボスミレです。下柚木方面の伐採跡地一面に広がるスミレ畑の中に

花がひときわ大きくて丸っこい一群がありました。花の色や模様、花茎の毛の量、葉の形と

ポイントを順番に見ていくと、こちらも予想通り両親種の中間的な特徴を示していました。

1枚目がタチツボスミレ、2・3枚目がニオイタチツボスミレです。ニオイタチツボスミレは

花色が濃くて芳香があります。どちらも雑木林ではよく見かける種類なので、雑種も珍しく

ありません。ニオイタチツボスミレのたくさん咲く場所を見つけたら、探してみて下さい!

おまけはスミレ観察の時に思わずカメラを向けた晩春の草花たち。チゴユリ、ヤブレガサ、

タマノカンアオイ、ニリンソウ、ヤマルリソウ、タガラシです。里山は花に溢れています!


bottom of page