6月25日、先日24日は特別保全ゾーン内の管理用通路の草刈りと倒木の解体を行いました。
長池を中心とする水源地はフェンスに囲まれており、一般の方は立ち入りできません。
特別保全ゾーンと位置付けて閉鎖管理を進めています。閉鎖管理といっても、全く手入れを
しないわけではありません。樹林内の藪化や湿地の乾燥化が進行すると、希少な動植物の
生育・生息に大きな影響を与えてしまうため、状況に応じて作業を行う必要があるのです。
特に近年はナラ枯れによる樹木の被害が深刻であり、それらの管理作業を安全に行うための
整備を少しずつ進めているところです。2019年の長池かいぼりの際に、池底の泥を使って
整備した長池浅場湿地には、今年もたくさんの湿生植物が発芽し、群落を作っていました。
湿地に降りてしゃがみ込むと、目の前にカワセミが飛んできました。今年生まれの子です。
こちらには目もくれず、水面へ飛び込み、淡水エビを捕まえて丸呑みにしていました。
素早く動く魚を捕るには練習が必要ですが、若鳥にとってエビやヤゴは格好の獲物ですね。
足元からは大きなジムグリ(蛇)が飛び出してきて泳いで逃げていきました。蛇も頻繁に
水辺を訪れているようなので、外来種のウシガエルなどの駆除に貢献してくれているかも。
ちょっとわかりにくいですが、2枚とも写真の右手側の緑色の部分が入江部分の湿地です。
かいぼり前は水深があって水面の見えていた場所ですが、湿生植物が群落を作っています。
湿地の一角にジュンサイが葉を浮かべています。アメリカザリガニの被害を防止するために
囲いを設けた効果もあって年々数を増やし、今ではご覧の通り、水面を覆い尽くすほど!
自然館の鉢植えでも開花を確認してきましたが、ここではこの日、12花が開いていました。
開花1日目(雌性期)のものと開花2日目のもの(雄性期)が同時に見られるので、他花受粉も
生じ得るでしょうか?昆虫が訪れている様子は無く、やはり風媒がメインなのでしょうか。
近くでは希少なアギナシ(1・2枚目)が咲き始めていました。その他の植物も紹介します。
写真の順に、ミズユキノシタ(未開花)、カンガレイ、オニスゲ、ミヤマシラスゲです。
スゲ類が繁茂しすぎると、ヒメミクリなどの攪乱依存種が衰退してしまうため、喜んでも
いられません。折を見て、選択的除草や湿地の攪乱を実施する必要があると考えています。
一方で、湿地の草むらは水辺の生きものにとっても重要です。希少植物の保護、生きものの
生息空間の創出、景観形成など、様々な視点から湿地の保全を進めていきたいと思います。