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身近な鳥の絶滅

12月28日、先日、私もやっと姿池斜面のススキに止まるホオジロを撮ることができました。

1・2枚目が雄、3枚目が雌です。雌雄で顔の模様の濃さが異なっている一方、胸から腹に

かけて一様に赤褐色になっている点は共通しています。ホオジロのトレードマークですね!

ホオジロは珍しい鳥ではありませんが、どこにでもいるというわけでもありません。草原と

いう環境に依存して暮らしています。今日は草原と鳥にまつわる最近の話題を紹介します。

先月、シロハラチュウシャクシギの絶滅が、研究機関のグループによって報告されました。

https://www.wbsj.org/activity/conservation/opinion_request/op_20241212/

シロハラチュウシャクシギは、シベリア西部で繁殖し、冬に地中海に移動する渡り鳥です。

ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアで初めて絶滅した鳥類となる可能性が高いそうです。

調査チームは、世界中から寄贈されたじつに35羽のシロハラチュウシャクシギの羽から

安定同位体を採取して分析を進めてきました。これらの水素原子は食物や水など環境内に

ある微小な痕跡で、鳥が食べて体組織に移され、その後羽根が作られた時にその一部になる

そうです。幼鳥が最初に羽根を作った場所、つまり身元の特定が可能になったわけです。

こうして得られた高精度な解析結果を手がかりとして、大規模な調査が進められたにも

かかわらず、シロハラチュウシャクシギが再発見されることはついにありませんでした。

シロハラチュウシャクシギは草原に依存して暮らす種類なので、かつての狩猟圧に加えて、

土地利用が変化した影響も大きいと考えられます。草原は放棄や宅地化が進んだためです。

最後に確認されたのは今から30年ほど前の1995年2月、場所はモロッコの北部だそうです。

国内では詳細不明の古い記録が2件あり、日本の野鳥図鑑にも一応、掲載されています。

私がまだ野鳥を見始めたばかりの当時は、まだ確実に地球上に存在しており、国内で観察

できる可能性すらあった種類が、“いつの間にか絶滅していた”ということになります。

土地利用の変化に起因するという点において、重要な湿地や草地を数えきれないほど失って

しまった日本にとっても、決して他人事ではないニュースといえるのではないでしょうか。

先のホオジロもそうですが、私たちの周りでいつも当たり前のように見られる鳥たちこそ、

将来も変わらず身近な存在でいてもらえるように、環境も併せて見守っていきたいですね。


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