10月23日、低空をヒヨドリの群れが何度も通過していきました。どの群れも、北から南の
方角へ一直線に飛んでいきます。そう、渡りです。一年を通して賑やかに騒いでいる
イメージが強いヒヨドリですが、国内で移動(渡り)を繰り返す子も多いようです。
大半の小鳥が夜間に渡る中、ヒヨドリは日中に低空を渡るので、ぜひ観察してみましょう。
さて、この日は長池見附橋下流側の斜面草地の草刈りを実施しました。草刈りから逃れた
昆虫たちは、一斉に刈り残し草地へと飛び込んでいきます。草むらの退避所があることで、
彼らは命を繋ぐことができるのです。オギの茎ではウスイロササキリがくるっと隠れんぼ。
なんとなく視線を感じて振り返ると、チョウセンカマキリがこちらを向いていました。
草食のバッタやキリギリス類はカマキリの格好の獲物です。草にうまく溶け込んで、
ひたすら待ち伏せるのがハンティングのスタイル。食うほうも食われるほうも、
草に擬態しているところが面白いですね。草地の生態系を垣間見ることができました。
チョウセンカマキリの特徴は、前脚(カマ)の付け根にオレンジ色の斑紋があることです。
オオカマキリやハラビロカマキリなどに比べ、長池公園では数が少なく、姿池周辺の
草地でのみ見ることができます。私が小さい頃は造成したばかりの空地や草地が多かった
からか、チョウセンカマキリはごく身近な存在で、オオカマ、コカマ、チョウカマなどと
呼び分けて捕まえていた記憶があります。いつの間にか、チョウカマだけがレアキャラに
なったことは、主な生息地である草地の減少を象徴しているように思えてなりません。
なお、このブログでもご紹介したことのある「タイワントビナナフシ」や「チュウゴク
アミガサハゴロモ」のように、「チョウセンカマキリ」にも国名が入っているため、
外来種と勘違いされがちな本種。しかし実際には、日本在来種と考えられています。
単に「カマキリ」と呼ぶ場合は本種を指すことが多いというので、むしろ日本を
代表するカマキリ類といっても過言ではないかもしれません。これとは別に、森の中には
日本固有種のカマキリもいます。小さな体が愛らしい、その名もヒメカマキリです。
残念ながら、由木地区ではまだ見たことがない山地性の種類ですが、以前に愛知県で
撮影した写真を引っ張り出してきたのでご覧下さい。大人でもこんなに小さいんです。
話を戻しましょう。斜面草地が昆虫たちで賑わう一方、水辺にはハクセキレイの親子の姿。狙いはヤゴなどの水生生物ですが、時折、トンボも空中でうまく捕えていました。
秋の姿池周辺は生き物の宝庫。ゆっくり一周するだけでも、数々の楽しい出会いが
待ち受けていますよ!そよ風に揺らぐ、美しいススキの景観もどうぞお楽しみ下さい。
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