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白い花の季節

4月28日、植物調査の仕事で、市職員とともに市内北西部にある民有緑地を訪れました。

この時期は渡り鳥の通過ピークなので、雑木林から聴こえてくる賑やかな小鳥のさえずりに

耳を傾けてみると、予想通り、クロツグミ、アカハラ、キビタキの声が混じっていました。

新緑の雑木林では、木々の間に白い花が目立つ季節となりました。今シーズンは全体的に

当たり年のようで、サワフタギ、ヤブデマリ、ミズキなどが一斉に咲きなかなか壮観です。

青々と茂った若葉を背景に咲く白い花は、虫たちの目線では一際輝いて見えるのでしょう。

一方で、早春の花木に黄色い花が多いのも、周囲の木々や枝の色味との対比でもっとも

効果的に花の存在を虫たちにアピールできるカラーだからではないかと、想像しています。

手入れの行き届いた林床には、初夏の草花がいくつも顔を出していました。こういう場所は

欲をいえば年に何度も訪れて、季節とともに変化する植物を継続的に調査したくなります。

写真は順に、キンラン、ギンラン、クチナシグサ、ヒメハギ、ジュウニヒトエ、ヒゴクサ、

タチドコロ、ヤマツツジ、ノダフジです。特にタチドコロは見つけると嬉しい種類の一つ。

雑木林の明るい尾根筋などでたまに見かけるオニドコロの仲間で、茎が地上に立ち上がって

伸び、葉縁に細かい波状のギザギザが目立ちます。見れば“たちどころ”にわかるはず!?

植物の豊かさを裏付けるように、昆虫も色々と確認できました。鳥の糞そっくりに擬態した

イチモンジカメノコハムシ、毒を持つテントウムシに擬態したヨツモンクロツツハムシ・・

3枚目はジュウニヒトエの花にやってきたニッポンヒゲナガハナバチですが、よく見ると、

背中に花粉塊(かふんかい)が乗っかっています。おそらくシランという植物を訪花した際に

背負わされてしまったのでしょう。そういえば、シランもそろそろ咲いている頃ですね!

虫たちとともに、次々と移り変わっていく草花を追いかけて、忙しい(?)毎日が続きます。

おまけその1。林縁草地で見つかった数十株のオオヒナノウスツボにマーキングしました。

日野台地周辺では希少な草原性植物の一つなので、草刈りされないよう対策したのです。

4月3日に見つけた当初よりもだいぶ背が伸びて、それらしくなってきました。開花は夏。

現在は全身に毛をまとってフワフワしていますが、開花期には毛が目立たなくなります。

おまけその2。雑木林から樹種転換を行ったばかりの若い栗林に、お化けタンポポが出現!

キク科植物では時々目にする帯化(たいか)という形態形成異常の一種、いわゆる奇形です。



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