9月13日、ネイチャーガイド仲間の皆さんと一緒に我孫子市の谷津田を散策しました。
多摩丘陵では「谷戸」と呼ばれるすりばち状の地形を、房総では「谷津」と呼びます。
丘陵が長い年月をかけて浸食されてできた地形で、その成り立ちは共通していますが、
房総半島で見られる谷津田は全体に規模が大きく、水田や湿地の面積もより広大です。
ここ我孫子市では、そうした谷津の自然環境を再生し、伝統的な農業や暮らしの風景を
復活させることを目的として、“谷津ミュージアム”事業が進められています。
見渡す限り続く牧歌的な景観に癒されつつ、動植物を気の向くままに観察しました。
まずは水田や水路内、周辺の湿地などで見つけた湿生植物をご紹介します。
順に、シソクサ、キクモ、ヒメミズワラビ、ハッカ、マツカサススキ、タコノアシ、
シロバナサクラタデ、ホザキノフサモ、アゼガヤです。特にシソクサとの出会いに感激!
東京では、こうした低湿地性の水田雑草や湿生植物と出会う機会はとても稀なのです。
希少種のホットスポットである一方で、水辺ならではの外来植物も多く見受けられました。
写真はアメリカキカシグサ、ヒレタゴボウ、チクゴスズメノヒエです。これらのほかにも、
ナガエツルノゲイトウやオオカナダモがあり、水域の植生管理の難しさを垣間見ました。
谷津田を取り囲む雑木林の林床では、ヤナギイノコヅチが見つかりました。
その分布域と植生から、ありそうだと予想していたので、見つけた時の喜びも一入です。
田んぼの境界に植えられていた竹は、筍の皮がしばらく残っているナリヒラダケ。
メドハギとネコハギの推定雑種、ツルメドハギは、同行の方に教えていただきました。
生き物で印象深かったのはコース中で何度も遭遇したヌマガエル(国内外来種?)です。
環境適応力も高いのか、水辺だけでなく、雑木林から草地まであちこちにいました。
田んぼの畔に群がっていたマメハンミョウも嬉しい出会いでした。すごい模様です!
その他の生き物。順に、アカスジキンカメムシ、オオアオイトトンボ、ノシメトンボ、
ジャコウアゲハ、メダカ、ヨシノボリ(?)です。さすがは生き物屋の集まり、次から次へと
色々な生き物が見つかります。谷津田の持つ生物多様性的価値を改めて実感したのでした。
皆さん、楽しく実り多き一日をありがとうございました。公園管理にも生かしていきます!