9月2日、先日の重川散策(山梨県甲州市)の続きです。多様な湿生植物の群落に混ざって、
見慣れないテンツキ類(カヤツリグサ科の一群)がたくさん生えているのに気が付きました。
攪乱環境で時々見られるメアゼテンツキにしては少しサイズが大きいのが気になります。
かなり広範囲に渡って生育していたので、いくつか根こそぎサンプルを抜き取ってきて
翌日、宿題として調べてみることにしました。植物体は密に叢生し、葉身が短め、小穂も
細身であり、複散房花序でいくつかの分花序が見られるなどの点からやはり見立て通り、
既知の種類ではメアゼテンツキがもっとも近いようでした。しかし小穂(枝先のつぶつぶ)を
解体して果実を取り出してみて驚きました。メアゼテンツキの特徴である痩果の肩毛が
見られず、花柱上部に毛があること、そして痩果の表面に特徴的な格子紋があること、
さらに葉鞘に毛が見られることなどから、初めて見るオオアゼテンツキと同定できました。
オオアゼテンツキは、国内では琉球諸島に多く分布する以外は、本州の千葉県と神奈川県で
見つかっているだけの希少な種類です。山梨県での記録も初めてではないかと思われます。
千葉、神奈川、そして今回、山梨で見つかったということで、3県に囲まれた東京都でも、
ひょっとしたらフィールドや標本庫に本種が紛れている可能性があるかもしれません。
地味すぎて注目する人が少ないことも大いにありますが、思いがけず、旅先での大発見!
そういうことがあるから、雑草は面白いのです。そしてますます彼らの虜になるのでした。
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