top of page

夏至の自然暦

6月21日、すっきりと晴れた夏至の今日、講師の仕事で近隣の長沼公園を歩いてきました。

長沼公園は、多摩丘陵の中でも生物多様性が間違いなくトップクラスの都立公園です。

私も20年以上通っていますが、歩くたびに新しい発見があり、その豊かさに驚かされます。

ニイニイゼミの声をBGMに、皆さんと園内を散策しながら観察した動植物をご紹介します。

ここ10年ほどの間に、長沼駅付近の田んぼは耕作転換が進み、軒並み畑地化されました。

そうした状況の中、公園に隣接する2枚の田んぼは今現在も田植えが行われており、

カエルやトンボなど、多くの水生生物が利用する貴重な水辺環境となっています。

上陸して間もないニホンアマガエルが畔にいました。尻尾が残っていて可愛いですね!

水面への産卵を繰り返すシオカラトンボやショウジョウトンボに混じって、未成熟の

アキアカネがいました。晩夏から秋にかけて集団が見られる赤トンボの仲間です。

6月に羽化して間もなく、高原などへ移動してしまいます。移動前は単独で行動し、

まだ体も赤くないため、赤トンボだと気が付く人はほとんどいません。

園内では、雑木林の林縁で様々な昆虫と出会いました。中でも嬉しかったのはこちら。

アケビコノハの幼虫です。眼状紋と呼ばれる目玉模様と独特のフォルムが摩訶不思議。

左上から順に、キベリクビボソハムシ、ヨツボシハムシ、ルイヨウマダラテントウ、

ヒメクロオトシブミ、マエアカクロベニボタル、ミカドアリバチ、ササキリ、

キマダラセセリ、ウンモンスズメです。昆虫が多い=植物相がそれだけ豊かなのでしょう。

林を抜けた芝草地では、草むら好きのお馴染みの面々が待ち受けていました。

こちらも左から順に、ウスイロササキリ、ホシササキリ、ブチヒゲカメムシです。

一方、植物で印象に残ったのはこちらのハナビゼキショウ(イグサ科)という植物。

東京で見られるコウガイゼキショウ類のうち、もっとも危機的な状況にある種類でしょう。

茎にヒレがあり、触ると断面がぺったんこに潰れているのが、わかりやすいポイントです。

そして、栗の赤ちゃんみたいなこの植物は外来種のミクリガヤツリ。

3枚目は果柄が伸びてくる前の状態です。親の帰りを待つ小鳥のヒナたちのようですね!

左上から順に、ヤマアジサイ、ミチバタガラシ、アラゲハンゴンソウ、ハンショウヅル、

イガホオズキ、タチクラマゴケ、サクライカグマ、イヌイワイタチシダ、ビロードシダ。

カエルに昆虫、草花、シダまで、長沼公園の生物多様性を思う存分に堪能した一日でした。


bottom of page