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国内越冬するヤブサメ

1月25日、公園スタッフのOさんからとても珍しい野鳥の観察報告があったので紹介します。

それがこちらの写真です。Oさんが先日23日に堀之内方面のある公園で撮影したものです。

第一印象でピンとくる方もおられると思いますが、体型や顔の模様など、細かい特徴からも

ヤブサメで間違いないでしょう。ヤブサメは国内には夏鳥として渡来し、冬は東南アジアへ

渡って越冬します。この辺りでは繁殖期こそ見られませんが、春から初夏にかけて一時期、

渡り途中の通過個体が確認されており、松が谷、堀之内、別所、鑓水など各所の雑木林や

谷戸で囀りを聴きます。しかしながら、冬期はほぼ例外なく国外へ渡り去ってしまうので、

こんな真冬にヤブサメが観察されるとは想像すらしませんでした。調べてみると、やはり

冬期のヤブサメの観察記録は全国的にもかなり少なく、関東では青梅市での観察記録が

2008年に報告されているくらいで、それ以外は標識調査による記録がわずかにあるのみの

ようです。Oさんによれば、ウグイスだと思って撮影したものの、姿勢や鳴き声(地鳴き)に

少し違和感を感じたとのこと。地鳴きはミソサザイとウグイスの地鳴きを合わせたような

雰囲気です。本人もまさか大発見とは思っていなかったようですが、私は写真を見た瞬間に

驚愕してしまいました。冬のヤブサメはぜひ見てみたいので、私も頑張って探してみたいと

思います。複数回、観察ができればそこで越冬していることの裏付けにもなるはずです。

また一つ、簡単ではない課題が増えてしまいましたが、出会えたらまたお知らせしますね!

おまけ。この日は神代植物公園で開催された「植物多様性保全に関する情報連絡会」に出席

してきました。年に一度、東京都内で活動する保全団体や、私のような在野の植物研究者が

一堂に会し、事例報告や意見交換を行う催しです。久々にお会いする方もいて、有意義な

ひとときでした。植物園では早くも見頃の梅に人々が集まって記念写真を撮っていました。

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