11月21日、梶川緑地の林床の草刈りを実施しました。朝から始めて16時半にやっと終了。
昼休憩から戻る途中に所用で東中野公園へ立ち寄ると、広場に面した雑木林の一角で、
数羽のリュウキュウサンショウクイがエナガの群れとともに姿を現しました。
これまでの観察で、秋はエナガの群れと一緒に行動していることが多く、厳冬期になると
リュウキュウサンショウクイだけで小さな群れを作る傾向があることがわかってきました。
サンショウクイには夏鳥として日本に渡ってくる亜種サンショウクイと、国内の暖地に
留鳥として暮らしている亜種リュウキュウサンショウクイの2つのタイプがいます。
両者は胸の色や顔の模様の違い、鳴き声の違いなどから見分けられ、それぞれを独立種と
する見解もあります。リュウキュウサンショウクイは、名前のとおり、もともとは沖縄や
九州南部でしか見られない南方系の鳥でしたが、2010年代頃から関東地方でも冬場を中心に
観察されるようになり、太平洋側を中心として少しずつ北へと分布を広げてきました。
由木地区では2020年くらいから普通に見られるようになり、現在は各地で声を聴きます。
昨年、南大沢の駅前を鳴きながら飛び回る姿を観察しました。それほど身近な存在です。
「琉球」の名の付く鳥が多摩丘陵に生息しているのには、とても違和感があるのですが、
分布拡大の要因はまだはっきりしておらず、謎は深まるばかり。今後も要注目です!
まるでキャビアのような黒い実をたわわに実らせたヒサカキに、メジロが群れていました。
よく見ると、器用に体を反り返したりしながらどんどん口に入れていきます。
ある研究論文によると、ヒサカキの果皮には発芽を抑制する物質が含まれる可能性が高く、
小鳥の体内で果皮が消化され、剥き出しになった種子でないと発芽できないそうです。
小鳥によって運ばれた果実のうち、全体の37%が発芽し、果皮の付いたまま落下したもので
発芽したのはわずか1個体(1%未満)という結果から、やはり小鳥に食べられることが重要で
あるとわかります。母樹からなるべく離れた場所へ種子を散布させるための知恵ですね!
そうはいっても、メジロが実を食べて排泄するまでの時間はせいぜい数分から数十分。
この間にどれだけ遠くへ移動してくれるかは運任せであり、加えてヒサカキの埋土種子の
寿命が1年未満(※諸説あり)と短いこともあって、“捨て駒”となる実も多そうです。
今日の作業現場からは、梶川公園のイロハモミジの紅葉がよく見えました。
由木地区のモミジの紅葉は他所よりも遅く、12月初旬くらいが見頃のピークなのですが、
梶川公園のイロハモミジは例年、一足先に色付きます。作業の疲れを癒してくれました。
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