ミチバタナデシコとカセンソウ
- ひとまちみどり由木 指定管理者
- 6月16日
- 読了時間: 3分
6月14日、車で移動中の車窓から、見慣れない植物を見つけることがあります。そんな時は
見て見ぬフリなどできるはずもなく、安全な場所に停車してから歩いて見に行くのが鉄則。
最近、柚木街道の中央分離帯で一瞬だけ見えた雑草が気になって、確かめに向かいました。
行き交う車からの視線が気になりつつも、背に腹は代えられません。安全には十分気を付け
ながら、お目当ての植物がまとまって生えている場所まで(ワクワクしながら)歩きます。
ついに発見!予想通り、コモチナデシコ属の外来雑草でした。この仲間は茎の毛の様子や
種子の表面の構造などを詳しく調べないと同定できないので、1株だけ失敬してきました。
結果、ミチバタナデシコという種類だと判明しました。由木地区では初確認の植物です。
最近、市内の大和田町や高尾山口駅付近の路傍でも見かけているので、もしかしたら増えて
いるのかもしれません。ところで、柚木街道の中央分離帯はミチバタナデシコ以外にも、
キクニガナ(チコリ)、ハイミチヤナギ、トゲヂシャ、クマツヅラなど、やや珍しい雑草が
集中的に生育しています。いずれも強い日照りや乾燥に強く、排気ガスにも負けないような
ど根性系の種類です。同じ道でも、野猿街道側ではそれらを見ることはありません。この
違いが何なのか気になって、地図を広げてみました。すると、面白いことが判明しました。
東京環状の御殿峠付近を起点に、東に進んで由木折返場までが柚木街道、由木折返場より
東が野猿街道となります。両者は繋がっていますが、地図上に大きな違いがあったのです。
それは中央分離帯の広さです。柚木街道の中央分離帯は幅が狭く、アスファルトで固め
られており、野猿街道では幅が広く、緑化されて芝生や植え込みが広がっているのでした。
一見すると、後者のほうが雑草にとってより良い環境に思えますが、先に挙げたような
一部の特殊な雑草は、他の種類と競合するようなオープンスペースに目もくれることなく、
アスファルトの隙間という過酷な環境にあえて進出することで、自らが独占できる居場所を
見出したということなのでしょう。加えて、草刈りの頻度もこちらのほうが少ないことが
予想されるので、案外、淘汰される確率も低いのかもしれません。住めば都なんですね~!
所変わってこちらは別所一丁目、松木中学校西側の歩道沿いに咲いていたカセンソウです。
東京都全体でみても、草地の減少とともに激減した在来植物なのですが、最近は造成地の
片隅や伐採後の林縁、さらには、写真の驚くような環境下でも相次いで見つかっています。
本来は谷戸の裾狩り草地や山地草原などに生える植物なので、拍子抜けしてしまいますが、
意外とたくましい一面もあるのかもしれません。生育できる環境と埋土種子さえあれば・・
道端繋がりで最後にご紹介するのはセダムの一種、ヨコハママンネングサという雑草です。
住宅地を散歩していると時々出会います。小さな葉が3枚ずつ輪生しているのが特徴です。
一つ一つの花は星の形をしていて、それらがプラネタリウムのように広がった見事な株を
見つけました。舗装された場所でも、力強く生きる雑草たちの姿に元気をもらう毎日です!