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バッタとキリギリス

6月20日、梅雨の中休みで晴天が続いています。早いもので、明日はいよいよ夏至ですね。

昨日に引き続き、草刈りの話題です。芝草地の草刈りを行っていると、あちこちから

バッタやキリギリスの赤ちゃんが飛び出してきます。中には、早くも大人の姿に

成長した子も。その様子を見て、船上から観察したトビウオの群れを思い出しました。

刈り残して草地を保持しているエリアは、そんな彼らの避難場所として機能しています。

草刈りによって、虫たちの住処を完全に奪ってしまうリスクを防いでいるのです。

ところで、皆さんはバッタとキリギリスの違いをご存じでしょうか?

上の写真はツチイナゴ(バッタ)とオナガササキリ(キリギリス)の幼虫が並んでいるところ。

この中に、“見える”違いが2つあります。・・そう、触角の長さと後脚の長さです。

触角と後脚が短ければバッタの仲間、長ければキリギリスの仲間と判断できます。

この特徴は赤ちゃんの頃から成虫になるまで変わりませんので、とても有効な識別点です。

バッタの多くは昼行性で跳躍を得意とするのに対し、キリギリスの多くは夜行性で主に

葉の上などを歩いて移動する習性があり、そうした生態の違いが関係しているのでしょう。

下の写真は、今週撮ったバッタとキリギリスの成虫です。ポイントが分かれば一目瞭然。

左からツユムシ、クルマバッタモドキ、ツチイナゴ、それぞれどちらの仲間でしょう?

先ほど“見える”違いとあえて表現したのには意味があります。

実は、バッタとキリギリスにはパッと見では“見えない”面白い違いがあるからです。

それは耳の位置です。「昆虫ってそもそも耳があるの?」という方もおられるでしょう。

よく見れば、耳、あります!多くの昆虫は体のどこかに耳があり、その部位は様々です。

バッタは胸に耳が付いています。対してキリギリスは前脚の脛のあたりに耳があります。

なぜそんなマニアックなところに耳があるのかというと、音を出してコミュニケーションを

はかるキリギリスの仲間は、音に対してとても敏感だからです。

人間の耳が左右に離れて付いているのと同じように、前脚の耳も左右で距離があります。

左右で空気を伝わってくる振動に時間差が生じ、音源を特定しやすくなるというわけです。また、前脚の耳は、空気中だけでなく、地面の振動などもより敏感に捉えられるはずです。

・・ということで、今日はバッタとキリギリスの違いを形態学的、生態学的な視点から

取り上げてみました。さあ、身近な生き物をもっとよく観ようキャンペーン、開幕です!







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