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ヌスビトハギチビタマムシ

  • May 25
  • 4 min read

5月20日、講師の仕事で川崎市の生田緑地を歩いてきました。久々の訪問、今回もたくさんの出会いがありました。

先日の記事にも書いたとおり、私の中ではチビタマムシブームに火がついているので、小さな生きものにばかりつい

目が向いてしまいます。まだ花序も伸びてきていないヤブハギ(ヌスビトハギの変種)が群生しているのを見つけて、

「もしかしたら、あの子がいるかもしれない!」とダメ元でヌスビトハギを食草とするヌスビトハギチビタマムシの

食べ痕を探し始めました。こんなことをしていたら前に進まないのはわかっているのですが、行動しなかったら必ず

後悔するので、少々時間をいただいて捜索しました。間もなく、それらしき食痕を発見、そして直後に本人が登場!

「いましたよ!」と思わず声を上げる私。何の騒ぎかと受講生の皆さんも興味津々で覗き込んできて、思惑どおりの

展開となりました。観察会ではいつもそうなのですが、出来レースで用意したものや、そこで見られることが前提の

動植物を見せて解説するよりもずっと、大事にしていることがあります。それは私自身がチャレンジしたり、初めて

出会って興奮したりするさまを見せることです。講師と参加者が一緒になって驚きや喜びを分かち合える瞬間こそ、

観察会の醍醐味であり、価値ある時間だと思うからです。・・というと聞こえは良いのですが、実際には自分の興味を

優先しているだけのことですから、それを面白がって着いてきて下さる皆さんには感謝しなければなりませんよね。

ちなみに、長池公園にもヌスビトハギはたくさん生えているのですが、ヌスビトハギチビタマムシはまだ発見できて

いません。芝生広場のヌスビトハギの食痕は残念ながらコフキゾウムシの仕業だったので、今回、ホンモノの食痕を

認識できたことは大きな収穫です。長池公園やご近所でもヌスビトハギチビタマムシに出会える気がしてきました。

この日、観察できたチビタマムシの仲間は全部で5種類。順にサシゲチビタマムシ(スダジイ)、ナミガタチビタマムシ

(ムクノキ)、クズノチビタマムシ(クズ)、マメチビタマムシ(ヤブマメ)です。目が慣れてくると、いるわいるわ・・

もちろん、チビタマムシ以外の生きものもしっかり観察しました。湧水湿地の指標種、スジグロボタルにはじまり、

初夏ならではのアカシジミ、コミスジ、アオジョウカイ、コカシワクチブトゾウムシ、イチモンジカメノコハムシ、

ムーアシロホシテントウ、シマヘビ、コゲラの羽などなど。写真を撮り損ねましたが、イノコヅチカメノコハムシや

ヒメリンゴカミキリなども見ることができました。中でもアブラチャンの葉を後食するヒメリンゴカミキリは、地元

ではほとんど見る機会が無いので、撮影する前に飛ばれてしまったのがとても悔やまれます。リベンジしたい・・!

一方、植物の多様性も忘れてはなりません。1932年に刊行された古典、「武蔵登戸附近植物目録」を開いてみると、

バイカモ、カキツバタ、ノウルシ、モウセンゴケなど、今では関東地方で見ることが難しい希少な植物が、たくさん

登場します。昔から植物の宝庫として知られるメッカだったのでしょう。開発が進み、現在のこのエリアは住宅地に

なっていますが、生田緑地として一部の雑木林や湧水湿地が残されたことにより、いくつかの希少植物は健在です。

また、桝形山(現在の生田緑地付近)はタマノカンアオイが最初に発表された基準産地としてもよく知られています。

かつての豊かさに思いを馳せながら、その面影が残る生田緑地のみどりの価値を改めて実感したのでした。写真は、

オオカモメヅル、キダチコマツナギ(外来)、タチドコロ(雄株)、タチドコロ(雌株)、ヤマウコギ、アズマツメクサ、

ミズニラ、スダジイ、ヤブムラサキ、オニグルミ、チャンチン(植栽)、アワブキです。菖蒲田のミズニラ群落の中に

生育していたアズマツメクサは、川崎市では大変貴重な記録のようです。攪乱によって発生したのかもしれません。

公園管理者目線でも、植生管理のノウハウをはじめ、掲示された野外サインの数々や創意工夫に溢れた展示物など、

お手本にしたい事例が多くありました。しっかりアイディアを持ち帰り、今後の管理運営に活かしたいと思います!

最後に、道先案内人として快く緑地の案内を引き受けて下さった職員のTさんに、この場を借りて感謝申し上げます。


 
 
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